2008年8月4日月曜日

ESRI UC その1 これからのGISの役割

ESRI国際ユーザ・カンファレンス(ESRI UC)が、4日~8日の5日間にわたって開催された。

今年は、世界121カ国から14,000人以上のGISスペシャリスト、およびGISに関心を持つ人々が、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に集結した。参加者は、各国の政府・自治体、研究・教育機関、ビジネス・セクター、NGO/NPO、国際機関(国連等)など非常に多岐にわたる。

会場は、毎年おなじみのサンディエゴ国際会議場。サンディゴ・バーバーに沿って、縦長に伸びる巨大な国際展示会場である(約600m×200m弱。Google Mapでの概算)。


初日は、8:30~15:30まで、全参加者(恐らく一万人以上)が一つの会場に集結し、同一の講演を聞く。今年も、世界中の多様な分野でのGISの活用を集約したカッコいいオープニング・ムービーのあと、ESRI・Jack Dangermond社長の基調講演でカンファレンスの幕が開く。

今年は、(昨年は参加していないので分からないが)例年に比べて、Jack社長によるプレゼンテーションの時間が長かったと思われる。さらに、ArcGIS製品の技術的な進展よりも、「GISのこれからの役割」といった概念的なことに多くの時間を割いていたのではないか?

以下、Jack社長が基調講演の中で語った、「これからのGISの役割」について自分が気になったところをメモ的に記す。

■■■ GISは、世界中の様々なところに浸透しつつあり、特に以下の項目におけるGISの関わりは一層大きくなっている■■■

≪ 我々の世界の(概念的・理論的な)表現の仕方
 データ、モデル、データモデル, ワークフロー, 地図とグローブ, メタデータ

≪ (現象のメカニズム解明を含んだ)我々の世界の説明方法
 特徴、過程、明示的・暗示的関係性
 ⇒ 空間的・統合的思考(Spatially integrated thinking)

≪ 人々のコミュニケートと、人と繋がり方
 協働、学際的統合チーム、「場所」をキーとしたアプローチ
 ⇒ 地理空間情報の共有化

≪ 我々の仕事の在り方
 計測→管理→分析→視覚化→デザイン・計画→意思決定→アクションなどの一連の流れのすべての過程において、系統的・総合的・分析的・定量的・そして視覚的な“科学的”アプローチがGISによって可能になりつつある。

■■■ これからGISは、今まで以上に多分野の先進的技術へ組み込まれていくことにより、人間活動を行う上での重要な基盤ツールとしてより、より深いところまで、広く行き渡っていく ■■■
 ⇒ コンピュータ機器の処理スピードの高速化(100倍)、高度な視覚化、周波数帯域幅[訳自信なし]の開発(1,000倍)、大容量記憶装置、Web、携帯電話、GISソフトウェアの進化、そして、さらなるGISプロフェッショナルの出現と活躍

■■■ GISはこれからの社会/世界にとって必要不可欠な基盤(インフラ)となりつつある。地球環境問題を含めた世界中のあらゆる問題に対して、今こそ、GISそしてGISプロフェッショナルがアクションを起こす時である ■■■
  ⇒ 何千ものアプリケーション、何十万ものシステム、何百万のユーザなと、分野や組織を越えた強靱な礎が、世界中に作られている。


以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
Jack社長・基調講演の技術的な面に関しては、その2にて。


≪写真・上≫ 低層で、ハーバー沿いに縦長に伸びるサンディエゴ国際会議場
≪写真・中≫ Jack Dangermond社長
≪写真・下≫ 会場からのサンディエゴ・ダウンタウンの眺め

  
↓ これからのGISの役割を考える上で、必読の一冊だと思います。