今年は、気候変動に関する特別セッション(Climate Change GIS Special Program)が多数用意されていた(約10セッション)。
自分は、その中の6セッションに参加してきたが、どこも大盛況であった。
やはり世間で「気候変動・温暖化」と騒がれる中、「自分の街はどうなの!」と考えるのが普通である。しかし、IPCCの将来予測の空間精度は、基本的に大陸単位なので、地域単位のことはよく分からないのが現状。 そこで現在、多くの研究機関などが、地域単位での解析を始めているところであり、それに関する事例発表が沢山あった。アメリカは、「京都議定書を批准しない、環境に無頓着なけしからん国!」というイメージだが(実際、けしからんのだが…)、TVや大学の授業を受けた時、そして、このカンファレンスでの印象としては、CO2の排出削減や気候変動への対応策の策定など、積極的・先進的な対策を既に始めている米国の州政府や自治体もそれなりに多い気がする(代表:カリフォルニア州、テキサス州)。
やはり、「自分の街の気候が変化するのか?」、「どこの建物にソーラー・パネルを設置すると、費用対効果が高いのか?」といった疑問へ答えるためには、GISは必要不可欠である。実際に、Web GISを使って、ユーザが自分の周りの状況を簡単に検索できるようなサービスを開始している自治体もあるようだ(例:Solar Boston application)。また、学校教育用に、自分の地域のこれまで、そして、これからの気候変動を子供たちが容易に分析できるようなツールも発表されていた。
これらの発表の多くが、オレゴン州立大学のPRISM(Parameter-elevation Regressions on Independent Slopes Model) Groupの気候データを使っているようであった。このグループは、IPCCの報告書で使用されている大循環モデルの出力結果なども地域レベルにダウンスケーリングして、GIS上で利用できるようにしている(米国のみ)。
The Nature Conservancyも、ArcGIS Serverを使った気候変動解析ツール(米国のみ)を近日中に公開予定であり、当該分野のツールやアプリケーションの開発は、今後も一層進んで行きそうな予感である。
その他、個人的に、「Water Resources User Group Meeting」、「Atmospheric User Group Meeting」、「Carbon Management and Climate Change GIS User Group」などに参加した。“分野別ユーザ・グループ・ミーティング”と聞くと、何だか入りずらそうな感じがするが、「みんなでコミュニティを作って、メーリングリストなどで情報交換しましょう!」的な雰囲気なので、同じ分野で近いことをやっている仲間を見つけるにはもってこいの場である。
↓ 「デジタルアース」を提唱したのもゴア氏。彼が大統領だったら、米国の環境対策およびGIS分野の発展は、今と大きく違っていたかもしれない。