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2008年12月6日土曜日

HarvardScienceへの掲載

11月19日のセミナーで
自分が発表した内容が
(⇒CGA セミナーでの発表)、
HarvardScienceに
掲載されている。

――――――――――――――
HarvardScience
 
 *上部の
 Environments メニュー から
 Geography をクリック
 > "Thinking globally and mapping locally"へ
――――――――――――――

さすがプロの記者、
分かりやすい文章で簡潔にまとめてくれている。
タイトルはかなり大げさだが、一般向けの記事としては
これ位キャッチ―な表現が必要なのだろう。

事前に、文章を確認させてもらったのだが、
その後の記者もしくは編集長による最終校正により、
誇張表現が若干増えている(笑)。

(例えば、「人口、土地利用、気候の変化を予測する」と記述されているが、
 もちろん、そんなことはできない(笑)。
 あくまでも、“潜在的な変化の幅を大まかに検討する”という程度)

「ラリー・サマーズのムービーを見て、ここに来ることを決めた」、
(⇒CGAその3:地理解析センター開設の理念
という話も書かれている。


英語だけど、自分の研究内容が、
簡潔にまとめられているので、
ご興味とお時間がある方は目を通してくださいませ。


↓「世界〈水〉市場120兆円。“水危機”を背景に急成長する水ビジネス。」
だそうです…。

2008年11月24日月曜日

一期一会

ラリー(ローレンス)・サマーズ元ハーバード大学長
(元米国財務長官、元世界銀行副頭取、、)が、
オバマ政権のホワイトハウスの国家経済会議議長に
正式に指名された。(⇒オバマ人事異例の早さ

自分は偶然、彼のスピーチ・ムービーをWebで閲覧し、
大きな感銘を受け、
ハーバードのGISセンターに行くことを決心した。
(⇒CGAその3:地理解析センター開設の理念

そして、こちらに来た後、
学内で偶然、ラリー・サマーズに遭遇した。
しかし、声をかけるタイミングが難しく、
「また、今度でいいや」と
その時は声をかけるのを諦めてしまった。
(⇒ラリー・サマーズ前学長との遭遇


そして本日、ホワイトハウスの国家経済会議議長への指名。
雲の上の人が、遥か宇宙の人になってしまった。
もうきっと、学内で彼に出会う機会など
無くなってしまうのだろう。


一期一会:一生に一度限りの機会
の意味は分かっているが、
愚かな自分はその意味を忘れがちだ。


小さい頃は、自分の未来は永遠に続いて、
明日も、今日と変わらず同じ日がやってくる、
と思い込んでいた。

しかし、年齢を重ねるにつれて、
今日と同じ日は二度とやってこないし、
自分の側にいる人が、
明日も同じように存在するとは限らない、
ということも強く実感している。

また、自分は以前、地震・崖崩れなどの自然災害や
ワールド・トレード・センターの崩壊や韓国テグでの地下鉄火災など、
人為的な災害を研究していた。
災害によって、何ら自分に非がなくても、
突然、命を落としてしまう可能性があることも
分かっているつもりだ。


そうであれば、常に、周りの人たちに
感謝の気持ちを伝えるのを怠るべきではない。
関係が近ければ近いほど忘れがちだが、
そんなの言い訳にもなりえない。

「今度でいいや」
そう思って、2度と会えないこともある。

自分は今まで、それことばかり人生だったので
(ごめんなさい、皆さん!)、
「あの時、彼/彼女に○○を伝えておけば、、、」、
そんな後悔はこれ以上したくない。

どんなに恥ずかしくても、失敗しても、
想いはその場で伝えないと、
永遠に伝わらないかもしれない。


いや、でも、まだその人が生きている限り、
今からでも想いを伝えることはできるはずだ。
(やや前文と矛盾していますが、、、)


ラリー・サマーズとも、これから先、
再会できるかもしれない。

いや、再会してやる!
5年先、もしくは、10年以上かかるかもしれない。
でも、30年超しで、奇跡的に、
憧れの著者に出会えることだってあるのだから。
(⇒ネガエバカナウ?


自分もいつか、ラリー・サマーズに伝えたい。

「あなたのスピーチに感銘を受け、
ここに来ることを決めました。
今、GISセンター(CGA)で研究できて光栄です。
そして何より、
あたなに会えてハッピーです!」と。



↓ “モテ名言”、、、、気になる。

2008年11月22日土曜日

ピア・レビュー

11月19日のCGAプレゼン(⇒CGAセミナーでの発表)の数日前、
自分のプレゼンテーションに対する
ピア・レビュー(peer review)を行った。

ピア・レビューとは、「同僚・仲間によるチェック」のことであり、
ソフトウェア開発や科研費(科学研究費)の審査などでも
取り入れられる手法である(⇒Wikipedia)。

プレゼンや論文作成の指南書などにも、
大勢の人に発表をする前や雑誌に論文を投稿する前に、
「ピア・レビューをしなさい!」
と書いている。
要は、自分の文章や発表資料を公にさらす前に、
第三者から客観的な意見をもらい、
内容・表現方法を洗練せよ!

ということである。


もちろん、それが大事なのは分かる。
しかし現実は、そんな時間的余裕はないし、
そこまでプレゼンに気合を入れる必要性もなかったので、
今までやろうと思わなかった。


しかし今回、
初めての英語での90分セミナー(60分のプレゼン)ということで、
事前に、同じ研究ツール(GIS)を使っているが、
専門分野が異なる知人に
60分のプレゼンテーションを聞いてもらった。

そして、プレゼンに関する感想を
自由に言ってもらった。


具体的には、
 ・ 意味不明な箇所
 ・ 発音が怪しい単語
を指摘してもらうとともに、
 ・ 「こうすると、もっと分かり易いでしょ?」
 という改善案
を提示してもらった。


指摘してもらった意見を聞いた感想は、
まさに「目から鱗が落ちる」思いであった。

自分が用意したプレゼン資料が、
いかに自分の思い込みの塊であるか!
を思い知らされた。


もちろん自分の中では、聞き手が、
研究の目的と手段、そして結果を、
順を追って段階的に理解できるように、
論理的なストーリーとそれを表すスライドを
用意したつもりであった。

しかし実際は、自分の考えが
聞き手に伝わっていないところが数点、存在した。


特に、自分と、専門の異なる第三者とでは、
一つの用語に対する認識が大きく異なることもある。
自分では、誰もが知っている“一般用語”と思っていても、
他の分野の人にとっては、「何それ?」ということも多々ある。


やはり人は、自分が持っている知識や経験に基づいて、
情報を処理して解釈する。
その場合、その人の持つ知識や考え方によって、
異なる方向で、情報が解釈されることも十分あり得る。


自分と専門分野が離れれば離れるほど、
その傾向が高まるのだろう。
そう考えると、広く一般の方々を対象に発表をする場合は、
理路整然とした構成のもと、分かりやすい言葉によって、
適切な方向へ聞き手を先導していくことが求められる。

専門用語は当然のことながら、
一般用語だけれど、
分野による特有の定義がある言葉(例えば、watershed, stream flow)は、
きちんと説明しないと、誤解されることがある。


「プレゼンをする上で、そんなこと当然でしょ?」
と言う人もいるかもしれない。

しかし実際に、ピア・レビューを経験することで、
「やはり相当な経験を積まない限り、
 客観的に自分の発表内容を点検することは
 極めて困難であり、第三者からの意見には到底敵わない」
ことを強く実感。
すなわち、ピア・レビューの意義はとてつもなく大きい、と。


ピア・レビューをする際、
ピアというのがキーだろう。
比較的近い立場で、気軽に意見を交わせるような関係が良い。
そして、専門分野も遠からず近過ぎずの関係が、
より効果的なのだろう。

今回、じっくりとプレゼンを聞いてもらい、
ある程度の時間をかけて、対等に議論することで、
「どこで、何が足りないのか。
どうすればより分かりやすいか?」が、
明確に浮かび上がってきた。


実際のところ、ピア・レビューをお願いする相手によって、
その意義というか、フィードバックの質と量に差が出てくるだろう。

(今回はピアといっても、自分より知的レベルが遥かに高い方だったので、
 効果が大きかったのかもしれない(笑))


同時に、自分の方でも、
「何を言われても、怒らないし恨まない。
気がついたことは何でも言ってください♪」という
オープンな雰囲気を醸し出すことが大事だろう。


ピア・レビューの意義を(今更ながら!)学べたことが、
今回の最大の収穫だったかもしれない。



↓ 研究のプレゼンでも、
肝はやっぱり“ストーリー”!

2008年11月19日水曜日

CGA セミナーでの発表

CGA(地理解析センター)は、
月一回、
ABCD-GIS Working Group
開催する。

これは学内外の研究者・実務者が、GISの理論や応用についての最新の研究成果を発表することで、
コミュニティ内外での情報収集や意見交換を促進することを趣旨とした、定例ミーティングである。


ついに、
というか、とうとう、
自分が発表する番が回ってきた。

こちらにきて初めての、
90分セミナーの開催となる。
(⇒タイトル・内容のフライヤーPDF)

4月に一度、講義を担当させてもらったが(⇒初講義)、
自分が中心となって、
研究の話を展開するセミナー形式は、
今回が初挑戦だ。

しかも90分、かなり長い。


時間の使い方は自由裁量なので、
適当に(!?)、
プレゼン60分、質疑応答30分と決めた。
これまでのセミナーへの参加経験から、
妥当な時間配分だと思われる。

(というか、30分以上の質疑応答には
 耐えられる気がしない(笑))


今回の60分プレゼンのため、
4月の講義のときと同様、
発表用原稿を用意した。

やはり正式な場での英語発表には、
まだまだ原稿の用意は欠かせない。

しかし、そうは言っても、
60分のフル原稿を用意するのは大変なので、
今回は8割程度の用意にとどめた。


そして、講義のときほどではないが、
今回もそれなりの回数を練習した。

一回60分となると、
練習を開始するにもかなりの気合いが必要であり、
重い腰が全然上がらなかったが、
それでも5,6回は通しの練習をした。


もうこちらにやってきて、9か月以上経つので、
そろそろこんなセミナーくらい、
軽くこなせるようになりたいが、
そうもいかないと言うのが現状だ。


そして11月19日、無事発表が終了。
用意したプレゼンは計60分で終わったし、
伝えたいこともちゃんと言えた。
英語の発音・リズムはボロボロだったが、
まあ、現時点での自分のベストは尽くしたつもりだ。


しかし、、、
質疑応答の30分は、ボロボロだった。。。。

質問者の問いに対して、適切に応えられなかったこともあったし、
その場では回答したつもりであったが、
後になって考えると、
(自分の方で)質問内容を誤って解釈して、
異なる趣旨の回答をしてしまったこともあった。


プレゼンの前、
「質疑応答の際には、
"Are you asking that ~?"と
必ず相手の質問を自分の口で確認してから、
回答をはじめる」
と自分に言い聞かせていたが、
全く実行できなかった。

(↑を実行することで、
 ①自分が相手の質問を正しく理解するとともに、
 ②聴衆全員にも質問内容を確認することができる。
 ③そしてその間、自分が回答を考える時間が稼げる、
 という利点があるらしい)


まずは、当たり前のやるべきことから、
ちゃんとやりましょう、
自分。


*学内外から足を運んで
本発表を聞きに来てくださった皆様、
どうもありがとうございました!!



≪写真 先週初めのキャンパス。
今はもう、ほとんど枯れ木です。≫



↓会場に用意されていないことが多いので、
マイ・ポインターは必携です!

2008年10月8日水曜日

CGA その3: 地理解析センター開設の理念

 ハーバード大地理解析センター(CGA; Center for Geographic Analysis)設立理念を理解する上で、本センター開設式(May 5, 2006)のラリー・サマーズ学長(当時)によるスピーチが重要だと自分は考えている。

 現時点では大学内部からしかアクセスできないが、以前は誰でも自由にこのスピーチ・ムービーにアクセスできた。
 2005年夏、横国大でネットサーフィンをしていた時、ふとハーバード大学CGAのWebサイトを見つけ、この学長スピーチ・ムービーに辿りついた。このムービーを見た瞬間、「こっ、ここに行きたぃ!」と強く思うほど、自分にとっては印象的なスピーチだった。
 具体的には、「アカデミックにおけるGISのこれからの方向性」、そして、「ハーバードが、なぜこのタイミングでGISセンターを設立したのか?ハーバードはGISに何を期待しているのか?」を、学長が自身の言葉で明確に、力強く語っている。彼の専門である経済学をもとに、GISの重要性を説いているところが興味深い。

 以下は、15分のスピーチ・ムービーをもとに、エ(ト)ロイ・ファウラー氏協力のもと、独自に文字化したものだ。英語ですが、一読の価値アリです。


May 5, 2006 『History and Revival of Geography at Harvard』
Welcome Remarks Video of presentation by President Lawrence H. Summers より。

-----------------
 This is an important day for Harvard, and it’s even possible that it’s important day beyond Harvard. Someone has said that when Harvard takes a step, it blazes a past. Sometimes that the case, sometimes it’s not, but might be the step here.

 By embracing new geography, I think Harvard is taking important step today. Before I do anything else, I want to thank Jack Dangermond for his vision, energy and support. I want to thank Peter Bol who has been the faculty leader of this project, and who is done remarkable job, for all his energy and for his vision.
 
 Harvard’s history with geography has not been a tale of an avoid happiness. One of my predecessors examined Harvard’s efforts in geography with a withering gaze some years ago, and the conclusion of his examination, they were no more. One can debate whether that’s a wise or an unwise action. What it said about social science of geography as it stood at that point, what it said about other less attractive personal aspects that may of entered the decision making.

 But that’s the past, and geography is a very different field today, and it’s increasingly at the center of a very wide range of intellectual concerns. We start a certain number of interdisciplinary programs designed to bring people together across different fields at Harvard, but what I’m struck by looking out this crowd, is we have Humanists like Professor Kune and Professor Angle here, we have social scientists like Professor Samson and Professor King here, we have scientists like Professor Goodman here, my understanding is the Professor Shrag would be here a little later. So it’s a reflection at the first level on the importance of what we are doing here, on the importance of geography, on the importance of the kind of work that national geographers do that there is such a wide and broad interdisciplinary representation here.

 I know a little about this in the context of my own field, where if you thought about Economics and all the things Economics sought to explain and discuss. What you would be struck by until very very recently to some extent it’s still, true today… there are lots of economic observations you can try to explain: Why are there these things called interest rates? Why is there this thing called the stock market? why are some people rich, why are some people poor, why are there shortages, or sometimes surplus other time, why are there booms sometimes, and why are there busts other times. If you take any introductive economics course, you will learn a set of theories that explain all of the phenomena I just described.

 Here is another phenomenon. If you look at the land area of the Great Plains, it’s all more less to same and yet about 95 % of economic activity takes place in about 5 % of the space. And you can sit through all of the introductive economics, you can graduate as an undergraduate, and then graduate as a PhD, for almost any university economic program, and not be exposed even to the fact that that’s an interesting observation, let alone to what are the most convincing explanations for it. And yet if you think about it, it’s something that’s absolutely central to the organization of economic life, it’s something that must obviously bare on everything from economics of housing, to the economics of transportation, to the economics of international trade between different places. There is now a new economic geography that’s seeking to shed light on these issues that has made considerable progress. But if you had to think about all of the really important phenomena economically, surely the one that has the highest ratio of importance to amount studied in academy is Economic geography.

 There’s another related observation of role of place in social science. I reminded of seeing Professor Samson here. We have the notion in economics indeed in much of social science of individualistic rationality that we all are born with our preferences and those preferences shape our demands and shape our behaviors, and then they all interact to make some kind of equilibrium, and that’s the economy. And yet we are all creatures of our social environments, and the social environments that affect us most are the social environments that are closest to us. So questions of our neighborhood, our place how it evolves, how it makes us evolve, how our evolution affect other places are something central importance that’s too is part of new geography.

 I’ve used you these examples in a little bit of details because they are actually near things that I know a little bit about. But there are others, in some ways even larger questions that this new geography will open up for us.
What have been the deep forces, the really deep forces that have shaped the way in which human history has unfolded. Why is it that in one continent, there are ten times as many people per acre as in another continent, and those people are ten times as rich? Why are some areas of the world much more prone to war than other areas of world? Why do people live longer if they are luckily enough to be born in some areas of the world, then in others? We are starting to develop answers to these questions, that go beyond one story, after another, one data point one story that approach to deep history. That kind of thing whether he got right or he got wrong, which is a very matter of debate, that’s represented by Jared Diamond “Guns, Germs and Steel" that has the prospect of fundamentally enhancing our understanding.

 That’s yet the another aspect why I think an effort like the one that embarked on here is very very important, that goes to the nature of scientific inquiry. Freeman Dyson once suggested there are two views of the history of science. One is the view to which I was exposed to my high school training and which I suspect most intuitive to all of us. There these paradigms that come from hypothesis that have been confirmed for a while, that go along, eventually people start to detect anomalies within the paradigm, enough anomalies build up, people don’t know quite what to do, some genius comes alone and proposes a new theory, that explains the anomalies and opens up new questions and we declare progress. What might be called Cunean view of progress science.

 That’s different view, which Daison labeled the Galisonian view of history of science, after a colleague of Peter Galison. It’s a view that emphasizes centrally tools. Yes that’s lot of stuff about hypothesis and so forth, basically, when people looked telescope and saw there were moons orbiting Jupiter, then they understood the answer, not everything was revolving around the earth. When somebody invented microscope and looked into a microscope and they saw cells, and they knew something very important that they did not know before. One can extend the metaphor out to the particle accelerator, computerized genomic sequencing, or the Hubble telescope.

 The point is that the development of new tools just to open up huge areas of inquiry that lead to new hypothesis that lead to progress, and that the fundamental engine is the less the anomaly and theoretical insight, then the tools that change the nature of the questions that are being asked. It seems to me that’s very much represented here as well, with the tremendous new power of Geographic Information Systems that make it possible for us to construct models of everything for Gary King’s Voting district, Peter Bol’s China in the 3rd century, in ways that we didn’t have before.

 So whether it’s history, whether it’s social science, whether it’s tools space science, this is an opportunity to explore a vast and not virgin intellectual territory, but an intellectual territory that can now be approached with new perspectives, new tools and newly important ways. That’s why this is a very important initiative for our university. And the Provost and I’ve been thrilled to lend our support to it, and I expect very very important things would come out of it in the future.
-----------------

※ 上述の文章はCGA公式発表のものではなく、ムービー画像をもとに著者が自主的に文字化したものです。スピーチをそのまま文字にしたので、文章として表記すると不自然な表現も含まれていますし、筆者の聞き間違いなどが含まれている可能性もあります。



≪写真 2008年9月までのハーバードCGA。写真・上の建物の3階で、定量社会科学研究所(the Institute for Quantitative Social Science)の一角を“間借り”している感じであった。≫


↓ハーバード大GIS研究の歴史がまとめられています。

2008年10月2日木曜日

CGA その2: David Maguireによるセミナー

 ESRI社のDirector & Chief Scientist であるDr. David J. Maguireによるセミナーが9月26日にハーバード大学にて開催された。

 Maguireは、『GIS原典―地理情報システムの原理と応用』(古今書院、1998)から、↓に示した『Geographical Information Systems And Science 』(2005)など、世界中のGISのバイブル的な書籍を多数出版しており、近年のGISの発展に最も貢献した一人ともいえる。

 まずはじめに、SEAS(工学・応用科学科)にて、"Current and Future Trends in Modeling Geographic Systems"と題したセミナーを、その後、CGA(地理情報解析センター)にて、"Current and Future Trends in GIS"と題したセミナーを行った(各90分、合計3時間)。両会場には、GISを専門に扱うスタッフやGISに関心のある研究者、学生などが大勢集まった。

 2つのセミナーを通して、「GISは、科学研究(含む、自然科学、社会科学)を行うための重要なツールであり、今後の科学の発展のためにより欠かせない存在となっていくであろう」ということを再確認できた。

 1960年代から開発が始まったGIS(GI systems)は、今の時代、DesktopGIS, WebGIS, Open source GIS, Spatial data infrastructures, location-based services, dynamic modeling, server GIS, handheld GISなど包含する世界は広大だ。Google MapやGoogle Earth, Microsoft Virtual EarthもGISといえば、GISだ。

 それぞれの技術には開発のトレンドがあり、時代とともに移り変わる。各技術に関して、「開発・普及のピークへ向かって成長し、期待の頂点に達した後、期待感の失望とともに開発・普及のペースが下落する。その後、時間の経過とともに、再浮上して、安定的再生産期に入る」というサイクルを、Gartner Hype Cycleを使って説明していたのが、印象的であった。昨今のGIS関連技術のトレンドがよく分かった。

 学部時代に生物学と地理学を専攻(ちなみにPh.D.は地理学)していた彼の興味対象は幅広く、Webから、ソフトウェア開発、GISに関するマーケット、Google earth /mapとでは使っているデータムが違う?といったプロジェクションについての技術的な詳細まで熟知している。

 さすが、ESRIのDirector & Chief Scientist(かなり偉い!) として長年君臨(?)しているDavid Maguireだけあって、GISに関する最新の技術動向を短時間で包括的に説明してくれた。

 今回は、大学でのセミナーということで、学生や研究者から「研究でGISがどう使えるのか?」という質問が多かった。その中で、「多くのサイエンスは、GISなしでもできるのではないか?」といった質問が出た。
 それに対して、Maguireは、「多くの研究者がやっている様な、詳細なサイエンスの分析に対して、現時点のGISでできることは限定的である。しかし、(汎用の)ソフトウェアとして、どこまで、何が出来るのかを挑戦し続けている。その例として、Geostatistics AnalystAgent Analystなどのエクステンションの開発が挙げられる。
 また、巨大なデータベースを構築する際にGISは有用であるし、空間的関係を考慮した拡散モデルなどを構築することにGISは優れている。さらに、SQL Server, Postgres, Oracle, SAP, SPSS, Rなどアカデミックやビジネス分野で汎用的に使われている外部システム(ソフトウェア)をArcGIS環境に統合できるという点で、科学研究の推進に貢献している」と返答していた。


 彼みたいに、GISの理論・技術の詳細に熟知しており、実務・研究の両方での経験も豊かで、かつGISを使った分野横断型の研究に強い関心のあるお方には、ハーバードCGAのようなGISによる学際研究の推進を目指しているアカデミックの場でも活躍して頂きたい。


↓ Maguireの書籍の一部。
特に、『Geographical Information Systems And Science 』は、最新の技術動向・分析手法を、沢山の写真と図で総合的かつ分かりやすく説明しており、ハーバードのGISの講義でも参考図書として使われています。







2008年5月30日金曜日

KSGエグゼクティブ・セミナー

20~21日の2日間、行政大学院(KSG: John F Kennedy Schoo of Government)が開催するエグゼクティブ・セミナー、「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加した(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)。

参加者は全部で50人程度。主催者であるKSGの教授陣をはじめとして、ハーバード地理解析センター(CGA)のセンター長、地理空間情報の共有に関わりの深い以下の組織の代表が集められた。
- 国防総省(DOD), 国土安全保障省(DHS), 環境保護庁(EPA), 陸軍(ARMY)
- 地質調査所(USGS), 海洋大気庁(NOAA), 国家地球空間情報局(NGA), 連邦航空局(FAA), 連邦食品医薬品局(FDA),職業安全健康研究所, 陸軍技術工兵隊
- カリフォルニア州環境保護局・公衆衛生局, アリゾナ州環境保護局, マサチューセッツ州公衆衛生局, ユタ州, ニュージャージー州警察,
- ニューヨーク市, フィラデルフィア市
- Google社、Microsoft高等技術研究所、インターグラフ社、Leica社、その他、ネットワーク・インターネット系企業
- Open Geospatial Consortium (OGC: 地理空間データの世界標準・相互運用を目指した非営利団体)

参加機関リストを見て分かるように、このセミナーは米国の中央省庁・州政府の高官を対象に開催しているものである。主催はKSG。CGAとOGCが共催。Microsoft, Google, ERDAS, Intergraphなどの空間情報技術関連企業がスポンサーという構成である。
大学が中心となって、企業を含めた、これだけの関連機関を一堂に会したワークショップを実現することによって、テーマとしては新しいものではないが、非常に複雑で難しい重要問題に対して、実践的に挑もうとするところが凄い。

かくいう自分も、博士論文では、「地理情報データベースによる都市防災情報システムの構築に関する研究」という、災害の事前対策や直後の緊急対応活動などの意思決定過程において、GISのデータをどう活用するのか?を研究していたので、今回のテーマは見逃せない。また、現在所属している目黒研究室でも、災害対応業務における情報処理フローの分析手法の研究などを行っているので、「これは出るしかない!」と考え、共催のCGAのメンバーとして、かなりの意気込みで(!?)参加させてもらった。

進め方としては、KSGの教授が主導のもと、
・米国での、これまでの省庁や州政府間の枠を越えた、画期的な情報共有の事例(例えば、海軍と海兵隊、連邦運輸省(USDOT)による海事情報の共有)を取りあげ、その(招待された)関係者たちに、その時の状況を話してもらうことで、ケーススタディを掘り下げる。
・それにより、問題の所在を明確化するとともに、問題解決の教訓を共有する。また今後、他のケースに応用する場合は新たな問題が生じるのか、そして、その解決法は?さらに、それを実現した場合のメリットは何か?、といったことを(あらかじめ割り振られた)キー・メンバーを中心に議論を展開し、随時、他の参加者も意見を述べたり、解決策などを提案していくという、ひたすら議論中心の進め方であった(~という手法らしい)。

参加メンバーには、ケーススタディー資料が事前に配布されており、参加者はその内容を熟知していることを前提に、セミナーは進められていく。すなわち、セミナーの開始時に、ケーススタディーの概要紹介や補足説明、プレゼンテーションなどは全くなしに、いきなり、「あの時、△△を判断したのは、〇〇省■■局から、◇◇の申し出があって、、」とケーススタディーの核心部分の掘り下げが始まる。ドライな雰囲気の(?)この会合では、冒頭での参加メンバーの自己紹介といった儀式もなく、いきなりフルスピードで走り始めるといった感じで、開始直後すぐに深い議論に突入する。そしてそれが、丸一日半続く。

当初は、やる気満々で参加したものの、ほとんどの議論に着いて行けいないというのが現実であった。。。(泣)
やはり、その事例を理解していることが前提であるが、そのためには米国の中央省庁および州政府の仕組みを熟知していることが大前提である。省庁程度なら大体分かっていたが、その下の部局(?)やその役割は全くと言っていいほど分からない(例:DHSのU.S. Secret Serviceって何?)。特に今回は、軍や防衛機関という、自分(日本人!?)にはあまり馴染みがない組織のケーススタディが多くあったため、日本の状況に置き換えて考えることも難しく、その具体的なイメージを掴むことは難しかった。
それより何より、パワーポイントなどの視覚的資料なしに(ほんの一部だけあったけど)、英語での深い議論を理解することは困難極まりなかった。残念ながら今回は、議論の上澄み的な部分だけの理解にとどまり、議論の核心部分は察することすらできなかった。なので、今回のブログでも具体的なことは書けないし、目黒研にお土産を送ることもできなかった。。。残念!

ただ、言い訳(?)として、「地理空間情報の共有のあり方」とタイトルに銘打っていた割には、一般的な情報共有の在り方に関する議論に多くの時間が割かれていた(=自分のストライク・ゾーン外)。この点は主催者および参加者側も認識しており、「今回の議論の成果をもとに、次回は地理空間情報の共有についてもっと踏み込んだ議論をしよう」という約束をして、今回のセミナーを閉幕した。まあ、何事も一度目の会合から核心に踏み込んだ議論をすることは難しく、同じメンバーでの会合を数回重ねていくことになるのだろう。


その他、個人的な感想として、
・参加者は、いずれも中央省庁・州政府の高官であり、年齢層もかなり高く、50代、60代がほとんどであった。しかし多くの方は、ICT技術全般(特に、地理空間情報)に関する広範な知識を持っており、その具体的な技術および関連問題・動向の深いところまで熟知していることには驚いた(GXML,マッシュアップ, TCP/IP, Metadata, etc.)。このような高官の方々が、地理空間情報共有の重要性について熱く語っている姿を見て、改めてこの分野での米国の“層の厚さ”を思い知らされた。自分の経験として、日本の政府・自治体の50代、60代の方で、これら技術の詳細まで理解している(=ものすごい関心を持っている)方にお会いしたことはない(もちろん、若い方は別ですよ)。


以下、メモ的に議論の項目をリスト化。本当はもっと踏み込んだことを書きたかったが、自分の憶測がかなり含まれていそうなので、やめておきます。
・データ共有の真の価値は?
・その懸念は何か?やはり軍関係機関は、機密データがたくさん。。
・今後いっそう発展していくICT時代において、中央省庁・州政府はどう対応していくか?
そのためには、若者にどのような役割を期待し、どのような環境を用意するべきか?
・これまでの地理空間情報として、莫大なストック(財産)があるが、
それを実践的な問題解決に対して、どう役立てるのか。
・バーチャル上でネットワーク化された情報と、実際の組織の違い(活動範囲、権限の違い)をどう結び付けるか。


≪写真・上≫ John F Kennedy St. この道路の右手が行政大学院(KSG)。ちなみに、左手の建物は学部生の寮。一度中に入ってみたい。
≪写真・中≫ 会場となったKSG Taubman Center
≪写真・下≫ Taubman Centerのらせん階段

2008年3月30日日曜日

CGA その1

現在、ハーバード大学地理情報解析センター(以下、CGA)に、Research Affiliatesとして参画している。これから数回にわたって、CGAの実態を紹介をしたい。

設立の背景
 2005年春、プロボスト(学長を補佐する教務局長)と教養学部(Faculty of Arts)、建築大学院(Graduate School of Design)の各学部長のサポートによって、CGAは設立された。CGAは、 ハーバード大・定量社会科学研究所(the Institute for Quantitative Social Science)の技術基盤センターの一つとして位置づけられる。
 CGAの使命は、同大のGeospatial LibraryやMap Libraryなどのこれまでの基盤をもとに、ハーバード内外の空間情報科学の発展に寄与することである。
(ハーバードがCGAを設立した経緯の詳細については、後日改めて記載する)

 センターには、専門スタッフが常備し、研究や教育における空間解析やプロジェクトの推進、最先端空間情報技術の開発に携わる。GISのみならず、リモートセンシングやGoogle Earthなどを含んだ空間情報技術の全般を対象とする。

体制
 ⇒拡大中(1年前と比べてメンバーの大幅な増強)
・ 非常に広範な研究分野からの学際的メンバーが参画
・ ベテラン教授陣による運営委員会と若手実務者による技術アドバイス委員会との2段構成


CGA専属スタッフ
 ⇒これまでに企業や自治体などでGISの実務に関わっていたGISプロフェッショナルであり、大学内のGISサポートをメイン業務とする。いわゆる「研究者」ではない(除く、センター長)。

・ センター長 Director  1名(Faculty)
・ オペレーション・ディレクター Director of GIS Research Services 1名
・ 上級GIS専門職 Senior GIS Specialist 2名
・ GIS専門職 GIS Specialist 3名
・ ソフトウェア開発技師 Geospatial Data and Information Software Engineer 1名(図書館と兼任)


CGA 連携活動メンバー(Research Affiliates)
 ⇒CGAと実質的な連携活動を行う学内研究者

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 1名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Science 1名(川崎)
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ オラクル社 1名


ベテラン教授陣よる運営員会 計18名(Faculty Steering Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 11名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Sciences 2名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 1名


若手による技術アドバイス委員会 計11名(Technical Advisory Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 2名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 1名
・ Harvard-MIT Data Center, IQSS 1名
・ Harvard Planning & Allston Initiative 1名
・ 図書館 Library 2名


* 上の日本語訳と補足説明は、筆者の独自解釈に基づく

2008年3月21日金曜日

ジオリファレンス・ワークショップ

Center for Geographic Analysis (CGA; 地理解析センター)が開催する「ジオリファレンス・ワークショップ」に参加した。ESRIユーザである自分は、ジオレファレンスと言葉から、「ジオリファレンス ツールによりArcMap上でコントロールポイントを入力することで、ラスタファイルの幾何補正を行う」ことを連想した。また、「ジオコーディング」などの住所情報の位置参照を連想する。何れにせよ個人的に重要だとは認識しているが、それほど関心が強い話題ではなかったため、あまり期待をせずに参加した。

ところが、実際はとても興味深い内容の、熱い(!?)ワークショップだった(パンフレット)。
特に午前中のChallenges and Potentials of Georeferencingと題したセッションでは、主にハーバード大学の教養学部社会学系、公衆衛生大学院、医学部、建築大学院、ユダヤ博物館(Semitic museum)、中国歴史プロジェクト、生態系プロジェクト(カンザス大学)の研究者・教員が、それぞれの研究分野において、『GISのデータをどのように作成するか?』について発表した。自分が認識していた上述のような狭義の“ジオリファレンス”についてではなく、むしろ各分野における〝時空間データの作成“に関する包括的な内容であった。具体的には、データの作成(ここでいうGeoreferencing)は、どの分野でも最初に直面する大きな問題であるが、どのように位置を定義するか(位置精度の問題、分類の基準)、どのようにデータ間のリレーションを構築するか? 位置名称をどう扱うか?など、異なる分野の専門家が一堂に会して、「時空間」の捉え方について合同で話し合う場であったと言える。

今まで自分も沢山のGISデータを作成してきた経験があるが、研究の分野や目的によって、「時空間」の捉え方が大きく異なり、データ作成にあたっては非常に多様な視点があることを再認識した。

やはり分野によって、物理的・社会的なバウンダリー(境界線)の捉え方は大きく異なる。当然であるが、公衆衛生の立場では、詳細なコミュニティレベルでのデータが必要であり、米国で流通しているZipcode(郵便番号)ごとに集計された社会統計データはあまり意味を持たない。むしろこのようなデータを使って解析することは問題があるという(参考文献、後日確認の上、更新)。分野・目的による時空間の解像度レベル、位置の捉え方、バウンダリーの意味・捉え方は大きく異なり、それに従いデータベース・スキーマも変わる。

同じような現象を見ているのに、分野によって、時間と空間の捉え方が大きく異なるというのは興味深い。ハーバードでのGISを使った研究は、「世界全域」や「古代から現代まで」といった時間・空間的な幅が広いものが多い。そのため、世界中からデータを収集する際、複数の言語をどう対処するか?言語によって、対象の扱い方、分類の仕方、表現の仕方が変わるという問題にどう対処するのか?複数言語に対応するデータベースはどう設計されるべきか、などなど。
また、歴史をさかのぼると、同じ地名が、異なる時代に存在することがある(St. Petersburg, Russia 1703 - 1913, 1991- vs. St. Petersburg, Florida, USA 1892- )。また、同じ場所が、時代によって名称が異なることもある(日本の市町村合併など)。歴史データを扱う際、一般的な名称による記述が多い(江戸、日向)。これらのデータを扱う際、GISユーザはどのように対処すればよいのだろうか?


各分野の発表やその後のディスカッションを聞いていて感じたのは、『このワークショップで対象としている「ジオリファレンス」とは、空間情報を軸とした、知識の構造化への挑戦である』
ということ。分野ごとの時空間の認識に基づいて、それぞれの領域の大量のデータをどう整理するのか、そしてそのためのデータベース・スキーマはどうあるべきかを議論していた。

やはり人は、ある問題解決のためにデータを使用する。そして、それらほとんどのデータは、時間と空間の問題を含んでいるが、その整理や処理は容易ではない。やはりユーザは、自分の目的に応じて、断片的にデータおよび事象を捉えがちである。しかし、このようなワークショップへの参加によって、他分野で開発されたツールや手法を共有するだけではなく、ジオリファレンス[所謂、時空間データベースを作成すること]を、多面的に捉えて、総合的な視点から現象(データ)を認識することに寄与したのではないか、と考えられる。各発表者は、他の発表者の発表を聞いて、新しい視座や知見を持ち帰ることができたのではないか?少なくとも自分はそうであった。同様の問題意識を持つ多分野の専門家が、共通のテーマについて一堂に会してワークショップを開催することで、参加者は新しい視座や知見を持ち帰ることができるとともに、総合的な視点から現象を見ることを獲得する。

時空間情報を扱う上で誰もが直面する問題をもとに(=“ジオレファレンス”による串刺し)、学際的なディスカッションを行うのはとても良い。
もちろん、これはハーバード大学での各分野における空間情報の活用が成熟していることが前提だと思われる。また、空間情報の活用による大学内の学際的研究の推進を目指しているCenter for Geographic Analysis (CGA; 地理解析センター)が、大学内の状況を把握した上で、適切なテーマ設定のもとワークショップを企画・運営して、学内のキー・パーソンを集めてきたから実現できたのであろう。

また、ワークショップでは、空間情報に関する以下のような興味深い議論も展開された。
・多面的で複雑な「時空間」問題に対して、正しい認識・手法のもと、立ち向かっていける人材を教育する必要性(geospatial education、spatial thinking)。
・プライバシーや秘匿性の問題(public data vs. privacy data)
・データのaccuracy vs. completeness
 (データのProbability issue – probability field, uncertaintyの問題など)


参加者の研究分野は人文系、社会科学系から自然科学系まで多様であったが、やはり同じ問題意識を持っている人たちの集まりなので、とても盛り上がったし、一聴衆であった自分もとても勉強になったし、参加していて楽しかった。

今回、自分がきちんと理解できたのはきっと半分程度だろう(根拠なし)。
残り半分を聞き逃した(理解できなかった)のは悔しいが、「あせらず、無理せず、着実に」、これから頑張りましょう!