その1に続いて、その2を書いている間に、もはや秋になってしまった…。
しかし秋でも、ボストン市民は「雪に覆われるまでの間を、屋外で過ごそう!」と躍起になっている気がする(?)。
自分も、最近は昼食以外にも、キャンパスのオープンスペースや家の近くの公園で仕事をするという、オープン・エア・ワークを積極的に取り入れている。何か大そうな名前を付けてみたが、何てことはなく、ラップトップPCを持参して、木陰のベンチに座って仕事をする。ただそれだけ。
こちらにやってきて、プールサイドやビーチ、公園などで、ラップトップPC片手に仕事をしている人を目にしては、「何も、こんなところでPC開かなくても…」といい印象を持たずに観察していた。つい最近までは。
しかし、実際にやってみると、これが相当心地よい!
天井も壁もない広大な空間の中で、太陽と青空、ゆっくり動いて行く雲、そして、心地よい自然の風を感じ、周りで戯れている学生や子供達の声、小鳥や犬猫のなき声を聞きながら、ラップトップPCのモニタとキーボードに全神経を注ぐ。
とてつもないギャップがあるようだが、自分はとても落ち着くし、自然と集中力を増した状態になり、短期間で仕事を進めることに大きく貢献している。
自分は、一つの場所で長時間集中して仕事を進めるのが苦手なので、 ロー・スクールの図書館やカフェへ場所を変えて仕事をすることは多かった。
しかし、このような場所は冬に取っておくことにして、今はもっぱら屋外ワークに精を出している。
短いボストンの秋、これまで以上に外で過ごすことが増えそうだ。
≪写真 上・中≫ アパートから徒歩3分のお気に入りのオープン・エア・ワーク・スペース(=ただの公園のベンチ)。ここで仕事したり、本読んだりしています。
≪写真・下≫ アパートのプールも9月1日で終了です。
2008年8月31日日曜日
2008年8月29日金曜日
スポーツと感性
Peter Rogers研究室にて、サマー・リサーチ・アシスタントをしている学部生とその友人たちとで、バスケット・ボールをした。
最後にバスケット・ボールを触ったのはいつだろう?
中学・高校とバスケ部の端くれだったが、大学入学以来、全くと言っていいほど、触っていない。というか、球技全般から遠ざかっていた。
思い返せば、大学院博士課程に進学して以来、ほとんどスポーツをしなく(できなく)なってしまった。
それ以前は、ウインドサーフィンやスノーボード、マウンテンバイクなど、むしろ体を動かすことが中心の生活であったが、一転、大学と家、研究対象地、出張先の往復ばかりの生活へ突入した。
そんな中での、十数年ぶりのバスケット・ボール。しかも周囲は全て、ハタチ前後の学部生。自分でも、やや無理があるとも思ったが、本場アメリカでのバスケの機会(大げさ)、参加しない理由なぞ存在しない!
最初は、リサーチ・アシスタントのアントニオとジャネット、その友人の4人で、2 on 2でプレー。
その後、見知らぬ韓国人カップルが、「ハイ、ガーイズ!俺らも入れてくれよ!」といきなりの飛び入り参加表明。そして、「オーライ!メーン!」とみんなで歓迎ハイタッチをして、いきなり3 on 3ゲームの開始。そこから30-40分間、ひたすらプレーして、最後は「ナイス・プレイ!」と全員でお互いに固い握手を交わし、最後は再会を誓いグッド・ナイト!でお別れ、という何ともフレキシブル(アメリカン?)な雰囲気。
実際のプレーは、高校生の頃と同じように動けたような気がする(注・自己判断に基づきます)。
自分の想像以上に、体は当時の感覚を覚えているもの。十数年ぶりのバスケット・ボールは本当に楽しかった。気がついたら学部生たちと一緒に、ずっと動き回っていた。Tシャツが汗一杯で重くなったのはいつ以来だろう(そういえば、去年の目黒研の合宿でも汗だくになったなぁ)?まだまだ、若造には負けないぞ(笑)。
バスケット・ボールなどのダイナミックなチーム・スポーツは、全身の感覚と頭をフル活用して、全体の流れを把握した上で、その場その場で、次の動きを瞬時に予想し、即座にアクションを起こすことが求められる。やはり、ハードな状況下で、このような経験を積んでいくことは、人間の感性というか、動物的な直感力を研ぎ澄ますことに、大きく寄与するに違いない。
久しぶりのプレーの印象として、自分一人で行うプレー(つまりシュート)は、ほぼ昔と同じ感じでできたが、速攻中のクイック・パスなど、瞬時に周囲の動きを予測する必要のあるプレーは、周囲とのタイミングが上手く図れずに、失敗することが多かった。
やはりこの数年、大学という、どちらかというと静的な判断を求められる環境に身を置く時間が長かったので、動的判断力が鈍っていたのかもしれない(まあ、大学ではそんなもの要らないかぁ)。
大学の時はウインドサーフィン、修士の時はスノーボード、マウンテン・バイクにはまった。
何れも大自然の中を、ただひたすらに猛スピードで突っ走る。その快感は、言葉にできないくらい爽快で、大きな悦に浸れるのだが、同時に、予測不可能な自然が相手なゆえに、いきなり転倒して、海や山に放り投げ出されるリスクを常に背負う。
目まぐるしく変化する状況の中では、一瞬一瞬、次のアクションを予想する必要がある。むしろ、考えるというよりも、直感にもとづく瞬時の判断に応じて、無意識的に迫りくる状況に対応し続けなければならない。
きっと数年前までは、そのような感覚がそれなりに培われていたのであろうが、近年、何というか、頭でっかちになりつつあるのかもしれない(アカデミックで生きる場合、むしろ、そちらの方が正しい生き方なのかもしれない…)。
昔は何も考えずに、いろいろなスポーツを、ボーっと楽しんでいた。しかし、上述のようなことを認識しながら、より真剣にスポーツと向き合い、かつ、そのフィードバックを人生に活かすことを意識していれば、スポーツ・プレーヤーとしてももっと成熟できたであろうし、そこから取得できた知識や感覚もより大きなものであったのだろう、と今更ながら考えてみた(いやいや、まだまだこれから(笑))。
というか、久し振りのバスケットはとても感慨深かったので、大げさであるが、人生などと照らし合わせて、いろいろ思いにふけってしまった(笑)。
早速、来週のバスケも約束した。週末はチャールズ・リバーでカヤックだ。
これまで数年間で蓄積されていた(スポーツに対する)うっ憤を晴らすべく、そして、鈍っているであろう全身の感性を取り戻すべく、街が雪で覆われるまでの間は、屋外で大いに体を動かそう。
≪写真 GISセンターの裏のバスケットコートにてアップ中の学生たち≫
↓ 同じタイトルの本を発見!
最後にバスケット・ボールを触ったのはいつだろう?
中学・高校とバスケ部の端くれだったが、大学入学以来、全くと言っていいほど、触っていない。というか、球技全般から遠ざかっていた。
思い返せば、大学院博士課程に進学して以来、ほとんどスポーツをしなく(できなく)なってしまった。
それ以前は、ウインドサーフィンやスノーボード、マウンテンバイクなど、むしろ体を動かすことが中心の生活であったが、一転、大学と家、研究対象地、出張先の往復ばかりの生活へ突入した。
そんな中での、十数年ぶりのバスケット・ボール。しかも周囲は全て、ハタチ前後の学部生。自分でも、やや無理があるとも思ったが、本場アメリカでのバスケの機会(大げさ)、参加しない理由なぞ存在しない!
最初は、リサーチ・アシスタントのアントニオとジャネット、その友人の4人で、2 on 2でプレー。
その後、見知らぬ韓国人カップルが、「ハイ、ガーイズ!俺らも入れてくれよ!」といきなりの飛び入り参加表明。そして、「オーライ!メーン!」とみんなで歓迎ハイタッチをして、いきなり3 on 3ゲームの開始。そこから30-40分間、ひたすらプレーして、最後は「ナイス・プレイ!」と全員でお互いに固い握手を交わし、最後は再会を誓いグッド・ナイト!でお別れ、という何ともフレキシブル(アメリカン?)な雰囲気。
実際のプレーは、高校生の頃と同じように動けたような気がする(注・自己判断に基づきます)。
自分の想像以上に、体は当時の感覚を覚えているもの。十数年ぶりのバスケット・ボールは本当に楽しかった。気がついたら学部生たちと一緒に、ずっと動き回っていた。Tシャツが汗一杯で重くなったのはいつ以来だろう(そういえば、去年の目黒研の合宿でも汗だくになったなぁ)?まだまだ、若造には負けないぞ(笑)。
バスケット・ボールなどのダイナミックなチーム・スポーツは、全身の感覚と頭をフル活用して、全体の流れを把握した上で、その場その場で、次の動きを瞬時に予想し、即座にアクションを起こすことが求められる。やはり、ハードな状況下で、このような経験を積んでいくことは、人間の感性というか、動物的な直感力を研ぎ澄ますことに、大きく寄与するに違いない。
久しぶりのプレーの印象として、自分一人で行うプレー(つまりシュート)は、ほぼ昔と同じ感じでできたが、速攻中のクイック・パスなど、瞬時に周囲の動きを予測する必要のあるプレーは、周囲とのタイミングが上手く図れずに、失敗することが多かった。
やはりこの数年、大学という、どちらかというと静的な判断を求められる環境に身を置く時間が長かったので、動的判断力が鈍っていたのかもしれない(まあ、大学ではそんなもの要らないかぁ)。
大学の時はウインドサーフィン、修士の時はスノーボード、マウンテン・バイクにはまった。
何れも大自然の中を、ただひたすらに猛スピードで突っ走る。その快感は、言葉にできないくらい爽快で、大きな悦に浸れるのだが、同時に、予測不可能な自然が相手なゆえに、いきなり転倒して、海や山に放り投げ出されるリスクを常に背負う。
目まぐるしく変化する状況の中では、一瞬一瞬、次のアクションを予想する必要がある。むしろ、考えるというよりも、直感にもとづく瞬時の判断に応じて、無意識的に迫りくる状況に対応し続けなければならない。
きっと数年前までは、そのような感覚がそれなりに培われていたのであろうが、近年、何というか、頭でっかちになりつつあるのかもしれない(アカデミックで生きる場合、むしろ、そちらの方が正しい生き方なのかもしれない…)。
昔は何も考えずに、いろいろなスポーツを、ボーっと楽しんでいた。しかし、上述のようなことを認識しながら、より真剣にスポーツと向き合い、かつ、そのフィードバックを人生に活かすことを意識していれば、スポーツ・プレーヤーとしてももっと成熟できたであろうし、そこから取得できた知識や感覚もより大きなものであったのだろう、と今更ながら考えてみた(いやいや、まだまだこれから(笑))。
というか、久し振りのバスケットはとても感慨深かったので、大げさであるが、人生などと照らし合わせて、いろいろ思いにふけってしまった(笑)。
早速、来週のバスケも約束した。週末はチャールズ・リバーでカヤックだ。
これまで数年間で蓄積されていた(スポーツに対する)うっ憤を晴らすべく、そして、鈍っているであろう全身の感性を取り戻すべく、街が雪で覆われるまでの間は、屋外で大いに体を動かそう。
≪写真 GISセンターの裏のバスケットコートにてアップ中の学生たち≫
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2008年8月25日月曜日
ボストンの夏 その1
ボストンの夏は短い。
以前から噂は聞いていた。
春もとても短かった。4月中旬~6月中旬といったところ。
そして、6月下旬から徐々に夏に近づいて行き、7月に暑さのピークを迎え、ESRI国際ユーザカンファレンスから帰ってきた8月中旬には、すでに大分涼しくなっていた。
実際のここ最近の最高気温は、70°F前半から80°F前半(大体20~28°C)。それなりに暑い時もあるけれど、湿度も50~60%であり、朝夕は40°F後半(8~9°C)まで下がることもある。東京の感覚で考えると、もはや秋の気配、というか秋?。
「一気に夏が終ってしまい、短い秋のあと、また厳しい冬が始まる…」と考えると切ない。
6月など、夏へ近づくにつれて、一つ疑問を頂いていた。
ボストンの住人達は、やたらと屋外で時間を過ごしたがる、と。
天気のいい日は、大学キャンパスや街中の芝生、公園、住宅の軒先、プールサイドなどの屋外で、本を読んだり、寝転んだり、コーヒー飲んだり、ペットと戯れたり、家族・友人同士で談笑たり、カップルでイチャイチャしたりしながら、時間を過ごしている人がとても多い。
基本的に、アメリカ人(西洋人?)は、日本人に比べて屋外好きの傾向が強いのは間違いないが、以前過ごした西海岸のロサンゼルス周辺と比べると、ボストンの方が“屋外出現率”はだいぶ高い気がする。
個人的には、ボストンは夏が短いがゆえに、住人はそのチャンスを堪能しようと、できる限り、太陽の下で過ごそうとしているのではないか?と考えている。そして、ボストンの夏は、期間は短いけど、上述のような温度と湿度であるため、屋外で過ごすのに最適だ(ロサンゼルス周辺は暑すぎる!)。加えて、夏のボストンは、夕方に突然、スコールのような激しい雨が降ったり、街中に雷が落ちまくることも多いため、晴天時間の希少価値はとても高い(ロサンゼルス周辺はいつも晴天なので、ありがたみ薄し!?)。
ここ数カ月、平日は学生たちと昼食を食べる機会が増えてきた。彼らは、天気のいい日はやたらに屋外で食べたがる。最近、自分もその気持ちが分かるようになってきた。
「この暑い(温かい)陽気がいつまで続くか分からない。おちおちしていると、また街中が白い雪に覆われてしまう。そして、今日のいつ何時、雷雨がやってくるか分からない(本当に予測不可能)。ならば、この素晴らしい晴天を、今楽しまないで、いつ楽しむのだ?」
ボストン住人は、そんな感覚なのかもしれない。少なくとも自分の感覚は、それに近い。
ちなみに、ボストンは8月でも小雪が降ることもあるという。ああぁ、恐ろしい。
≪写真・上 ハーバードやMITのあるケンブリッジ側より、チャールズ川を挟んで、ボストン中心部を望む
≪写真・上2 チャールズ川沿いの芝生でごろごろ≫
≪写真・下2 チャールズ川沿いのデッキでごろごろ≫
≪写真・下 最近は、ここでランチしています≫
↓ 日焼け止めを塗らずに、海やプールで泳いだりして激しく日焼けをすることも多く、
後からこういうのを塗っているが、時すでに遅し?
以前から噂は聞いていた。
春もとても短かった。4月中旬~6月中旬といったところ。
そして、6月下旬から徐々に夏に近づいて行き、7月に暑さのピークを迎え、ESRI国際ユーザカンファレンスから帰ってきた8月中旬には、すでに大分涼しくなっていた。
実際のここ最近の最高気温は、70°F前半から80°F前半(大体20~28°C)。それなりに暑い時もあるけれど、湿度も50~60%であり、朝夕は40°F後半(8~9°C)まで下がることもある。東京の感覚で考えると、もはや秋の気配、というか秋?。
「一気に夏が終ってしまい、短い秋のあと、また厳しい冬が始まる…」と考えると切ない。
6月など、夏へ近づくにつれて、一つ疑問を頂いていた。
ボストンの住人達は、やたらと屋外で時間を過ごしたがる、と。
天気のいい日は、大学キャンパスや街中の芝生、公園、住宅の軒先、プールサイドなどの屋外で、本を読んだり、寝転んだり、コーヒー飲んだり、ペットと戯れたり、家族・友人同士で談笑たり、カップルでイチャイチャしたりしながら、時間を過ごしている人がとても多い。
基本的に、アメリカ人(西洋人?)は、日本人に比べて屋外好きの傾向が強いのは間違いないが、以前過ごした西海岸のロサンゼルス周辺と比べると、ボストンの方が“屋外出現率”はだいぶ高い気がする。
個人的には、ボストンは夏が短いがゆえに、住人はそのチャンスを堪能しようと、できる限り、太陽の下で過ごそうとしているのではないか?と考えている。そして、ボストンの夏は、期間は短いけど、上述のような温度と湿度であるため、屋外で過ごすのに最適だ(ロサンゼルス周辺は暑すぎる!)。加えて、夏のボストンは、夕方に突然、スコールのような激しい雨が降ったり、街中に雷が落ちまくることも多いため、晴天時間の希少価値はとても高い(ロサンゼルス周辺はいつも晴天なので、ありがたみ薄し!?)。
ここ数カ月、平日は学生たちと昼食を食べる機会が増えてきた。彼らは、天気のいい日はやたらに屋外で食べたがる。最近、自分もその気持ちが分かるようになってきた。
「この暑い(温かい)陽気がいつまで続くか分からない。おちおちしていると、また街中が白い雪に覆われてしまう。そして、今日のいつ何時、雷雨がやってくるか分からない(本当に予測不可能)。ならば、この素晴らしい晴天を、今楽しまないで、いつ楽しむのだ?」
ボストン住人は、そんな感覚なのかもしれない。少なくとも自分の感覚は、それに近い。
ちなみに、ボストンは8月でも小雪が降ることもあるという。ああぁ、恐ろしい。
≪写真・上 ハーバードやMITのあるケンブリッジ側より、チャールズ川を挟んで、ボストン中心部を望む
≪写真・上2 チャールズ川沿いの芝生でごろごろ≫
≪写真・下2 チャールズ川沿いのデッキでごろごろ≫
≪写真・下 最近は、ここでランチしています≫
↓ 日焼け止めを塗らずに、海やプールで泳いだりして激しく日焼けをすることも多く、
後からこういうのを塗っているが、時すでに遅し?
2008年8月21日木曜日
ビバ!アイスクリーム
工学・応用科学大学院(SEAS)では、毎週、“無料アイスクリーム・タイム!”が開催される。
コンピュータ・サイエンス系の研究室が集積するMaxwell-Dworkin研究棟(ビル・ゲイツの寄付により建設)の3階ラウンジでは、毎週木曜日の15:30に大量のアイスクリームが用意されている。真冬だろうと夏休みだろうと関係なく、通年の行事である。聞くところによると、コンピュータ・サイエンス系の(裕福な!?)先生たちの、スポンサーによって成り立っているという。
毎週その時間帯にラウンジへ行くと、学生や教員、スタッフが行列をなしていることも珍しくない。多種多様なアイスクリームと取り皿、スプーン、スクープが机の上に置かれており、「ご自由に、好きなだけ食べてください」というスタイルである。
工学系のむさい男どもが、和気あいあいと友達や教員、スタッフと談笑しながら、アイスクリームを貪っている姿は微笑ましい(ええ、自分もその一員ですが、、)。
ここでは、普段なかなか顔を合わさないような学科内の人々が集結するので、久しぶりの知人に会ったり、さらに新しく人を紹介してもらったりと、学科内外の人的交流を促進する場としても機能している。自分も、このアイスクリーム・パーティで、Peterからある教員を紹介してもらい、その人を通して、さらに学科外の様々な人々と交流を持つことが出来るようになった。
さて、実際のアイスクリームは、それなりの種類・量が用意されている。
自分は、チョコチップ・バニラとストロベリー、コヒー・アイスクリームなどをスクープでカップに山盛りして、仕上げに濃厚なチョコレート・ソースをアイスの上にドロっとかけたりしている。そんな山盛りカップを数杯食べて、さらには自分のオフィスへクッキー・サンド・アイスクリームを持ち帰り、、、、なんてこともしばしば。
もう、ほとんど中毒(笑)。
また、先月には全学あげての「学長主催アイスクリーム・パーティ!」なるものも開催された。ハーバード・ヤードという大学の中庭に集結して、みんなでアイスクリームを食べまくろう!という趣旨のパーティである。このときも調子に乗って、お持ち帰りまで含めて、4杯くらい平らげてしまった。
http://www.president.harvard.edu/news/080630
さて、ボストンへやってきて6か月以上が過ぎた。
有り難いことに、日本にいた時よりも自由時間が増えたので、俄然、体を動かす機会が増えた。
時間を見つけては、プールで泳いだり、ジムでランニングをしたり、筋トレをしたりと、恐らく日本で働いていた時の4, 5倍もしくはそれ以上の運動をしている(単に日本では、何もやっていなかっただけですが、、、)。
しかし、体型が変わらない。。。
本来であれば、体全体が若干は引き締まり、もう少し筋肉がついても良いものなのだが、鏡で見るところ、ほとんど変化なし。
体重計に乗りたいが、ハーバードのジムにある体重計は、昔ながらの量りみたいな感じで(?)、分銅みたいなのを動かす必要があり、未だに使い方が良く分からない。。。。米国は、世界でも断トツのGDPを誇る超先進国のはずだが、未だに銀行ATMでのお金の預入は、人の手計算によって数えられているなど、変なところでアナログが顕在している(日本のATMは、その場でいくら入金したかを数秒以内に自動集計してくれるが、こちらでは銀行の営業時間終了後、人の手によって計算され、翌日カードや通帳に登録される。ハーバード・スクエアのシティバンクの行員から確認)。
話はそれたが、そろそろ体が締まってきてもいいころなのに、ほとんど変化のないのは、このアイスクリームが原因では?と考えている。
(もちろん、もともとの日本でのアイス消費量はとても少なかったのだが)、恐らくこの6ヶ月間で、自分が日本にいた時の10年分以上のアイスクリームを食べている。
こうなると、大量に食べては(それを燃焼するために)ひたすら運動し、そして、また大量に食べてはバーベル上げてランニングしまくる、といったことをひたすら繰り返している、典型的アメリカ人みたいだ(含む、偏見)。自分も、たくさんのアイスを食べては、それを燃焼するために運動しているようなもの。こうなると、何のために体を動かしているのか、分からなくなる。最終的には、食べることも運動することも結局はプラス・マイナス0で相殺されて、ただの時間の無駄ということになるのか、それとも、アイスクリームを食べる喜びと体を動かすことの充実感の両方を手に入れることが出来て、生活満足度がアップしたと考えるのか?
もちろん、結果を重視するのか、プロセスに重きを置くのか違いであって、その選択は個人の嗜好によると思うが、自分としては、「大量のアイスを消費しては、たくさん体を動かし、そしてその結果±0」ということがばかばかしくなってきた。
でも、運動しているからこそ、アイスクリームを欲しているのか?いや昔、激しく運動していた時は、特に甘いものを欲するということはなかったし。。。と考え出すとよく分からないけど、この悪循環プロセスを断ち切るべく、アイスクリームを食べる回数と量を大幅に減らすことにしよう。
いや~、でも、毎週恒例の無料アイスクリームの会場は、自分のオフィスのすぐ側だし、週の後半でやや疲れが出てくる木曜日の夕方のアイスはたまんないんから、どうなることやらね~(笑)。
≪写真・上 Maxwell-Dworkinビルディング≫
≪写真・上2 こんな感じのアイスクリーム≫
≪写真・中 アイス片手に、研究を語り合う(?)野郎ども≫
≪写真・下2 全学アイスクリーム・パーティ①≫
≪写真・下 学アイスクリーム・パーティ②≫
↓ 今度、乗るのが恐ろしい(笑)。
コンピュータ・サイエンス系の研究室が集積するMaxwell-Dworkin研究棟(ビル・ゲイツの寄付により建設)の3階ラウンジでは、毎週木曜日の15:30に大量のアイスクリームが用意されている。真冬だろうと夏休みだろうと関係なく、通年の行事である。聞くところによると、コンピュータ・サイエンス系の(裕福な!?)先生たちの、スポンサーによって成り立っているという。
毎週その時間帯にラウンジへ行くと、学生や教員、スタッフが行列をなしていることも珍しくない。多種多様なアイスクリームと取り皿、スプーン、スクープが机の上に置かれており、「ご自由に、好きなだけ食べてください」というスタイルである。
工学系のむさい男どもが、和気あいあいと友達や教員、スタッフと談笑しながら、アイスクリームを貪っている姿は微笑ましい(ええ、自分もその一員ですが、、)。
ここでは、普段なかなか顔を合わさないような学科内の人々が集結するので、久しぶりの知人に会ったり、さらに新しく人を紹介してもらったりと、学科内外の人的交流を促進する場としても機能している。自分も、このアイスクリーム・パーティで、Peterからある教員を紹介してもらい、その人を通して、さらに学科外の様々な人々と交流を持つことが出来るようになった。
さて、実際のアイスクリームは、それなりの種類・量が用意されている。
自分は、チョコチップ・バニラとストロベリー、コヒー・アイスクリームなどをスクープでカップに山盛りして、仕上げに濃厚なチョコレート・ソースをアイスの上にドロっとかけたりしている。そんな山盛りカップを数杯食べて、さらには自分のオフィスへクッキー・サンド・アイスクリームを持ち帰り、、、、なんてこともしばしば。
もう、ほとんど中毒(笑)。
また、先月には全学あげての「学長主催アイスクリーム・パーティ!」なるものも開催された。ハーバード・ヤードという大学の中庭に集結して、みんなでアイスクリームを食べまくろう!という趣旨のパーティである。このときも調子に乗って、お持ち帰りまで含めて、4杯くらい平らげてしまった。
http://www.president.harvard.edu/news/080630
さて、ボストンへやってきて6か月以上が過ぎた。
有り難いことに、日本にいた時よりも自由時間が増えたので、俄然、体を動かす機会が増えた。
時間を見つけては、プールで泳いだり、ジムでランニングをしたり、筋トレをしたりと、恐らく日本で働いていた時の4, 5倍もしくはそれ以上の運動をしている(単に日本では、何もやっていなかっただけですが、、、)。
しかし、体型が変わらない。。。
本来であれば、体全体が若干は引き締まり、もう少し筋肉がついても良いものなのだが、鏡で見るところ、ほとんど変化なし。
体重計に乗りたいが、ハーバードのジムにある体重計は、昔ながらの量りみたいな感じで(?)、分銅みたいなのを動かす必要があり、未だに使い方が良く分からない。。。。米国は、世界でも断トツのGDPを誇る超先進国のはずだが、未だに銀行ATMでのお金の預入は、人の手計算によって数えられているなど、変なところでアナログが顕在している(日本のATMは、その場でいくら入金したかを数秒以内に自動集計してくれるが、こちらでは銀行の営業時間終了後、人の手によって計算され、翌日カードや通帳に登録される。ハーバード・スクエアのシティバンクの行員から確認)。
話はそれたが、そろそろ体が締まってきてもいいころなのに、ほとんど変化のないのは、このアイスクリームが原因では?と考えている。
(もちろん、もともとの日本でのアイス消費量はとても少なかったのだが)、恐らくこの6ヶ月間で、自分が日本にいた時の10年分以上のアイスクリームを食べている。
こうなると、大量に食べては(それを燃焼するために)ひたすら運動し、そして、また大量に食べてはバーベル上げてランニングしまくる、といったことをひたすら繰り返している、典型的アメリカ人みたいだ(含む、偏見)。自分も、たくさんのアイスを食べては、それを燃焼するために運動しているようなもの。こうなると、何のために体を動かしているのか、分からなくなる。最終的には、食べることも運動することも結局はプラス・マイナス0で相殺されて、ただの時間の無駄ということになるのか、それとも、アイスクリームを食べる喜びと体を動かすことの充実感の両方を手に入れることが出来て、生活満足度がアップしたと考えるのか?
もちろん、結果を重視するのか、プロセスに重きを置くのか違いであって、その選択は個人の嗜好によると思うが、自分としては、「大量のアイスを消費しては、たくさん体を動かし、そしてその結果±0」ということがばかばかしくなってきた。
でも、運動しているからこそ、アイスクリームを欲しているのか?いや昔、激しく運動していた時は、特に甘いものを欲するということはなかったし。。。と考え出すとよく分からないけど、この悪循環プロセスを断ち切るべく、アイスクリームを食べる回数と量を大幅に減らすことにしよう。
いや~、でも、毎週恒例の無料アイスクリームの会場は、自分のオフィスのすぐ側だし、週の後半でやや疲れが出てくる木曜日の夕方のアイスはたまんないんから、どうなることやらね~(笑)。
≪写真・上 Maxwell-Dworkinビルディング≫
≪写真・上2 こんな感じのアイスクリーム≫
≪写真・中 アイス片手に、研究を語り合う(?)野郎ども≫
≪写真・下2 全学アイスクリーム・パーティ①≫
≪写真・下 学アイスクリーム・パーティ②≫
↓ 今度、乗るのが恐ろしい(笑)。
2008年8月20日水曜日
ひたすら英語で書く宣言
10月、弟の結婚式や北京でのシンポジウムなどがある関係で、一旦帰国の予定。
その際、良いタイミングでGIS学会(第17回地理情報システム学会学術研究発表大会)が駒場東大にて開催されるので、併せてそちらにも参加する。原稿の締め切りは来週月曜日であるが、海外からの発送のため、昨日郵送した。
この2年間は、日本の学会であろうと論文集であろうと、原稿は敢えて全て英語で書いている。
2006年4月、「これから全ての発表講演原稿、査読論文を英語で書く!」と自分の中で密かに宣言した。もちろん、内容、状況に応じては日本語で書くことになるが、それ以外は国内の学会であろうと、何であろうと英語で書くことを決意。
このときは、横国大でのフェロー4年目、客員助教授という身分を頂いた年でもあったのが、自分の中では、この年でこの仕事を終えて、次年度から絶対に海外へ行くのだっ!!と決めていた。
とは言っても、その時点は何の当てもなかったのだが、そろそろ覚悟を決めて本気で勝負しないと、このままズルズルと永遠に先送りすることになるだろう、という予感があった。実際、大学院生のころから、「海外で働きたい!」と思っていたが、結局、大学院修了後は、そのままCOEプログラムに参画することになり、その後も毎年、日々の忙しさを言い訳にして、海外の研究機関を探したり、応募の書類を用意するさえほとんどなく、瞬く間に3年間が過ぎてしまっていた。
その状況から脱却すべく、前述の自己宣言と同時に、いくつの行動を実行することを決めた。その一つが、「これから、発表原稿・論文をできる限り英語で書く」であった(その後、どうしても日本語で書くべき内容だったので、2本の査読論文は日本語で書きましたが)。
こう書いていると、何だかスマートでかっこよさそうに聞こえるかもしれないが(?)、実際は、日本語で書くことの数倍(3~5倍?)の時間をかけて原稿を用意している割には、本当にひどい出来の原稿しかできずに幻滅したり、査読論文に至っては、言いたいことを上手く表現できずに、日本語で書いていた時に比べて、10倍近く苦労している気がする(それにも関わらず、ここのところ立て続けに不採択。。あぁ。。)。
今は米国にいるので、英語で書くのは当たり前の環境であるが、今回のGIS学会のように対象が日本人の学会であろうと、初心忘れずに(?)、ひたすら英語で書き続ける。
なんか、精神論ゴリ押しであるが(笑)、とにかく書いて、書いて、書きまくるしかない。今の状態で、闇雲に書き続ければ、それに比例して英語ライティング力が向上するとは思えないが、ある量に達すれば、質的な変化を引き起こすことを信じて、ただ前進あるのみ。それが何時なのかは分からないけど、その時が早くやってきますよーーに。
(これを書きながら、「それだったらブログも英語で書くべきだろう!」と考えたが、続かないのが目に見えている。あ~~、ぬるいな、自分(笑))
※ 研究分野によっては、全ての論文を英語で書くのは当たり前みたいだ。しかし、いわゆる“サイエンス”ではなく、ある特定地域の問題解決を目指した実践的研究を行う、建築・計画系の学生・研究者は、英語で論文を書く機会はとても少ない。世界中で通用する普遍的な事象を扱うサイエンスとは違って、特に日本国内で、その時代背景や社会要請に応じた極めてローカルな事象を研究している場合、それを海外へ向けて発表するような場(雑誌・国際会議)は限られているし、そもそも英語で発表する意義は少なく、むしろ日本語の方が適している。
自分は、できるだけ多くの人に自分たちがやっていることを知ってもらいたいから、そして、自分の英語力を改善したいから、ひたすら英語で書いてるだけ。サイエンスと地域実践型研究、英語論文と日本語論文、その両方とも大事で、同等の意義を持っているということは言うまでもない。
≪写真・上 大学の門の装飾(何て言うのだろう?)≫
≪写真・下 大学のアパートメント(多分、研究者や院生向け)≫
↓ パックンの『ハーバード流英訳術』。
“中吊り”の英訳って、かなりレベル高いよね。
その際、良いタイミングでGIS学会(第17回地理情報システム学会学術研究発表大会)が駒場東大にて開催されるので、併せてそちらにも参加する。原稿の締め切りは来週月曜日であるが、海外からの発送のため、昨日郵送した。
この2年間は、日本の学会であろうと論文集であろうと、原稿は敢えて全て英語で書いている。
2006年4月、「これから全ての発表講演原稿、査読論文を英語で書く!」と自分の中で密かに宣言した。もちろん、内容、状況に応じては日本語で書くことになるが、それ以外は国内の学会であろうと、何であろうと英語で書くことを決意。
このときは、横国大でのフェロー4年目、客員助教授という身分を頂いた年でもあったのが、自分の中では、この年でこの仕事を終えて、次年度から絶対に海外へ行くのだっ!!と決めていた。
とは言っても、その時点は何の当てもなかったのだが、そろそろ覚悟を決めて本気で勝負しないと、このままズルズルと永遠に先送りすることになるだろう、という予感があった。実際、大学院生のころから、「海外で働きたい!」と思っていたが、結局、大学院修了後は、そのままCOEプログラムに参画することになり、その後も毎年、日々の忙しさを言い訳にして、海外の研究機関を探したり、応募の書類を用意するさえほとんどなく、瞬く間に3年間が過ぎてしまっていた。
その状況から脱却すべく、前述の自己宣言と同時に、いくつの行動を実行することを決めた。その一つが、「これから、発表原稿・論文をできる限り英語で書く」であった(その後、どうしても日本語で書くべき内容だったので、2本の査読論文は日本語で書きましたが)。
こう書いていると、何だかスマートでかっこよさそうに聞こえるかもしれないが(?)、実際は、日本語で書くことの数倍(3~5倍?)の時間をかけて原稿を用意している割には、本当にひどい出来の原稿しかできずに幻滅したり、査読論文に至っては、言いたいことを上手く表現できずに、日本語で書いていた時に比べて、10倍近く苦労している気がする(それにも関わらず、ここのところ立て続けに不採択。。あぁ。。)。
今は米国にいるので、英語で書くのは当たり前の環境であるが、今回のGIS学会のように対象が日本人の学会であろうと、初心忘れずに(?)、ひたすら英語で書き続ける。
なんか、精神論ゴリ押しであるが(笑)、とにかく書いて、書いて、書きまくるしかない。今の状態で、闇雲に書き続ければ、それに比例して英語ライティング力が向上するとは思えないが、ある量に達すれば、質的な変化を引き起こすことを信じて、ただ前進あるのみ。それが何時なのかは分からないけど、その時が早くやってきますよーーに。
(これを書きながら、「それだったらブログも英語で書くべきだろう!」と考えたが、続かないのが目に見えている。あ~~、ぬるいな、自分(笑))
※ 研究分野によっては、全ての論文を英語で書くのは当たり前みたいだ。しかし、いわゆる“サイエンス”ではなく、ある特定地域の問題解決を目指した実践的研究を行う、建築・計画系の学生・研究者は、英語で論文を書く機会はとても少ない。世界中で通用する普遍的な事象を扱うサイエンスとは違って、特に日本国内で、その時代背景や社会要請に応じた極めてローカルな事象を研究している場合、それを海外へ向けて発表するような場(雑誌・国際会議)は限られているし、そもそも英語で発表する意義は少なく、むしろ日本語の方が適している。
自分は、できるだけ多くの人に自分たちがやっていることを知ってもらいたいから、そして、自分の英語力を改善したいから、ひたすら英語で書いてるだけ。サイエンスと地域実践型研究、英語論文と日本語論文、その両方とも大事で、同等の意義を持っているということは言うまでもない。
≪写真・上 大学の門の装飾(何て言うのだろう?)≫
≪写真・下 大学のアパートメント(多分、研究者や院生向け)≫
↓ パックンの『ハーバード流英訳術』。
“中吊り”の英訳って、かなりレベル高いよね。
2008年8月6日水曜日
ESRI UC その4 その他雑感など
マップ・ギャラリー・セッションの会場。ここでは、環境保全や気候変動、防災、インフラ管理、交通・ロジスティックスなど、世界中の様々な分野でのGISの活用が紹介されており、きれいにカッコ良くデザインされた個性的なポスターがたくさん並べられている。壮観である。日本からも沢山のポスターが出展されたいた。その中でも、京都大学・新潟大学チームの震災復興GISのポスターは特に迫力があったなぁ。
GIS関連の求人・求職コーナー。
皆さん、真剣にメモ取っています……。
だって、、、
自治体のGIS Supervisorで給料70k-90k (70,000-90,000USD)というビラもあったり、米国でのGIS Professionalの地位はやはり高そうだ。
以前このコーナーで、マクドナルドやカルバン・クラインのGISアナリスト募集のビラを見た。今年に入って別の場所で、マッキンゼー・アンド・カンパニーがGISアナリストを募集していた。
どこか、純日本人をVISAサポート付きで雇ってくれないだろうか?
今年も、懲りずに口頭発表。
10年前、初めてこのカンファレンスで発表して以来、すでに8回目。10年前と比べて、研究内容はそれなりに進化したと思うが(さすがにねぇ。。)、英語に関しては疑問が残る。そろそろこの状態を脱却せねば、と肝に銘じる。
ところで、今年は日本人によるポスター発表は沢山あったが、口頭発表はとても少なかったみたいだ。
自分が思うに、「他の国内外の学会・研究会議などに比べて、ESRI UCでの口頭発表は、かなり(良い意味で)敷居が低い」。具体的には、ほとんどの聴衆は、研究者というよりはGISの実務者であり、広い範囲でのGISの活用に関心を持っている人が多く、建設的で前向きな意見やアドバイスが圧倒的に多い。また、時間なども厳密でなく、柔軟性が高い(笑)。
個人的に、GISユーザーはフレンドリーで、忍耐強い人が多いので(じゃなきゃGISなんてやってられない!?)、下手なカタカナ英語もじっと耐えて、にこやかに聞いてくれる人が多い気がする。
来年以降、ESRI UCへ出席される方は、口頭発表も検討してみては如何でしょうか?
<写真・中 ホテルで発表前のコソ練に勤しむ(O氏撮影)>
<写真・下 夏の南カリフォルニアということで、ネクタイを付けている人はほとんどない。しかし、発表の際は“気合”を入れるため、敢えて愛用ネクタイを装着。まずは、カタチから。。。>
最終日の夜は、カンファレンス会場すぐ近くの海上(?)公園にて、屋外パーティ。
世界中のGISエクスパート、マニア、一般ユーザ、そしてその家族が、ビールとワインを片手に、GIS談義に花を咲かせる(?)。〆は、毎年恒例のESRI花火が、サンディゴ・ハーバーを彩る。
今年も、大勢の方々に大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
↓残念ながら、米国へは配送してくれないみたいだ。
GIS関連の求人・求職コーナー。
皆さん、真剣にメモ取っています……。
だって、、、
自治体のGIS Supervisorで給料70k-90k (70,000-90,000USD)というビラもあったり、米国でのGIS Professionalの地位はやはり高そうだ。
以前このコーナーで、マクドナルドやカルバン・クラインのGISアナリスト募集のビラを見た。今年に入って別の場所で、マッキンゼー・アンド・カンパニーがGISアナリストを募集していた。
どこか、純日本人をVISAサポート付きで雇ってくれないだろうか?
今年も、懲りずに口頭発表。
10年前、初めてこのカンファレンスで発表して以来、すでに8回目。10年前と比べて、研究内容はそれなりに進化したと思うが(さすがにねぇ。。)、英語に関しては疑問が残る。そろそろこの状態を脱却せねば、と肝に銘じる。
ところで、今年は日本人によるポスター発表は沢山あったが、口頭発表はとても少なかったみたいだ。
自分が思うに、「他の国内外の学会・研究会議などに比べて、ESRI UCでの口頭発表は、かなり(良い意味で)敷居が低い」。具体的には、ほとんどの聴衆は、研究者というよりはGISの実務者であり、広い範囲でのGISの活用に関心を持っている人が多く、建設的で前向きな意見やアドバイスが圧倒的に多い。また、時間なども厳密でなく、柔軟性が高い(笑)。
個人的に、GISユーザーはフレンドリーで、忍耐強い人が多いので(じゃなきゃGISなんてやってられない!?)、下手なカタカナ英語もじっと耐えて、にこやかに聞いてくれる人が多い気がする。
来年以降、ESRI UCへ出席される方は、口頭発表も検討してみては如何でしょうか?
<写真・中 ホテルで発表前のコソ練に勤しむ(O氏撮影)>
<写真・下 夏の南カリフォルニアということで、ネクタイを付けている人はほとんどない。しかし、発表の際は“気合”を入れるため、敢えて愛用ネクタイを装着。まずは、カタチから。。。>
最終日の夜は、カンファレンス会場すぐ近くの海上(?)公園にて、屋外パーティ。
世界中のGISエクスパート、マニア、一般ユーザ、そしてその家族が、ビールとワインを片手に、GIS談義に花を咲かせる(?)。〆は、毎年恒例のESRI花火が、サンディゴ・ハーバーを彩る。
今年も、大勢の方々に大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
↓残念ながら、米国へは配送してくれないみたいだ。
2008年8月5日火曜日
ESRI UC その3 一般セッション
今年は、気候変動に関する特別セッション(Climate Change GIS Special Program)が多数用意されていた(約10セッション)。
自分は、その中の6セッションに参加してきたが、どこも大盛況であった。
やはり世間で「気候変動・温暖化」と騒がれる中、「自分の街はどうなの!」と考えるのが普通である。しかし、IPCCの将来予測の空間精度は、基本的に大陸単位なので、地域単位のことはよく分からないのが現状。 そこで現在、多くの研究機関などが、地域単位での解析を始めているところであり、それに関する事例発表が沢山あった。アメリカは、「京都議定書を批准しない、環境に無頓着なけしからん国!」というイメージだが(実際、けしからんのだが…)、TVや大学の授業を受けた時、そして、このカンファレンスでの印象としては、CO2の排出削減や気候変動への対応策の策定など、積極的・先進的な対策を既に始めている米国の州政府や自治体もそれなりに多い気がする(代表:カリフォルニア州、テキサス州)。
やはり、「自分の街の気候が変化するのか?」、「どこの建物にソーラー・パネルを設置すると、費用対効果が高いのか?」といった疑問へ答えるためには、GISは必要不可欠である。実際に、Web GISを使って、ユーザが自分の周りの状況を簡単に検索できるようなサービスを開始している自治体もあるようだ(例:Solar Boston application)。また、学校教育用に、自分の地域のこれまで、そして、これからの気候変動を子供たちが容易に分析できるようなツールも発表されていた。
これらの発表の多くが、オレゴン州立大学のPRISM(Parameter-elevation Regressions on Independent Slopes Model) Groupの気候データを使っているようであった。このグループは、IPCCの報告書で使用されている大循環モデルの出力結果なども地域レベルにダウンスケーリングして、GIS上で利用できるようにしている(米国のみ)。
The Nature Conservancyも、ArcGIS Serverを使った気候変動解析ツール(米国のみ)を近日中に公開予定であり、当該分野のツールやアプリケーションの開発は、今後も一層進んで行きそうな予感である。
その他、個人的に、「Water Resources User Group Meeting」、「Atmospheric User Group Meeting」、「Carbon Management and Climate Change GIS User Group」などに参加した。“分野別ユーザ・グループ・ミーティング”と聞くと、何だか入りずらそうな感じがするが、「みんなでコミュニティを作って、メーリングリストなどで情報交換しましょう!」的な雰囲気なので、同じ分野で近いことをやっている仲間を見つけるにはもってこいの場である。
↓ 「デジタルアース」を提唱したのもゴア氏。彼が大統領だったら、米国の環境対策およびGIS分野の発展は、今と大きく違っていたかもしれない。
自分は、その中の6セッションに参加してきたが、どこも大盛況であった。
やはり世間で「気候変動・温暖化」と騒がれる中、「自分の街はどうなの!」と考えるのが普通である。しかし、IPCCの将来予測の空間精度は、基本的に大陸単位なので、地域単位のことはよく分からないのが現状。 そこで現在、多くの研究機関などが、地域単位での解析を始めているところであり、それに関する事例発表が沢山あった。アメリカは、「京都議定書を批准しない、環境に無頓着なけしからん国!」というイメージだが(実際、けしからんのだが…)、TVや大学の授業を受けた時、そして、このカンファレンスでの印象としては、CO2の排出削減や気候変動への対応策の策定など、積極的・先進的な対策を既に始めている米国の州政府や自治体もそれなりに多い気がする(代表:カリフォルニア州、テキサス州)。
やはり、「自分の街の気候が変化するのか?」、「どこの建物にソーラー・パネルを設置すると、費用対効果が高いのか?」といった疑問へ答えるためには、GISは必要不可欠である。実際に、Web GISを使って、ユーザが自分の周りの状況を簡単に検索できるようなサービスを開始している自治体もあるようだ(例:Solar Boston application)。また、学校教育用に、自分の地域のこれまで、そして、これからの気候変動を子供たちが容易に分析できるようなツールも発表されていた。
これらの発表の多くが、オレゴン州立大学のPRISM(Parameter-elevation Regressions on Independent Slopes Model) Groupの気候データを使っているようであった。このグループは、IPCCの報告書で使用されている大循環モデルの出力結果なども地域レベルにダウンスケーリングして、GIS上で利用できるようにしている(米国のみ)。
The Nature Conservancyも、ArcGIS Serverを使った気候変動解析ツール(米国のみ)を近日中に公開予定であり、当該分野のツールやアプリケーションの開発は、今後も一層進んで行きそうな予感である。
その他、個人的に、「Water Resources User Group Meeting」、「Atmospheric User Group Meeting」、「Carbon Management and Climate Change GIS User Group」などに参加した。“分野別ユーザ・グループ・ミーティング”と聞くと、何だか入りずらそうな感じがするが、「みんなでコミュニティを作って、メーリングリストなどで情報交換しましょう!」的な雰囲気なので、同じ分野で近いことをやっている仲間を見つけるにはもってこいの場である。
↓ 「デジタルアース」を提唱したのもゴア氏。彼が大統領だったら、米国の環境対策およびGIS分野の発展は、今と大きく違っていたかもしれない。
ESRI UC その2 技術編
引き続き、カンファレンス初日のJack Dangermond社長の基調講演より、自分が気になったところをメモ的に記す。その1は、これからのGISに関する概念的な面に焦点を当てたが、その2では技術的な項目についてその詳細は触れずに、発表の全体像を記述することを目指す。
■■■ 今が、GIS on the Webの始まりの時である ■■■
(これまでもESRI社は、Web GISの開発にかなりの力を注いできたが)今がまさに、WebとGISの能力の融合の時であり、これまでWebで主流であった単なる地図化と視覚化のはるか彼方へ、すなわち本来のGIS活用の本質である″解析能力”をWeb上でも発揮できる時がきた。
≪≪ ArcGISは、(特に政府や自治体などの組織において)共通のオペレーションを行うための、中央融合センター[Fusion center]となりつつある。
⇒ 緊急危機管理、住民の生活を守ること、国家安全保障、インフラ管理、軍事活動における情報の統合環境を提供する
≪≪ ArcGIS Serverも、様々な形式のマッシュアップ(複数の異なるWebサービスを統合する能力)をサポートすることで、新しい情報の共有や統合、コラボレーションを生み出していく。
(大学で出席した様々なGIS関連の会議でも、「MashUp!」はもはや合言葉(!?)。実際、こちらでも他分野における具体的な取り組み事例を見せてもらったが、これから本当に面白いことができそうな予感)
≪≪ Web GISは次の時代に突入している。
マッシュアップの技術とArcGIS Serverの飛躍的な進展により、誰もが簡単に(知らぬ間に)Web上でGISのデータや解析に触れることができるような、オープンで、よりアクティブで高度な地理空間サービス(Geo-services)の提供が可能になりつつある。
実際、Web上では高精度なベースマップや各種統計データ、画像データ、地質や水などの主題データが世界中のさまざなところで利用可能になってきている。これによって、GISエキスパートは、短時間でとても生産性の高い仕事をすることができる環境が整いつつある。
■■■ ArcGISバージョン 9.2⇒9.3 マイナー・アップグレード ■■■
2年前のカンファレンスでは、ArcGIS9.2のリリースに合わせて、「netCDFなどを含んだ、時空間データ全般に対する解析機能・視覚化が拡充されました!」「カートグラフィ機能が進化しました!」「Google Earthとの連携が可能になりました!」「ArcGIS Serverでの編集・解析機能が追加されました」など、ドーン、ドーン、ドドーーンと結構派手に(?)、ArcGIS DesktopおよびServer系製品の新機能を紹介することが、初日のESRI基調講演の中心であった気がする。
しかし今回のカンファレンスでは、そのような新しい機能や製品の紹介は少なく、その1や上に記述したように「GISのこれから」についての概念的ビジョンが中心で、技術的な項目に関しては、(バージョン9.3では)とにかくソフトウェアの使い勝手、安定性、信頼性の向上に努めたということを強調していた感がある。
■■■ ESRI社のテクニカル・サポートの大幅強化 ■■■
前述のソフトウェアの安定性・信頼性向上とも関係があるのだろうが、ESRI社全体として、(ソフトウェア?テクニカル・サポート?)の質が38%向上したと強調していた(ただし何に対してかは、聞き逃した)。今年の2月から5月までの間に、テクニカル・サポートの対応時間が90%削減されたとも言っていた。それを表すプレゼンのグラフはやや恣意的な気もしたし、詳細は良く分からなかったが、とにかくサポートに力を入れていることを強調していた。
以下、全体的な感想
技術的な面については、その1に書いた内容や上述の社会インフラとしてのArcGIS、Web GISをより一層確立するために、ソフトウェアの使いやすさ、安定性、信頼性の向上に、会社全体としてこれまで以上に力を入れていくことを強く表明しているような印象を持った。現場の一ユーザとしては、何よりもそれがアリガタイことである!
(例年の初日のように)ArcGISの新機能や製品についての技術的な面を強調するよりは、今回のように、今後のGISについて、Jack社長およびESRI社のビジョンをJack社長の自ら、自分の言葉でプレゼンテーションしてもらうのが一番だと思う。技術面への関心が高い人には少し物足りなかったかもしれないが、やはりこのカンファレンスの参加者(Jack曰く、GIS Professiionals)は、GISを使って、何か楽しいこと・新しいことをやってみたい、世界を良くすることに貢献したい、という人が多いのだろうから、その人たちに長中期的なビジョンを明確に示すことはその意義が大きいと思う。
以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
■■■ 今が、GIS on the Webの始まりの時である ■■■
(これまでもESRI社は、Web GISの開発にかなりの力を注いできたが)今がまさに、WebとGISの能力の融合の時であり、これまでWebで主流であった単なる地図化と視覚化のはるか彼方へ、すなわち本来のGIS活用の本質である″解析能力”をWeb上でも発揮できる時がきた。
≪≪ ArcGISは、(特に政府や自治体などの組織において)共通のオペレーションを行うための、中央融合センター[Fusion center]となりつつある。
⇒ 緊急危機管理、住民の生活を守ること、国家安全保障、インフラ管理、軍事活動における情報の統合環境を提供する
≪≪ ArcGIS Serverも、様々な形式のマッシュアップ(複数の異なるWebサービスを統合する能力)をサポートすることで、新しい情報の共有や統合、コラボレーションを生み出していく。
(大学で出席した様々なGIS関連の会議でも、「MashUp!」はもはや合言葉(!?)。実際、こちらでも他分野における具体的な取り組み事例を見せてもらったが、これから本当に面白いことができそうな予感)
≪≪ Web GISは次の時代に突入している。
マッシュアップの技術とArcGIS Serverの飛躍的な進展により、誰もが簡単に(知らぬ間に)Web上でGISのデータや解析に触れることができるような、オープンで、よりアクティブで高度な地理空間サービス(Geo-services)の提供が可能になりつつある。
実際、Web上では高精度なベースマップや各種統計データ、画像データ、地質や水などの主題データが世界中のさまざなところで利用可能になってきている。これによって、GISエキスパートは、短時間でとても生産性の高い仕事をすることができる環境が整いつつある。
■■■ ArcGISバージョン 9.2⇒9.3 マイナー・アップグレード ■■■
2年前のカンファレンスでは、ArcGIS9.2のリリースに合わせて、「netCDFなどを含んだ、時空間データ全般に対する解析機能・視覚化が拡充されました!」「カートグラフィ機能が進化しました!」「Google Earthとの連携が可能になりました!」「ArcGIS Serverでの編集・解析機能が追加されました」など、ドーン、ドーン、ドドーーンと結構派手に(?)、ArcGIS DesktopおよびServer系製品の新機能を紹介することが、初日のESRI基調講演の中心であった気がする。
しかし今回のカンファレンスでは、そのような新しい機能や製品の紹介は少なく、その1や上に記述したように「GISのこれから」についての概念的ビジョンが中心で、技術的な項目に関しては、(バージョン9.3では)とにかくソフトウェアの使い勝手、安定性、信頼性の向上に努めたということを強調していた感がある。
■■■ ESRI社のテクニカル・サポートの大幅強化 ■■■
前述のソフトウェアの安定性・信頼性向上とも関係があるのだろうが、ESRI社全体として、(ソフトウェア?テクニカル・サポート?)の質が38%向上したと強調していた(ただし何に対してかは、聞き逃した)。今年の2月から5月までの間に、テクニカル・サポートの対応時間が90%削減されたとも言っていた。それを表すプレゼンのグラフはやや恣意的な気もしたし、詳細は良く分からなかったが、とにかくサポートに力を入れていることを強調していた。
以下、全体的な感想
技術的な面については、その1に書いた内容や上述の社会インフラとしてのArcGIS、Web GISをより一層確立するために、ソフトウェアの使いやすさ、安定性、信頼性の向上に、会社全体としてこれまで以上に力を入れていくことを強く表明しているような印象を持った。現場の一ユーザとしては、何よりもそれがアリガタイことである!
(例年の初日のように)ArcGISの新機能や製品についての技術的な面を強調するよりは、今回のように、今後のGISについて、Jack社長およびESRI社のビジョンをJack社長の自ら、自分の言葉でプレゼンテーションしてもらうのが一番だと思う。技術面への関心が高い人には少し物足りなかったかもしれないが、やはりこのカンファレンスの参加者(Jack曰く、GIS Professiionals)は、GISを使って、何か楽しいこと・新しいことをやってみたい、世界を良くすることに貢献したい、という人が多いのだろうから、その人たちに長中期的なビジョンを明確に示すことはその意義が大きいと思う。
以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
2008年8月4日月曜日
ESRI UC その1 これからのGISの役割
ESRI国際ユーザ・カンファレンス(ESRI UC)が、4日~8日の5日間にわたって開催された。
今年は、世界121カ国から14,000人以上のGISスペシャリスト、およびGISに関心を持つ人々が、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に集結した。参加者は、各国の政府・自治体、研究・教育機関、ビジネス・セクター、NGO/NPO、国際機関(国連等)など非常に多岐にわたる。
会場は、毎年おなじみのサンディエゴ国際会議場。サンディゴ・バーバーに沿って、縦長に伸びる巨大な国際展示会場である(約600m×200m弱。Google Mapでの概算)。
初日は、8:30~15:30まで、全参加者(恐らく一万人以上)が一つの会場に集結し、同一の講演を聞く。今年も、世界中の多様な分野でのGISの活用を集約したカッコいいオープニング・ムービーのあと、ESRI・Jack Dangermond社長の基調講演でカンファレンスの幕が開く。
今年は、(昨年は参加していないので分からないが)例年に比べて、Jack社長によるプレゼンテーションの時間が長かったと思われる。さらに、ArcGIS製品の技術的な進展よりも、「GISのこれからの役割」といった概念的なことに多くの時間を割いていたのではないか?
以下、Jack社長が基調講演の中で語った、「これからのGISの役割」について自分が気になったところをメモ的に記す。
■■■ GISは、世界中の様々なところに浸透しつつあり、特に以下の項目におけるGISの関わりは一層大きくなっている■■■
≪ 我々の世界の(概念的・理論的な)表現の仕方
データ、モデル、データモデル, ワークフロー, 地図とグローブ, メタデータ
≪ (現象のメカニズム解明を含んだ)我々の世界の説明方法
特徴、過程、明示的・暗示的関係性
⇒ 空間的・統合的思考(Spatially integrated thinking)
≪ 人々のコミュニケートと、人と繋がり方
協働、学際的統合チーム、「場所」をキーとしたアプローチ
⇒ 地理空間情報の共有化
≪ 我々の仕事の在り方
計測→管理→分析→視覚化→デザイン・計画→意思決定→アクションなどの一連の流れのすべての過程において、系統的・総合的・分析的・定量的・そして視覚的な“科学的”アプローチがGISによって可能になりつつある。
■■■ これからGISは、今まで以上に多分野の先進的技術へ組み込まれていくことにより、人間活動を行う上での重要な基盤ツールとしてより、より深いところまで、広く行き渡っていく ■■■
⇒ コンピュータ機器の処理スピードの高速化(100倍)、高度な視覚化、周波数帯域幅[訳自信なし]の開発(1,000倍)、大容量記憶装置、Web、携帯電話、GISソフトウェアの進化、そして、さらなるGISプロフェッショナルの出現と活躍
■■■ GISはこれからの社会/世界にとって必要不可欠な基盤(インフラ)となりつつある。地球環境問題を含めた世界中のあらゆる問題に対して、今こそ、GISそしてGISプロフェッショナルがアクションを起こす時である ■■■
⇒ 何千ものアプリケーション、何十万ものシステム、何百万のユーザなと、分野や組織を越えた強靱な礎が、世界中に作られている。
以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
Jack社長・基調講演の技術的な面に関しては、その2にて。
≪写真・上≫ 低層で、ハーバー沿いに縦長に伸びるサンディエゴ国際会議場
≪写真・中≫ Jack Dangermond社長
≪写真・下≫ 会場からのサンディエゴ・ダウンタウンの眺め
↓ これからのGISの役割を考える上で、必読の一冊だと思います。
今年は、世界121カ国から14,000人以上のGISスペシャリスト、およびGISに関心を持つ人々が、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に集結した。参加者は、各国の政府・自治体、研究・教育機関、ビジネス・セクター、NGO/NPO、国際機関(国連等)など非常に多岐にわたる。
会場は、毎年おなじみのサンディエゴ国際会議場。サンディゴ・バーバーに沿って、縦長に伸びる巨大な国際展示会場である(約600m×200m弱。Google Mapでの概算)。
初日は、8:30~15:30まで、全参加者(恐らく一万人以上)が一つの会場に集結し、同一の講演を聞く。今年も、世界中の多様な分野でのGISの活用を集約したカッコいいオープニング・ムービーのあと、ESRI・Jack Dangermond社長の基調講演でカンファレンスの幕が開く。
今年は、(昨年は参加していないので分からないが)例年に比べて、Jack社長によるプレゼンテーションの時間が長かったと思われる。さらに、ArcGIS製品の技術的な進展よりも、「GISのこれからの役割」といった概念的なことに多くの時間を割いていたのではないか?
以下、Jack社長が基調講演の中で語った、「これからのGISの役割」について自分が気になったところをメモ的に記す。
■■■ GISは、世界中の様々なところに浸透しつつあり、特に以下の項目におけるGISの関わりは一層大きくなっている■■■
≪ 我々の世界の(概念的・理論的な)表現の仕方
データ、モデル、データモデル, ワークフロー, 地図とグローブ, メタデータ
≪ (現象のメカニズム解明を含んだ)我々の世界の説明方法
特徴、過程、明示的・暗示的関係性
⇒ 空間的・統合的思考(Spatially integrated thinking)
≪ 人々のコミュニケートと、人と繋がり方
協働、学際的統合チーム、「場所」をキーとしたアプローチ
⇒ 地理空間情報の共有化
≪ 我々の仕事の在り方
計測→管理→分析→視覚化→デザイン・計画→意思決定→アクションなどの一連の流れのすべての過程において、系統的・総合的・分析的・定量的・そして視覚的な“科学的”アプローチがGISによって可能になりつつある。
■■■ これからGISは、今まで以上に多分野の先進的技術へ組み込まれていくことにより、人間活動を行う上での重要な基盤ツールとしてより、より深いところまで、広く行き渡っていく ■■■
⇒ コンピュータ機器の処理スピードの高速化(100倍)、高度な視覚化、周波数帯域幅[訳自信なし]の開発(1,000倍)、大容量記憶装置、Web、携帯電話、GISソフトウェアの進化、そして、さらなるGISプロフェッショナルの出現と活躍
■■■ GISはこれからの社会/世界にとって必要不可欠な基盤(インフラ)となりつつある。地球環境問題を含めた世界中のあらゆる問題に対して、今こそ、GISそしてGISプロフェッショナルがアクションを起こす時である ■■■
⇒ 何千ものアプリケーション、何十万ものシステム、何百万のユーザなと、分野や組織を越えた強靱な礎が、世界中に作られている。
以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
Jack社長・基調講演の技術的な面に関しては、その2にて。
≪写真・上≫ 低層で、ハーバー沿いに縦長に伸びるサンディエゴ国際会議場
≪写真・中≫ Jack Dangermond社長
≪写真・下≫ 会場からのサンディエゴ・ダウンタウンの眺め
↓ これからのGISの役割を考える上で、必読の一冊だと思います。
2008年8月3日日曜日
プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その2
午後は、Maidment教授による「CUAHSI-HIS」の紹介が中心であった。
HIS(Hydrologic Information System)とは、全米のさまざまな機関の水文観測情報、およびこれまでの研究成果を分散型ネットワークで共有するとともに、流域内の水の挙動をほぼリアルタイムで観測して、共有することができる「バーチャル集水域」の実現を目指す、という壮大な構想を持った巨大研究プロジェクトである。
米国では,研究開発支援基盤の形成として,サイバーインフラストラクチャ構想*1を推進しており,2006 年度はNSF-Wide Investments(米国科学財団・優先投資分野)5 部門の1 つとして選定されている.これは幅広い領域の科学研究をインフラ面(計算機やネットワークなど)から支援するだけではなく,その研究成果を共有し,研究者間の協働を促進することを目的としている.
その一環として,全米の100 以上の大学が参画する全米高度水文科学大学連合(CUAHSI: The Consortium of Universities for the Advancement of Hydrologic Science, Inc.) は,2004年よりHISプロジェクトを開始した。テキサス大学Maidment 教授をリーダーとしたこのプロジェクトは,これまでの水資源GIS の研究開発やそこから生まれたArc Hydroの概念や技術を基盤として,水文データの蓄積や利用に関する手法やデータの標準化などを進めている。この構想を実現すべく、サンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)や全米各地の大学と連携した研究開発体制を構築していることは特筆すべき点である。
2006年5月、テキサス州ヒューストンで開催された、2006 AWRA Spring Specialty ConferenceにてHISプロジェクトの進捗状況を見る機会があった。その時点ではインフラの基礎技術の検討やプロトタイプの開発がメインといった感じで、構想の実現はだいぶ先のことのように思われた。
今回の発表では、昨月にリリースされたCUAHSI HYDROLOGIC INFORMATION SYSTEM Version 1.1が紹介された。具体的な中身は、百聞は一見にしかずなので、直接下のリンクから成果物を見ていただきたい(全ての成果がWeb上で公開)。現時点では、全米50の観測ネットワークの175万地点、838万レコードの時系列データ、3億4千万のデータ値(data values)が利用可能だという。
≪≪ CUAHSI-HISトップページ リンク
Webサービス、ツール、ルール作りなど、完成度の高い多くの研究成果が公開されているが、その中で特に興味深いと感じたことを以下に列挙した。
・Observation Data Model(ODM) … 各種の水文観測データをリレーショナルデータベースに格納し、検索するためのデータベース・スキーマ。
・WaterML (WaterOneFlow) Web Services … WaterMLというXML形式の交換データ・フォーマットに基づく、水文データ・サーバ(データベース)とユーザの間の水文データを転送するための標準化システムWaterOneFlowというWeb serviceを開始。
・HydroExcel … Excelのスプレッドシートから、上述のWaterOneFlowへ直接アクセスが可能。Excel上で、全米の水文観測データのクエリーを行い、必要なデータをスプレッドシート上で簡単に読み組むことができる。シンプルな作りである(と思われる)が、これが一番実用的で、米国中の水資源管理者/研究者に最も喜ばれるのでは?
・HydroTagger … 水文情報の階層構造化(オントロジー)。
・HydroViewer version 0.5(近日中に公開予定)
水文情報の統合化を目指した、ArcGIS Serverを基盤としたWebサービス。たとえば、洪水に関するすべての記録(浸水区域ポリゴン、降水量・河川水量などの時系列データ)が全てリレーショナル・データベース上で紐付けされているので、ある水文観測地点でのハイドログラフやチャート、マップなどを、時間と空間の精度(データ解像度)を自在に変えながら、多角的にデータを分析することができる。また、各種の集計や解析の機能も付随されている。
上述のシステムは、すべて米国内を対象としたものであるが、CUAHSIの技術を使った同様のシステムがオーストラリアの一部の地域でも進められており、今後の更なる発展が見込まれる。
実際のところ、「バーチャル集水域」の構築とは、今の時代、誰もが考えられるアイデアかもしれない。しかし、全米の大学と強力な連携体制を作り、研究開発資金を獲得し、開発チームを組織して、実際の技術開発と運用の仕組み作りを"実現"しているところが、何よりもすごい。まさに、言うは易し、行うは難しの世界であろう。
HISの基盤となったArc Hydroの開発は、Maidment教授の強力なリーダーシップなしには到底実現できなかったと言われている(『Arc Hydro: GIS for Water Resources』(ESRI, 2002)の冒頭より)。Maidment教授の、WebやGIS, 水文科学に関する最先端の知識や技術力に加えて、その実現に必要なチームを組織し資金を集める政治力、プロジェクトを魅力的なものにするための創造力、そして、メンバーを率先していくための情熱と強力なリーダーシップが、このHISプロジェクトも成功へ導いているのだろう。まさに、Hydro GISのカリスマである。
実は2006年の春、Arc Hydroの応用的利用に興味があった自分は、テキサス大学オースチン校のMaidment研究室の門を叩いた。しかし、「(君が研究する)部屋が空いていない」というあまり府に落ちない理由で受け入れを断られたことがある(実際は、自分の研究テーマが彼の趣向に合わなかったことが原因だと思うが)。
もし、あの時受け入れられていたら、今頃はテキサスのど真ん中で、カウボーイハットをかぶって馬にまたがり、このHISプロジェクトに関わっていたかもしれないと考えると、妙に感慨深かい(スミマセン、本当はオースチン校のまわりは都会です)。
≪写真・上 カンファレンスの会場周辺(陸側)≫
≪写真・下 Maidment教授の行くところ、常に人だかり(後日、UCの展示場にて)≫
*1 米国科学財団(NSF) サイバーインフラストラクチャ計画
サイバーインフラ構築の目的は、これまでに扱えなかった大量のデータ蓄積や計算、データ流通を可能にして、人やデータ、情報、ツール、機器といった研究コミュニティにおける情報共有とそれを使いこなせる、 よりユビキタスで、網羅的なデジタル環境の実現にある。
NSF Cyberinfrastracture
↓ 米国の大学や企業に履歴書を送る人は、必見です!(5つ星)
テキサス大に履歴書を送ったときは、顔写真を入れ、年齢・性別を記入するという、日本では当たり前だけど、米国ではやっていはいけない“タブー”を犯していたことが、受け入れを認められなかった原因かもしれない(いや、それ以前に研究内容か…)。
HIS(Hydrologic Information System)とは、全米のさまざまな機関の水文観測情報、およびこれまでの研究成果を分散型ネットワークで共有するとともに、流域内の水の挙動をほぼリアルタイムで観測して、共有することができる「バーチャル集水域」の実現を目指す、という壮大な構想を持った巨大研究プロジェクトである。
米国では,研究開発支援基盤の形成として,サイバーインフラストラクチャ構想*1を推進しており,2006 年度はNSF-Wide Investments(米国科学財団・優先投資分野)5 部門の1 つとして選定されている.これは幅広い領域の科学研究をインフラ面(計算機やネットワークなど)から支援するだけではなく,その研究成果を共有し,研究者間の協働を促進することを目的としている.
その一環として,全米の100 以上の大学が参画する全米高度水文科学大学連合(CUAHSI: The Consortium of Universities for the Advancement of Hydrologic Science, Inc.) は,2004年よりHISプロジェクトを開始した。テキサス大学Maidment 教授をリーダーとしたこのプロジェクトは,これまでの水資源GIS の研究開発やそこから生まれたArc Hydroの概念や技術を基盤として,水文データの蓄積や利用に関する手法やデータの標準化などを進めている。この構想を実現すべく、サンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)や全米各地の大学と連携した研究開発体制を構築していることは特筆すべき点である。
2006年5月、テキサス州ヒューストンで開催された、2006 AWRA Spring Specialty ConferenceにてHISプロジェクトの進捗状況を見る機会があった。その時点ではインフラの基礎技術の検討やプロトタイプの開発がメインといった感じで、構想の実現はだいぶ先のことのように思われた。
今回の発表では、昨月にリリースされたCUAHSI HYDROLOGIC INFORMATION SYSTEM Version 1.1が紹介された。具体的な中身は、百聞は一見にしかずなので、直接下のリンクから成果物を見ていただきたい(全ての成果がWeb上で公開)。現時点では、全米50の観測ネットワークの175万地点、838万レコードの時系列データ、3億4千万のデータ値(data values)が利用可能だという。
≪≪ CUAHSI-HISトップページ リンク
Webサービス、ツール、ルール作りなど、完成度の高い多くの研究成果が公開されているが、その中で特に興味深いと感じたことを以下に列挙した。
・Observation Data Model(ODM) … 各種の水文観測データをリレーショナルデータベースに格納し、検索するためのデータベース・スキーマ。
・WaterML (WaterOneFlow) Web Services … WaterMLというXML形式の交換データ・フォーマットに基づく、水文データ・サーバ(データベース)とユーザの間の水文データを転送するための標準化システムWaterOneFlowというWeb serviceを開始。
・HydroExcel … Excelのスプレッドシートから、上述のWaterOneFlowへ直接アクセスが可能。Excel上で、全米の水文観測データのクエリーを行い、必要なデータをスプレッドシート上で簡単に読み組むことができる。シンプルな作りである(と思われる)が、これが一番実用的で、米国中の水資源管理者/研究者に最も喜ばれるのでは?
・HydroTagger … 水文情報の階層構造化(オントロジー)。
・HydroViewer version 0.5(近日中に公開予定)
水文情報の統合化を目指した、ArcGIS Serverを基盤としたWebサービス。たとえば、洪水に関するすべての記録(浸水区域ポリゴン、降水量・河川水量などの時系列データ)が全てリレーショナル・データベース上で紐付けされているので、ある水文観測地点でのハイドログラフやチャート、マップなどを、時間と空間の精度(データ解像度)を自在に変えながら、多角的にデータを分析することができる。また、各種の集計や解析の機能も付随されている。
上述のシステムは、すべて米国内を対象としたものであるが、CUAHSIの技術を使った同様のシステムがオーストラリアの一部の地域でも進められており、今後の更なる発展が見込まれる。
実際のところ、「バーチャル集水域」の構築とは、今の時代、誰もが考えられるアイデアかもしれない。しかし、全米の大学と強力な連携体制を作り、研究開発資金を獲得し、開発チームを組織して、実際の技術開発と運用の仕組み作りを"実現"しているところが、何よりもすごい。まさに、言うは易し、行うは難しの世界であろう。
HISの基盤となったArc Hydroの開発は、Maidment教授の強力なリーダーシップなしには到底実現できなかったと言われている(『Arc Hydro: GIS for Water Resources』(ESRI, 2002)の冒頭より)。Maidment教授の、WebやGIS, 水文科学に関する最先端の知識や技術力に加えて、その実現に必要なチームを組織し資金を集める政治力、プロジェクトを魅力的なものにするための創造力、そして、メンバーを率先していくための情熱と強力なリーダーシップが、このHISプロジェクトも成功へ導いているのだろう。まさに、Hydro GISのカリスマである。
実は2006年の春、Arc Hydroの応用的利用に興味があった自分は、テキサス大学オースチン校のMaidment研究室の門を叩いた。しかし、「(君が研究する)部屋が空いていない」というあまり府に落ちない理由で受け入れを断られたことがある(実際は、自分の研究テーマが彼の趣向に合わなかったことが原因だと思うが)。
もし、あの時受け入れられていたら、今頃はテキサスのど真ん中で、カウボーイハットをかぶって馬にまたがり、このHISプロジェクトに関わっていたかもしれないと考えると、妙に感慨深かい(スミマセン、本当はオースチン校のまわりは都会です)。
≪写真・上 カンファレンスの会場周辺(陸側)≫
≪写真・下 Maidment教授の行くところ、常に人だかり(後日、UCの展示場にて)≫
*1 米国科学財団(NSF) サイバーインフラストラクチャ計画
サイバーインフラ構築の目的は、これまでに扱えなかった大量のデータ蓄積や計算、データ流通を可能にして、人やデータ、情報、ツール、機器といった研究コミュニティにおける情報共有とそれを使いこなせる、 よりユビキタスで、網羅的なデジタル環境の実現にある。
NSF Cyberinfrastracture
↓ 米国の大学や企業に履歴書を送る人は、必見です!(5つ星)
テキサス大に履歴書を送ったときは、顔写真を入れ、年齢・性別を記入するという、日本では当たり前だけど、米国ではやっていはいけない“タブー”を犯していたことが、受け入れを認められなかった原因かもしれない(いや、それ以前に研究内容か…)。
プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その1
本番のESRI国際ユーザー・カンファレンスは、月曜日から本格的に開始されるが、その前の週末には、特定の産業や分野におけるGISの活用やその技術開発に焦点を絞ったプレ・カンファレンス・セミナーが開催される*1。そのほとんどが、8:30 a.m.–5:00 p.m.の間、一つのテーマについて集中的にセミナーを行うため、特定分野におけるGISの最先端情報を入手するには最も効率が良い。
最近は、"水"GISに関わっているので、この分野の最先端を突き詰めるべく、「GIS Hydro 2008—Modeling and Managing Water Resources」に参加*2。
これは、ESRIのWater resouceチームのリーダーであるDr. Dean "Water boy" Djokicやテキサス大学オースチン校のDavid Maidment教授など、Arc Hydroの開発に携わるキー・パーソンのプレゼンテーションと質疑応答により構成されるワークショップ形式の有料セミナーである。このセミナーへの参加は、2006年に続いて2回目。参加者約40人の多くは米国内の大学や政府・自治体関係者。2006年、日本からは国立環境研究所の方も参加されていたが、今回は自分一人とやや寂し。
参加者は、"水問題を扱うGISエキスパート"というよりも、"GISをツールとして利用する水資源管理者/水文学者"(Non GIS expert)の方が多いこともあり、午前は「水文学のためのGISデータとツール」や「Arc Hydroデータモデルとツールの紹介」などArc Hydroの基本事項の紹介。『Arc hydro -GIS for water resources』(現在、日本語版出版準備中)の復習といったところ。
その後、水文シミュレーション・プログラム「HEC-HMS」*3や水理シミュレーション・プログラム「HEC-RAS」*4とArc Hydroの連携についての紹介があった。
と、午前中はArc Hydro関連ツールに関する説明が中心だったので、自分にとってあまり目新しいものはなかったが、流域環境や水問題に携わっていてGISに興味がある人や、Arc Hydroを使い始めたばかりのユーザにとっては、数時間でその全体像を掴むことができるので、お勧めのコースと言えよう。
午後は、その2へ続く。
≪写真・上 会場はサンディエゴ・ハーバーのすぐ傍≫
≪写真・下 Maidment教授(左)とWater Boy・Dean(右)≫
*1 プレカンファレンス・セミナー全般に関する日本語資料 リンク
*2 98年から始まったGIS Hydroセミナーの全資料がダウンロード可能 リンク
*3 HEC-HMS(Hydrologic Modeling System)とは,流域を複数の集水域が集まったツリー上のシステムと捉えて,その上流から下流までの降雨-流出過程をシミュレートするためのソフトウェアである.広範囲にわたる河川流域の地形的な空間分布とともに,都市域や各集水域の土地被覆状況を考慮して流出量を算出する.
*4 HEC-RAS(River Analysis System)は,一次元の水理解析を実行するためのソフトウェアである.定常流水面形状ならびに非定常流解析のコンポーネントが用意されており,河川の形状と流入量から水面形状の変動を計算する.
↓ 写真のお二方の著書
最近は、"水"GISに関わっているので、この分野の最先端を突き詰めるべく、「GIS Hydro 2008—Modeling and Managing Water Resources」に参加*2。
これは、ESRIのWater resouceチームのリーダーであるDr. Dean "Water boy" Djokicやテキサス大学オースチン校のDavid Maidment教授など、Arc Hydroの開発に携わるキー・パーソンのプレゼンテーションと質疑応答により構成されるワークショップ形式の有料セミナーである。このセミナーへの参加は、2006年に続いて2回目。参加者約40人の多くは米国内の大学や政府・自治体関係者。2006年、日本からは国立環境研究所の方も参加されていたが、今回は自分一人とやや寂し。
参加者は、"水問題を扱うGISエキスパート"というよりも、"GISをツールとして利用する水資源管理者/水文学者"(Non GIS expert)の方が多いこともあり、午前は「水文学のためのGISデータとツール」や「Arc Hydroデータモデルとツールの紹介」などArc Hydroの基本事項の紹介。『Arc hydro -GIS for water resources』(現在、日本語版出版準備中)の復習といったところ。
その後、水文シミュレーション・プログラム「HEC-HMS」*3や水理シミュレーション・プログラム「HEC-RAS」*4とArc Hydroの連携についての紹介があった。
と、午前中はArc Hydro関連ツールに関する説明が中心だったので、自分にとってあまり目新しいものはなかったが、流域環境や水問題に携わっていてGISに興味がある人や、Arc Hydroを使い始めたばかりのユーザにとっては、数時間でその全体像を掴むことができるので、お勧めのコースと言えよう。
午後は、その2へ続く。
≪写真・上 会場はサンディエゴ・ハーバーのすぐ傍≫
≪写真・下 Maidment教授(左)とWater Boy・Dean(右)≫
*1 プレカンファレンス・セミナー全般に関する日本語資料 リンク
*2 98年から始まったGIS Hydroセミナーの全資料がダウンロード可能 リンク
*3 HEC-HMS(Hydrologic Modeling System)とは,流域を複数の集水域が集まったツリー上のシステムと捉えて,その上流から下流までの降雨-流出過程をシミュレートするためのソフトウェアである.広範囲にわたる河川流域の地形的な空間分布とともに,都市域や各集水域の土地被覆状況を考慮して流出量を算出する.
*4 HEC-RAS(River Analysis System)は,一次元の水理解析を実行するためのソフトウェアである.定常流水面形状ならびに非定常流解析のコンポーネントが用意されており,河川の形状と流入量から水面形状の変動を計算する.
↓ 写真のお二方の著書
2008年8月2日土曜日
サンディエゴへ
月曜日から開催されるESRI国際ユーザー・カンファレンスへ出席すべく、米国北東部のボストン空港から、西海岸南部のサンディエゴ空港まで、Oさんとともにそれぞれ別のルートで向かう。
①自分
航空会社: AirTran(アトランタをハブ空港として、米国東海岸を中心に就航)
経由地: アトランタ
飛行時間: 6時間+乗継0.5時間
飛行距離: 約2,400 miles
②Oさん
航空会社: ユナイテッド
経由地: サンディエゴ
飛行時間: 8時間+乗継1.5時間
飛行距離: 約2,700 miles
①の経路の場合でも、バンコク⇒成田とほぼ同じ時間がかかる。(日本や米国西海岸からの)ボストンの遠さを実感。一方、ボストンからドイツ・フランクフルトまでは、直行7時間で行ける。日本で見る世界地図は、大西洋のところで切られらているため、距離感が分からないが、ボストンからヨーロッパへ行くのと西海岸へ行くのは似たような感覚なのだろうか?
機内ではそんなことを考えたり、カンファレンスでの発表の準備をしながら、午後、サンディエゴへ到着。予約をしていたホテルへ行ったら、「ダブル・ブッキングのため、(1日だけ)郊外のリゾート・ホテルへ泊ってくれ」と何の悪びれる様子もなく、フロントから一方的に通告される。"Sorry"のソの字もない態度に若干腹が立ち、自分が刃向っているのを大人Oさんのけん制によって丸く収まる、という楽しいプチ・ハプニングも発生。トラブルもまた旅行の醍醐味。
1998年、初めてESRI国際ユーザー・カンファレンスに出席した際に受けた衝撃と感動、その時の直感「GISって面白い。今後の世界で必要な、一つの重要なツールとなるだろう!」が今の自分(仕事)に大きな影響を与えた(激しい思い込みが得意な、理工系に不向きな直感人間です。なので科学論文は落ちまくりです(苦笑))。
今回は、初出席からちょうど10年の節目に当たる年。西方のボストンからの参加ということで、今までとは心持が大きく違う。
今年のカンファレンスでは、どのような発見や感動、そして出会いが待っているのだろう。今後10年、そして、それ以上の自分の人生、そして研究生活に役立つような何かを探索するつもりで、カンファレンス期間中は、いろんな人に会ったり、有用な情報を収集すべく、頭と体をフル回転にしてアクティブに動き回ろう。
(いつものことだが、またもや極めて主観的・感覚的な文章。。。せめて、カンファレンスの期間中は、誰かの役に立つような、客観的で有益な文章を書くように心懸けよう[自己反省])
<写真・上 AirTran航空機@ボストン空港>
<写真・中 急遽、内陸のリゾート・ホテルへ>
<写真・下 ホテルでくつろぐ、大人O氏>
①自分
航空会社: AirTran(アトランタをハブ空港として、米国東海岸を中心に就航)
経由地: アトランタ
飛行時間: 6時間+乗継0.5時間
飛行距離: 約2,400 miles
②Oさん
航空会社: ユナイテッド
経由地: サンディエゴ
飛行時間: 8時間+乗継1.5時間
飛行距離: 約2,700 miles
①の経路の場合でも、バンコク⇒成田とほぼ同じ時間がかかる。(日本や米国西海岸からの)ボストンの遠さを実感。一方、ボストンからドイツ・フランクフルトまでは、直行7時間で行ける。日本で見る世界地図は、大西洋のところで切られらているため、距離感が分からないが、ボストンからヨーロッパへ行くのと西海岸へ行くのは似たような感覚なのだろうか?
機内ではそんなことを考えたり、カンファレンスでの発表の準備をしながら、午後、サンディエゴへ到着。予約をしていたホテルへ行ったら、「ダブル・ブッキングのため、(1日だけ)郊外のリゾート・ホテルへ泊ってくれ」と何の悪びれる様子もなく、フロントから一方的に通告される。"Sorry"のソの字もない態度に若干腹が立ち、自分が刃向っているのを大人Oさんのけん制によって丸く収まる、という楽しいプチ・ハプニングも発生。トラブルもまた旅行の醍醐味。
1998年、初めてESRI国際ユーザー・カンファレンスに出席した際に受けた衝撃と感動、その時の直感「GISって面白い。今後の世界で必要な、一つの重要なツールとなるだろう!」が今の自分(仕事)に大きな影響を与えた(激しい思い込みが得意な、理工系に不向きな直感人間です。なので科学論文は落ちまくりです(苦笑))。
今回は、初出席からちょうど10年の節目に当たる年。西方のボストンからの参加ということで、今までとは心持が大きく違う。
今年のカンファレンスでは、どのような発見や感動、そして出会いが待っているのだろう。今後10年、そして、それ以上の自分の人生、そして研究生活に役立つような何かを探索するつもりで、カンファレンス期間中は、いろんな人に会ったり、有用な情報を収集すべく、頭と体をフル回転にしてアクティブに動き回ろう。
(いつものことだが、またもや極めて主観的・感覚的な文章。。。せめて、カンファレンスの期間中は、誰かの役に立つような、客観的で有益な文章を書くように心懸けよう[自己反省])
<写真・上 AirTran航空機@ボストン空港>
<写真・中 急遽、内陸のリゾート・ホテルへ>
<写真・下 ホテルでくつろぐ、大人O氏>
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