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2009年3月11日水曜日

今期2回目の講義

今期2回目(こちらにやってきて3回目)の講義をやらせてもらった。

「Engineering Sciences 165: Introduction to Environmental Engineering」(担当:Prof. P. Rogers)という、主に学部1,2年生を対象に、水資源管理を中心とした環境工学の基礎を教える講義である。自分は、「GIS and Environmental Management」という一回分の講義を担当(90分)。

小さなクラスなので、学生数は15人程度。
男女比は1:1。理工系クラスなのにアジア系は少なく、ややビビる。

90分の講義は以下のように構成。
-------------
1. Introduction

2. Fundamentals of GIS
- Principles
- Feature Representation
- Spatial analysis and modeling
- Summary

3. An application for Environmental Management
- Overview of the environmental application
- Arc Hydro data model

4. Current and future trends of GIS and Modeling
-------------

ほとんどGISを知らない学部1,2年生を対象に、
「GISとは?」から始まり、「Arc Hydroデータモデルとその応用」までを
90分で説明するという、荒技を試みた。

これは、無免許の人に、ハンドルの握り方から、
ドリフト走行(車をスリップさせて走らせる)のやり方までを
一気に教えるようなものだ。


そもそも、GISの基本を説明するだけでも大変なのに、
さらにその先のArc Hydroデータモデルまでも含めるのは、
無謀なのは承知している。
確実に、“内容過多”であろう。

しかし、逆にそこまで踏み込まないと、
活きのいい学部生にとって物足りないのでは?と思われる。
そこで、それを見極めるためにも、
敢えて情報過多の講義へ挑戦することにした。


加えて、前回の講義の成果などから( ⇒3/1 ライブ感のある講義)、
できる限りインタラクティブ(双方向的)な講義になることも
心がけた。


そして3月11日、何とか90分をやり遂げた(汗)。

仕方ないことだが、講義中、
何人かの学生は自分のノートPCに夢中になっていたり、
ウトウトと眠っていたりもしたが、
何人かはずっと熱心に聞いてくれた。


今回は、講義の前に学生にコメントシートを配って、
「無記名でいいので、正直に思ったことを記入してくれ!」と、
授業内容や進め方について意見を書いてもらった。

その結果、多くの学生がGISの有用性と重要性を理解してくれたようだ。
(もちろん、どの程度本気なのかは不明だが…)

以下、コメントの抜粋
Visuals are fantastic!
 ⇒パワー・ポイントのスライドは、分かりやすいと好評であった。
 まさに、GISの得意なところ。

Very well documented!
 ⇒授業準備に対する努力は、評価してもらえたようだ。

Avoid reading slides words for word.
 ⇒“スライドの文字をそのまま読む”ことに対して、
 沢山の学生からダメだしされた。
 もちろん、"文字のじか読み = NG" なのは分かっているが、
 90分講義だと、どうしてもそのような箇所ができてしまう…。

 ⇒「もっとGISの生デモンストレーションを増やしたり、
 スライドの文字を大幅に減らし、箇条書きで端的に整理し、
 自分の言葉で、関連事項を話すことで、この講義はもっと楽しくなる」
 と親身にアドバイスをくれる学生もいた(涙)。
 ただ、、、分かってはいるんだけど、自分の能力がねぇ、、、。

・「英語での講義が大変なのはよく分かるが、
 講義の流れがスムーズになるよう、もっと練習した方が良い

 ⇒実際のところ、原稿を読みながらの練習は何回もやったが、
 原稿なしの練習は不十分であった。
 次回は、いきなり「原稿なし練習」から始めてみよう。
 (「原稿付き練習」、その後、「原稿なし練習」は、時間効率が悪い気がする。
  一方、原稿なしから始めるとと、文法めちゃくちゃでの喋りに終始しそうな懸念もあり、悩ましい。)


A two-part lecture would be more appropriate.
 2人の学生から、「講義の情報量が多すぎ」「2回に分けた方が良い」との意見があった。
 やはり、一つの講義でArc Hydroまでもっていくのは、やり過ぎであった(反省)。

 途中、一つの質問に対して、時間をかけて回答してしまったため、
 講義の最後の方は、時間が足りなくなり、駆け足になってしまった。
 (=学生が質問をする機会がない)

 インタラクティブな講義を目指すならば、
 講義内容を大胆に削って(⇒絞り込んで)
 質問と回答の時間を大幅に取るべきだ。
 講義時間の1/4は質疑応答に確保するのことを目指そう。


ちなみに、本講義中の質問は、以下の2つであった。

「Google Maps, Google EarthはGIS?」

「modelという用語の使い分けが分からない」
 (講義中、Feature model, Spatial model,
 Data modelと3種類、モデルと言う用語が出てきたので。)


前回の講義(⇒3/1 ライブ感のある講義)は、GISに強い興味を持つ大学院生が対象だったから、
10個以上の質問が矢継ぎ早に飛んできたが、
GISの存在すら知らない学生を対象とする場合は、
もっと学生を講義に巻き込む仕組みが必要だ。


次回は、3月31日に別のコースにて、
「リモートセンシングの基礎」を講義する。
今度は、大教室にて、約80名の学部1,2年生を対象にするので、
以下の二つを最重要課題にして、講義に挑もう。

 ・ スライドのじか読みは避ける
 ・ 学生をもっと引き込んで、質問しやすい雰囲気を作って、
   最低でも4つは質問させる


↓今はもうやっていないので、自分は受講できなかったけど、
当時(つい数年前)は、ハーバード学部生の1/3は受講していたという、
超人気講義。

2009年2月28日土曜日

学内競争的研究資金

昨年3月、大学内の競争的研究資金に応募したが、
残念ながら落選。
(⇒ 2008年2月28日「研究費の応募書類の作成」

しかし、めげずに昨年末、新しく2つの
学内研究資金に応募した。

「まあ、落選したとしても、
今後の研究のネタにしよう」と考え、
3つとも、異なるテーマで研究計画を作成した。


そしたら運良く、そのうち一つが採択された!

これはハーバードの教員向けの研究資金なので、
もちろん教授の名前で応募したのだが、
自分が作成した研究計画が、高い倍率の中、
採択されたことは、特に英語の面で、
自信へとつながった


「英語の面で」というのは、決して、
自分の英語力が高いという意味でない。
むしろ残念ながら、
研究者として自分の英語力は低い方だ(苦笑)。
実際、自分で用意した研究計画書も
稚拙な英語表現に溢れていた。

しかも、ボスのPeterは、致命的な文法と表現の誤り以外には
ほとんど手を加えずに、
自分(川崎)の研究計画書を大学に提出する(しかもPeter名義で)。

なので毎回、
「Peter、やる気なし?それとも、諦めた?」
と思っていた(笑)。


最近、別の機会で、ある制度に送られてきた
複数の研究計画書に目を通す機会があった。
それらの半分は、
非英語圏に住む外国人から送られてきたものであり、
中には、おかしな表現を含んだ英語文章も目についた。

しかし、複数の研究計画書を見比べる中で思ったのは、
多少、間違った文法や不十分な表現があったとしても、
一番大事なのは、中身の研究計画の面白さ(新規性・有用性)である。


流暢なネイティブの英語であっても、
面白くないものは面白くない。

もちろん、絶対的に英語は上手い方が良いし、
そうなるための努力は惜しむべきではないが、
ある程度の英語力とオリジナルの考えがあれば、
それなりの勝負は出来るかもしれない。


しかし、低い英語力でもやれる可能性があるということは、
逆に言うと、「英語ができない」というのは
もはや言い訳にならないということ。


「もっと英語が出来れば、、、のに。」
とは言わず(考えず)に、
進めるだけ前に突き進んでいくしかないのだろう、
きっと。



まあ、それより何よりも、
金額は大きくないけど、
こちらのPeterと研究室へ多少の還元ができて、
少しほっとした。ほっ。



↓ ノウハウって、大事ですよね…。
自分も特に習ったわけではないので、
一度ちゃんと学んでみたい。

2009年1月20日火曜日

大統領就任式ブランチ

今日は、第44代米国大統領の記念すべき就任式。

就任式の時間帯に合わせて、
今日はPeter(教授)の家で、
就任式記念(?)ブランチ。

要は、みんなで教授の豪邸に集まって、
シャンパンを飲みながら、TVで就任式を見ましょう!
というイベント。


今日は、祭日でもなく普通の火曜日だが、
Peter(ハーバード教授)や奥さん(他の大学の教授)に加えて、
50代、60代、70代のインテリ層のPeterの友人たちが
続々とPeter宅に集まり、総勢10数人となる。
(み、皆さん、仕事は??)


オバマとバイデンの大統領の宣誓の前に、
歴代大統領やその家族などが、
会場へ続々と入場されるシーンがTVに映し出されると、

 「クリントン(夫)のコートは何で紫なんだ?」、
 「(黒人歌手の)帽子がダサい。」
 「あの大男は誰だ?」「ミッシェルの兄弟よ!」

など、みんなでTVに向かって、突っ込みまくって盛り上がる。
特に、ブッシュ前大統領とチェイニー前副大統領が出てきた時は、
ブーイングが出まくりであった。


そして、オバマが大統領の宣誓をした瞬間、
「オバマの成功を祈って!」とシャンパーンで乾杯。


この瞬間から場の様相が変わった。
数人(特に女性)は感極まって、涙を流し出し始めた。

特に、オバマのスピーチが始ってからは、
全員が、彼の発する一言一言を、
固唾をのんで(シャンパンを呑んで)、
聞きいる。

そして、オバマのスピーチが終わったら、
ヘリコプターでホワイト・ハウスを立ち去る
ブッシュ前大統領(の映像)を見送りもせず、
皆さん、場を変えて、ランチを開始。
どうやら誰も、ブッシュ氏の顔は、
見たくもないらしい(笑)。


10数人で暖炉を囲んで、ランチを食べながら、
就任式やオバマ、そして今後の米国について、
議論大会が始まる。

しかし、残念ながら、
自分はほとんど着いていけなかった…。
皆さん、相当なインテリ層なので、
この議論の深い部分が理解できたら、
相当楽しいんだろうけど、難しいねぇ…。


議論の詳細は分からなかったけど、
ただ一つ言えることは、
今日のこの場で一緒にTVを見た人々、そして、その他大勢の米国民が、
オバマの存在、そして、スピーチによって、大きく刺激されている、ということ。


オバマのスピーチを聞くことで、
「今は大変な状況だけど、
もう一踏ん張りして、頑張ってみようかな!」
という気持ちを持ちはじめた人が、沢山いるのだろう。

特に、ブッシュ前大統領の悪政(!?)と昨今の大不況で、
資産と自信をなくし、路頭に迷う米国人に対して、
「もう一度、世界に誇れる米国を一緒に作っていこう」
と力強く語りかけるオバマの言葉は、
確実に多くの人に勇気を与え、奮起を促している。


オバマのスピーチは、「具体性に欠ける」という批判もあるが、
きっとハイレベルのリーダーの仕事は、そういうことではないだろう。

ハイレベルのリーダーは、大きな枠組みと方向性を示して、
人々に活気を与えるのが、最も大事な役割だろう。

具体的な目標や手順の策定は、優秀なブレインの仕事であって、
どんなに優れた戦略や計画があったとしても、
大勢の人が本気で取り組くまなければ、ことは進まない。
やはりリーダーは、大勢の人のモチベーションを高めることが、
何より大事だし、実際それが出来る人って、とても限られている気がする。


「何っ、試練に耐えろ?冗談じゃないよ。。。

でも、、、オバっさんに言われたら、しゃーないなぁ。
いっちょ、やったるかぁ!」

人を、そういう気にさせる人格というか、実直さ、誠実さ、熱意、
オバマからはそれを感じる
(少なくとも、ブッシュには感じない)。


自分は日本人だが、やはり米国の強力な牽引力に
期待するところは大きい。

何だかんだ言っても、
米国の動きに多大な影響を受ける国は多い。
やはり米国が正しい方向へ動き出すと、
全体としてかなりの波及効果を生み出すことになるのだろう。
(それ位、米国の舵取りは責任が大きいのに、B氏はなぜ??)

オバマ政権が目指す方向へ米国が実際に動き出せば、
日本を含めた多くの国々も、
大きく急速に変化せざるを得ないだろう。

自分も、いつでも柔軟に変化できるよう、
常日頃から頭と体を柔らかくしておこう。


さてさて、21世紀の新しいリーダーに期待です!

2008年12月6日土曜日

HarvardScienceへの掲載

11月19日のセミナーで
自分が発表した内容が
(⇒CGA セミナーでの発表)、
HarvardScienceに
掲載されている。

――――――――――――――
HarvardScience
 
 *上部の
 Environments メニュー から
 Geography をクリック
 > "Thinking globally and mapping locally"へ
――――――――――――――

さすがプロの記者、
分かりやすい文章で簡潔にまとめてくれている。
タイトルはかなり大げさだが、一般向けの記事としては
これ位キャッチ―な表現が必要なのだろう。

事前に、文章を確認させてもらったのだが、
その後の記者もしくは編集長による最終校正により、
誇張表現が若干増えている(笑)。

(例えば、「人口、土地利用、気候の変化を予測する」と記述されているが、
 もちろん、そんなことはできない(笑)。
 あくまでも、“潜在的な変化の幅を大まかに検討する”という程度)

「ラリー・サマーズのムービーを見て、ここに来ることを決めた」、
(⇒CGAその3:地理解析センター開設の理念
という話も書かれている。


英語だけど、自分の研究内容が、
簡潔にまとめられているので、
ご興味とお時間がある方は目を通してくださいませ。


↓「世界〈水〉市場120兆円。“水危機”を背景に急成長する水ビジネス。」
だそうです…。

2008年9月12日金曜日

サマー・リサーチ・プロジェクト その3: 終了

今日は、ハーバード大の夏休みの最終日。

従って、5月下旬からサマー・リサーチ・アシスタント(その1その2)として働いていたジャネットとアントニオにとって、今日はPeter Rogers研所属の最終日。

その2で少し触れたが、ハタチ前後のやる気に満ち溢れた学部生が、大学院の研究室に所属することは、研究自体の推進を促すだけではなく、研究室全体の活性化に大きく貢献した。

彼ら二人が毎日研究室にやってきて、朝から夕方まで研究する姿は、周りの大学院生に大きな刺激を与えるだけなく、若人(?)から大御所の教授まで、みんなで和む雰囲気を作っている気がした。やはり米国といえども、多くの大学院生にとって、教授は絶対の神のような存在であるが、若い学部生にとっては教授なんて、ただのおっさん、おじさんみたいなもの(昔は自分もそう思っていた)。そんな彼らは、年齢や立場に関係なく、自由に議論したり、遊んだりする環境を自然に生み出したと言える。
もちろん、ジャネットとアントニオのパーソナリティによるところが大きいだろうし、加えて夏休みということで、教授や院生自体にも(通常セメスター時と比べて)時間的余裕があったことも大きいであろうが、みんなで食事に行ったり、アパートへ行ったり、スポーツをして遊ぶ機会が大幅に増えた。

大学当局は、このような波及効果まで狙っていたのか知らないが、サマー・リサーチ・アシスタント制度の意義は、Peter Rogers研にとても大きかったと思われる。


ジャネットには全10週間、とても頑張ってもらった。
もちろん、ハーバードにいる方はみんなものすごい才能を持っているが、やはり学部生の高い能力には驚かされっぱなしだった。個人的には、「とてもハタチ前後には思えない。大学院後期課程の学生もしくはそれ以上の研究遂行能力を持っている」という印象であった。ジャネットは応用数学、アントニオは物理学を専攻しているので、特に理科系の基礎学力が高かったのであろう。加えて、メンタル面でも、立派な大人であった。


Peterの配慮によって、自分がジャネットのプロジェクトを担当させてもらったのだが、
自分にとっても全く未知の研究テーマであったため、この数ヶ月間は試行錯誤の連続だった。

具体的には、自分で研究計画を立て、研究プロセスを設計し、それを実現するための手法やデータを用意して、実際の作業は彼女に進めてもらった。その中で、予期せぬエラーや不具合が起きれば、問題解決の方法や回避策を提示しなければならない。時には、一緒に研究手法の妥当性を議論しながら、常に“手探り”状態でのリードのもと、研究を進めて行った。

実際は、自分の目論みどおりにスムーズに研究が進む訳もなく、未解決問題を残したまま数日をやり過ごしたり、後からプロセスや手法自体に間違いがあることが発覚して、作業やシミュレーションを何度も何度もやり直す必要に迫られた。特に、夏休みの後半は、突き合った問題の解決方法が見つからず、自分からの指示が二転三転するなか、似たような作業を何十回も繰り返してもらったにも関わらず(!)、ジャネットは嫌な顔をせず、指示に従い研究を推進してくれた。

最終的には、『多少の問題点は残っているが、一つの研究ストーリを作り上げることができた。数点の懸念事項をクリアできれば、面白い論文へ発展できるのでは?』というレベルへ到達できたと思う。ほぼ0からスタートで、僅か10週間でここまでもっていければ十分でしょう!というのが自己評価。
自分のリードは60点であったが、ジャネットの働きは95点と言えよう。


こんな彼ら・彼女らを、時給$10.00で350時間も雇用できる機会なんて、滅多にないであろう。しかもその資金は、大学当局(今回は、ハーバード環境研究センター)が用意してくれる。研究室は場とテーマを与えてるだけ。研究室にとっては何ともありがたい制度だ。


この制度のお陰で、普段接することが少ない学部生と交流をすることができた。その過程で「ハーバード学部生の姿」を垣間見ることができた。やはりハーバードの中でも、学部生は特殊(貴重)な存在であり、大学院生とも少々扱いが違うことが多い。研究員として大学院に所属している限り、学部生との接触の機会は少ないが、Peterのお陰で、卒論生の手伝い(4月17日)をやらせてもらったりと、何かと学部生と交流する機会を頂いている。

非常に興味深い学部生の実態(!?)については、機会があれば改めて書きたい。


来週からは、新学期(新年度!)の始まりだ!
自分も新入生に戻ったつもりで(図々しすぎ?)、新たな気持ちで再スタートしよう!



謝辞:本研究の推進に当たっては、Arc Hydro本(現在出版準備中)の編者の一人であるHydro specialistのT氏に多大なアドバイスをいただきました。T氏のアドバイスがなかったら、ジャネットをさらに路頭に迷わせてしまったかもしれない…。T氏の親切かつ的確なアドバイスに感謝です!


≪写真・上 Peter(右から3番目)の両脇にいるのがアントニオとジャネット≫
≪写真・中・下 新学期が近付くにつれて賑やかになっていくキャンパス。ロー・スクールの学食にて(外と中)≫

2008年7月31日木曜日

ネガエバカナウ?

今週、日本からお客さんがいらっしゃった(最初で最後か!?)。

企業に勤めるOさんが、来週、サンディエゴで開催されるESRI国際ユーザー・カンファレンスに参加するついでに、わざわざ関西空港からサンフランシスコ経由で、ボストンまで足を運んでくださった。Oさんは、30年以上前からGISに携られている、日本におけるGISの第一人者の一人と言えるお方。やはりGIS教(狂)の信者(特にESRI派)にとって、ハーバード大は一度は訪れたい巡礼の地なのである(おそらく)。

現在のGISの原型となるような技術や概念の多くは、ハーバード大学・建築大学院(GSD)およびHarvard Laboratory for Computer Graphics and Spatial Analysis(1965-1991)で発展した、“コンピューター・マッピング”によるものが大きいという。実際、現在世界中で活躍する多くのGISレジェンドが、このハーバードGSDおよびラボから輩出されている。

(現ESRI社長のJack Dangermondとともに)当時のハーバードGISグループの中心メンバーであった、Carl Steinitz(立命館GISWSでおなじみ)とPeter Rogers(自分の現ボス)は、GISを使った環境プランニングの先駆けとなる本を1970年に出版した※1。そして、この本は日本語へも翻訳され、1973年に日本国内で出版された※2


1973年、当時大学生であったOさんは3,500円でこの本を購入し、今でも大切に保管している。

そして、今から2~3年前、著者の一人であるCarl Steinitzが東京に来た際、35年前の本を持って行き、Carlから直筆のサインをもらったという(「あんな昔に、3,500円も出してよく買ってくれたね!」とCarlから言われたらしい)。


今年1月、自分の渡米前に、東京でOさんと話をしていたら、僕のこちらでの受入教授が、もう一方の筆者であるPeter Rogersだと知り、とても驚いていられた。そして、「Rogers教授に、サインをもらいにハーバードへ行きます」とOさん、ボストン行きを宣言(!?)。


そして、今から約1カ月ほど前に、念願のボストン行きが決定したということで、Oさんと日程調整を開始。しかし、どうしてもOさんとPeterの日程が合わないことが判明。Peterは、7月中旬からヨーロッパにおり、ボストンへ戻ってくるのは8/2の午後だという。一方のOさんは、7/30のボストン到着後、8/2の早朝にはサンディエゴへ向かわなければならない。なんという絶妙な入れ違い。。。。空港ですれ違うことすら不可能な状況。。。約2週間前、Oさんへそのことを伝えると、とても残念そうであった。

しかし、Oさんは直筆サインをもらうことを諦めず、例の本を持って、ボストンへやってきた。「後日、Rogers先生からサインをしてもらって、日本へ送ってもらえますか?」と。


そして今日(7/31)、Oさんをホテルへ迎えに行く前、大学オフィスで仕事をしていたら、ふらっとPeterが現れた。
「あれっ?何でここにいるのですか?8/2にお戻りの予定では、、、??」
「急遽、スペイン行きがキャンセルになって、昨日ボストンへ戻ってきたんだよ」と。
ひぃえ~!

早速、Oさんへそのことを伝えたところ大喜び!!
35年前に購入し、ずっと大切にしていた本の著者に、奇跡的に会えるようになんて!
なんてラッキーなOさん。そして、何よりも諦めずに本を持ってきたことが功を奏した。

Oさんの『Peter Rogersに会いたい!』という強い気持ちが、″何か″を動かしたのだろう。


 ※1 『A Systems Analysis Model for Urbanization and Change: An Experiment in Interdisciplinary Education』(MIT Press, 1970)
 
 ※2 『都市環境のシステム分析―アセスメント・モデルとメッシュ・アナリシス』(鹿島研究所出版会、1973)<写真・上>

<写真・下>
 恐らく、世界でただ唯一のPeter RogersとCarl Stinitzのサインの入った貴重な日本語版書籍。

2008年7月25日金曜日

サマー・リサーチ・プロジェクト その2: リサーチ・アシスタント制度

 これはとても興味深いハーバード大学の制度なので、後日、きちんと整理しようと思うが、要は“夏休み期間中、学部生が大学院の教員、研究者のアシスタントをしながら、各分野の基本項目や研究手法を習得することを目的とした大学内の有給インターンシップ制度”。

 今夏、Peter Rogers研究室には2人の学部生がアシスタントを希望してきた。一人はPeterの研究プロジェクト(持続可能な都市の在り方)を希望する学部3年生のアントニオ。もう一人は自分の研究プロジェクト(気候変動と土地利用の変化がメコン川の水量に及ぼす影響分析)を希望してくれた学部2年生のジャネット。

 自分のリサーチ・アシスタントを務めてくれるジャネットは“応用数学”が専攻ということで、自分のプロジェクトとは大幅にかけ離れているのだが、昨年、アフリカ・ザンビア共和国へボランティアに行った際、水資源問題に強い関心を持ったことが、このプロジェクトを選ぶ契機になったという。ちなみに、プロジェクト開始時の彼女の水とGISに関する知識・経験はほとんど0だった。

 そんなジャネットと、10週間、プロジェクトを一緒に進めることになったのだが、さすがハーバードの学部生、仕事を進めるのが尋常じゃなく早い!

 プロジェクト開始後の1週間は、いきなりArc HydroおよびHEC-GeoHMSHEC-HMSの演習を独習してもらった※1。GISの入門をすっ飛ばして、いきなりArc HydroおよびHec-GeoHMSを習得させるのはかなりの荒修行である。例えるなら、スノーボードの未経験者を、「最初に滑り方のノウハウは教えるので、自分で独習して滑れるようになってくれ!」といきなりハーフパイプへ突き放すようなものである。

 こう書くと自分は鬼軍曹みたいだが、全350時間というアシスタント期間の制約の中で、ただのお手伝いで終わらせるのではなく、彼女の成果にもなるような一仕事を経験させるためには、悠長に基礎から手取り足取り教える時間など無い。それ以上に、自分がこれまでに授業などで学生を見てきた経験から、「ハーバードの学部生は、(入学前は当然のことながら)入学後にかなり鍛えられているので、彼ら/彼女らの能力をフル回転させるのような難しい課題を与えないと、彼らにとってはただの退屈な業務になってしまう」という考えがあった。
 また、それまでに全く面識のない学生と10週間を過ごして、一つの成果を出すためには、かなり初期の段階で本人の能力・趣向を見極めた上で、その後のスケジュールを調整したり、場合によっては研究の方向性を変更する必要がある。そのためにも、オーバーワーク気味の課題を敢えて与えることにした。

 そして実際に、演習を開始した第1周目の進行は、自分が想定していたよりも遅かった。「まあ、ハーバード大生とは言っても、さすがにいきなりのArc Hydroは酷過ぎたなぁ」と思って、ちょっぴり反省&安心(!?)してみたりもしたが、一通り演習を終えた第3週目以降の彼女の業務処理の速さと精度、さらに応用力の高さには驚かざるを得なかった。例えるなら、スノーボードを始めてたった数週間なのに、ハーフパイプを自在に滑走し、さらにはバックサイド180などのワンメイクも決められるようになっていたのである(スノボ2級、取れます)。専攻が応用数学ということで、もともと高いコンピュータ・レテラシーを持っており、プログラミングや数値処理に慣れていたことが大きな要因だと考えられるが、まだ学部2年生である彼女の業務処理能力は、感覚的には修士2年もしくは博士課程の学生以上であると思われる。

 プロジェクト開始時は、こちらが用意したプログラムや業務を彼女に指示しながら進めてもらうという関係(上下)であったが、プロジェクトが進むにつれて、彼女の進行速度がグイグイと上がっていくので、後半は後ろから猛スピードで迫ってくる彼女を適切にリードするために、自分も次の方向や手法を全速力で探り続けるという関係(ほぼ同等?)へ変わっていた。実際、彼女は2カ月弱でArc Hydro&HEC-HMSマスターへ変貌し、他の大学院生へ教えるレベルに至った

 こんな感じで、自分よりもはるかに優秀なアシスタントをリードすることの大変さとともに、このような熱心な学生たちと切磋琢磨し(張り合い?)ながら研究を進めることの楽しさを体感している。


 自分が、夏休みにハードに研究に打ち込んでるのは、このサマー・リサーチ・アシスタント制度によって学生に尻を叩かれている(叩いてもらっている)ことも大きな一因である。この制度は、「学部生が、大学院での研究活動を経験することで、研究の基礎を習得することが目的」と謳っているが、もしからたら、熱心な学部生を大学院へ送り込むことで、教授・研究者に“夏休みでもハードに研究を進めろ!”ということを大学本部が暗に狙っているのかもしれない(!?)。
何れにせよ、Peter Rogers研では、2人の若い学部生が研究室で熱心に研究を進めている姿が、他の大学院生にも刺激を与え、研究室全体に活気を与えるという波及効果を生んでいる


自分も、学部生と一緒に研究を進めることはとても良い機会なので、ハードだけど充実した夏休みを過ごすことが出来ている。このような機会を与えてくれたPeterには、つくづく感謝である。このサマー・リサーチ・プロジェクトを熱心に進めていることのもう一つの理由は、実はこの“Peter”にある。その3へ続く。



※1 手前味噌ですが、ご興味のある方はどうぞ。
「水資源GIS アプリケーションArc Hydro の概説と米国における事例紹介」(PDFファイル)

2008年6月2日月曜日

卒業式シーズン到来

この1~2週間、6月5日の卒業式(357th Harvard Commencement)に向けて、キャンパスのあらゆるところで会場設営が行われている。

厳密には、数か月前からキャンパスの芝生整備や施設改修が頻繁に行われていた。
Peter曰く、「卒業式は、大学にとってとても大事な日なんだ。なぜならその日は、(これまでの)卒業生たちが一堂にキャンパスに集結して、年代ごとの同窓会も行われるからね。そして、そこで多くの卒業生は、大学に対してチェックを切っていく。セレモニーの良し悪しで額が変動するから、大学は必死になって、キャンパス整備に勤しんでいるんだよ。」
チェック=寄付金である。

今、キャンパスはとても賑やかだ。

キャンパス内の建物や街路樹には、大学やスクールごとの旗が取り付けられ、学内のオープンスペースには巨大なテントや机、イスなどが続々と設置されている。さながら、日本の大学の学園祭みたいな雰囲気だ(ところで、米国の大学に学園祭はあるのか?)。


個人的には、キャンパスのこの雰囲気はとても好きだ。
卒業式に向けて、キャンパスが別の空間へ形を変えるにつれて、学生たちの気持ちもどんどん高まっていくような気がする。自分は卒業式は全く関係ないが、日に日に卒業式が楽しみになってきている。「この普段とは異なるキャンパスで、どんなイベントが繰り広げられるのだろう?」と。


ところで自分は、学部・修士課程・博士課程と、これまでに一度も、大学の入学式・卒業式に出たことはない。
ある区切りごとに、儀式を行うことはとても大事だけど、大学の入学式・卒業式は、あまりに形式化し過ぎている気がして全く出る気がしなかった。実際に出席していないので何とも言えないが、友人の話を聞くと、少なくとも自分の出身校では自分が考えていたイメージ(=儀式儀式)に近かったみたいだし、出席しなかったことの後悔は全然ない。(もちろん、学科ごとの学位授与式や謝恩会は重要な儀式であると捉えて、きちんと出席しましたよ!)


なので(?)、米国の大学の卒業式にはとても関心がある。
とりあえず、現時点では、「自分が数年間を過ごした、想い入れの深いキャンパスの施設やオープンスペースを利用して、手作り的な雰囲気の卒業式を行うのはとても良さそうだ!」と個人的に感じた。



しかし、今日、Peterと話していたら、「最近の卒業式は、あまりに盛大で、お金をかけ過ぎていてバカている!(場所[恐らく裕福なスクール]によっては)空調が入ったテントまで用意して、ホテルばりのサービスを用意するところもある。
「学内に沢山のテントがあるが、一つでいくらかかるか想像つくか?〇〇が数百万、△△の会場設営は数千万(恐らく、食事やサービス込み)、総額で□□もかけているんだよ。
俺の時代は、テント一つなかったぞ!(約40年前)」

Peter, かなりご立腹の様子。
従って、上述の“手作り的”というのは完全に消えました。


いろんなものをひっくるめて、5日の卒業式が楽しみだ。
それにしても、"第357回"って。。。。


↓米国・卒業式の定番ソングを知りたい。

2008年5月22日木曜日

勝手に復活宣言

先日、バンコク・東京からボストンへ帰ってきた後は、この1か月の連続出張の疲れのせいか、それとも単なる時差ボケからか、はたまた、渡米4カ月目で気が緩んできたためか、以前のペースを見失ってしまい、やや低調気味に毎日を過ごしていた。

そうは言っても、毎日オフィスで仕事をしていたし(当り前か)、行政大学院の「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加したり(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)、研究室ではArc HydroHEC-HMS(Hydrologic Modeling System)との連携による水文シミュレーションを試みてみたり(⇒相当な時間をかけたが遭えなく失敗に終わる。右上図)、それなりに研究活動を進めていたが、出張前に比べて、若干のんびり気味だったし、研究や今後のことなど、思いにふけっている時間も多かった。ブログの更新もすっかり忘れていた(笑)。

もちろん、自分のことを振り返る(自己状況認識)時間はとても大事だし、「時差ボケ」や「デフラグ」を理由にたくさん眠ていたので、十分な鋭気を養うこともできた。実際、頭の中も多少整理された気がする。


来週から、学部3年生と一緒に、3ヶ月間研究を進めることになる(サマー・リサーチ・アシスタント制度)。その研究プロジェクト資料として、先日PeterからScienceの論文を渡された。この資料をもとに研究計画を至急策定し、夏までにひと仕事を終える予定だ(ちなみに自分はScience誌なんて今まで読んだことない)。

(本プロジェクト推進の核となる)Arc HydroとHEC-HMSとの連携はうまくいく気配もないし、解決方法も分からない。それ以前にデータが揃うかどうかも不明。そして、難解なScience論文の解読もままならぬうちに、来週早々から優秀な学部生をリードして、研究をまとめなければならない。
一難去ってまた一難。毎回、迫ってくる壁が高すぎる。これを飛び越えるためには、無理やりでもモチベーションを上げるしかない。
楽しくなってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!! (古い?使い方間違ってない?)


ということで、まずは8月上旬のESRIユーザ・カンファレンスでの発表を目標に、今日から大幅ペースアップして頑張ろう!壁の向こう側には楽しいことが待っているに違いない。プロジェクトの進行状況なども、ちょこちょこ書いていきますので、引き続き、お暇なときに本ブログを覗きに来てくださいませ。


↓これからのGISの方向性が見えてきます。

2008年4月17日木曜日

卒業論文発表会

先日、教養学部の「環境科学&技術系」の卒論発表会があった。
ハーバードの学部は唯一、教養学部しかないのだが、卒論発表は学生が選定した専門分野ごとに行われるみたいだ※1)

マイ・ボス、Peter Rogersは今年度、二人の卒論生を指導していた。
そのうちの一人、ネパール出身のアンジャリのテーマは、①これまでのブラジルの都市開発が河川水質に与えた影響をGISを使って集水域ごとに分析し、土地被覆の変化が水質の変化にどの程度影響したのかを定量的に明らかにする。そして、②その結果をもとに、土地被覆の変化による水質変化の予測式を作成して、将来の都市開発計画に役立つような意思決定ツールを作る、という流れであった。自分も最後の方で、少しだけお手伝いをさせてもらった。
具体的には、ArcGIS Modelbuilderを使って、最後の分析ツールを作成したのだが、すこぶる優秀な彼女は、少しのアドバイスをもとに、基本的には自分でガリガリ進めていった。彼女は、これまでにGISのクラスを受講していたのでGISの基本スキルは十分なものであり、飲み込みも早かった。

と、まあ自分は大したことはやっていないが、アンジャリの勇姿を見るべく、卒論発表会に参加した。


今年の「環境科学&技術系(ES100)」卒論発表会では、2日間にわたり、14名の学部生が発表を行った。
一人あたりの持ち時間は、30分(プレゼン20分+質疑応答10分)。常に、担当指導教員+3名程度の教授・准教授が発表を聞いて、質問・コメントをするというスタイルであった。

卒論発表で、一人30分とはとても贅沢だと思う。しかも、常に4人の先生が聞いているなんて。
これは教員一人あたりの学生数が少ないハーバードだから可能なのであろうか※2)
(ちなみに、横国・建築の卒論発表は7分(5分+2分)←いくらなんでも少なすぎでは?修論発表は15分程度)


ほんの数人の発表しか見ていないので、何とも言うことは難しいのだが、その数人の発表をもとに判断すると、卒論研究の広さと深さという面では「自分が今までに日本で見てきた卒論発表と大体同じ程度のレベル」だと思う。


ただ、日本の場合(特に理工系は)、研究室単位で先輩や仲間と一緒に助け合いながら卒論を進めていくことが多いと思うが(少なくとも自分が関わってきた研究室はそうであった)、どうもこちらの卒論生は基本的には「個人」として研究を進めている雰囲気がする。研究室単位で、仲間と一緒に深く研究を進めていくスタイルと、個人で黙々と進め行くスタイルとの違いは大きいと思う。

そして、ハーバードの学部生は(基本的には)教養学部に所属しているため、専門性を高めることに力を注ぐ理学部や工学部などの学生とは、一概に比較はできなさそうだ。事実、学部生の授業選択の幅はとても広く、かつ各授業は深い内容のものが多く、卒論以外のことにかなりの時間・労力を費やしているようにも思われる。


上の感想は、現時点での主観的なものであり、まだまだ学部生の実態は分かっていないため、追跡調査が必要である。そもそも日本の卒論との比較は難しく、あまり意味はないかもしれないが、一応の感想として記すこととした。
(というか、日本の大学の卒論って、レベルが高いのでは?と個人的には考えている。もちろん、自分も含め玉石混淆だけど!?)


※1 毎年、〇〇(確認の上、後日更新)の学部生が工学・応用科学科(SEAS)で卒業論文を書く。
※2 工学・応用科学科(SEAS)の教員一人当たりの学生数は5人。
(Harvard SEAS: A brief guide for prospective undergraduate students, their parents, and the just plain curious(2008)より)

≪写真・上≫ Peter vs. アンジャリ

≪写真・下≫ 頑張れアンジャリ!


2008年4月11日金曜日

初講義 ~ After:自己評価

昨日、講義が終わった。

我ながらよく頑張ったと思う、この数週間。
90分の授業のために、ここまで時間を割いたことはこれまで無いし、きっと今後もないだろう。やはり、英語での専門外の講義ということで、今回は80分の原稿を事前に用意した。そして、その原稿をもとに、事前に6回も練習した(80分×6回!)。
自分は、行き当たりばったりの出たとこ勝負の人間なので、ここまで周到に用意したのは人生でも初めてだと思う。「やればできるじゃん!」って今更ながら、感心してみたり。


実際の講義は、、、、、

とりあえず、最大限の準備をして、今の自分の能力でできる限りの講義をすることができたと思う。もちろん、完璧な講義にはまだまだ遠く、改善すべき点は多数あるが、現時点の『自分の力を最大限に発揮できたか』という点では、85点という自己評価(ええ、自分に甘い人間です)。とにかく、ベストは尽くせた。

実際、ピーターやティーチング・アシスタントからは良い評価をもらえたし、熱心に聞いてくれる学生も結構いた。一応、講義終了後、2回も拍手してくれたし!?


今回、講義の用意をする上で、改めて「プレゼンテーション」について考えてみた。
特に講義の2日前までは、やはり自分の低い英語力がネックになり、「これは正しい表現なのか?そもそも、この説明で意味が伝わるのか?」」「スピーチ速度が遅すぎるんじゃないか?」「もしかして、ハーバードの学生には簡単すぎる?」などなど結構ナーバスに陥った。


しかし、これまでに自分が見てきたプレゼン、スピーチを思い返してみながら、「“伝わる”プレゼン、スピーチってどんなんだろう?」と再考する中で、以下の結論に至った。
 伝わるプレゼン・スピーチ = 伝達スキル × 内容 × 気持ち 

これまでの自己分析では、
 ・どんなにプレゼンが下手でも、聞き手にとって興味がある内容であれば、聞き手は必死に身を乗り出して、意味を汲み取る努力をする
 ・シドロモドロのぎこちないスピーチでも、深い気持ちが込められていれば、聴衆の関心を一堂に集め、感動へ導く
 ・逆に、どんなに滑らかで上手なスピーチであっても、聞き手にとって関心のない話題であったり、薄っぺらい内容であったり、スピーカーの気持ちが込められたものでなければ、聞き手の耳を通り抜けるだけ


そこで、自分の講義の準備具合をこの項目に分けて整理すると、

「伝達スキル」――ダントツの不安要素:英語
 もはや一朝一夕で何とかなるものではなく、諦めるしかない。
 その分、パワーポイントの作成に力を注いだ。リモセン画像によるビジュアルなスライドを多様するとともに、アニメーションを駆使して、ところどころに英語のキャプションを入れたり、自分の英語を補うための工夫をした。


「内容」――できる限り最良の講義資料を事前に用意できた。
 NASARESTEC東京大学・竹内渉先生のWebサイトを参考にさせて頂くとともに、長年お世話になっているリモセン会社のIさんにPPT資料を提供していただいたお陰で、最新データに基づく、リモセンに関する一連の話題(プラットフォーム変遷の歴史、リモセンの基礎理論(スペクトル)、センサー技術、近年のトレンド、今後の展開)を、90分に効率よく凝縮することができた(と思う)。


「気持ち」――残り数日でできることといえば、もはや講義を行う上での「伝える気持ち」を高めることしかないし、何よりもこれが一番大事だと思う。
中島美嘉の言葉に、「歌にはまったく自信がありません。でも心を込めて歌うことには自信があります」というものがあるという。この言葉を借りるなら、「英語にはまったく自信がありません。でも心を込めて講義することなら僕にもできます

直前の数日は、モチベーションを高めることに注力した。具体的には、自分が用意した講義資料を見直しながら、「講義内容はとても良いものだから、下手な英語であっても、興味を持って熱心に聞いてくれるに違いない」、「自分が本気で面白いと思っていて、それを熱意をもって表現すれば、かなならず伝わる」と自画自賛しながら、モチベーションを高めていった(アホ?)。


自分の低い英語力を補うための自己擁護策と言えばそうなのだが、それまでに最大限の努力をしたという自負があるならば、もはや最後は“開き直り”の精神が大事であろう。


もちろん、「伝達スキル」を磨くことは必須だし、これからも英語力を高める努力を怠るべきではない。今回は単発講義であったから大目に見てもらえたが、さすがに半年分の講義であれば、“気持ち”勝負の拙い英語では到底許してもらえないだろう。
でも今回の経験を通して、最後はやはり「伝いたい気持ち(気合!?)」が大事なのだと、自分の中で再認識できた。


まあ、何はともあれ、こちらでの初講義が無事に終了して、一安心!

、、、と思いきや、この数日間、ため込んでいた仕事が山積している!!来週は出張なので、息をつく暇はほとんどないが、ひとまず大きな山を越えることができて、ほっとしました。


≪写真・上≫ Peterによる紹介。

≪写真・中≫ 講義の最中。


≪写真・下≫ 普段は飲まないが、講義や長めの発表の時は、「モチベーション起爆剤(?)」として、コーラやオロナミンCを手元に置く(昔は、酒のボトルを片手に講義をする教授もいたというが、その気持ちも分からなくはない)。日本だと、教える側として授業中のコーラ飲みはやり辛かったが、こちらだと全然やりやすそうだ。

2008年4月4日金曜日

初講義 ~ Before その1

先日、突然Peterから、「俺の授業で、一回分の講義を担当しない?内容は、リモートセンシングで。」と言われた。

もちろん、一応、自分もリモセンの末端ユーザではあり、表面的なことは知っているが、人に教えるレベルではない。しかも、英語でなんて。。。
例えるなら、うどん職人が、突然イタリア料理の講習会を担当するようなもの(?)。空間情報科学というくくりでは、GISとリモセンは同じカテゴリーに入るが、やはり歴史も基礎理論も基盤技術も大きく違う。うどんもイタリア料理も“食”という意味では同じカテゴリーだが、食材も調理法も大きく異なる。

しかし、異文化の料理を勉強することは、料理人としての総合的な腕を上げる絶好の機会(のはず)。リモセンを基礎から勉強しなすことは、創作的GIS研究(?)を進める上で、プラスにならない訳はない。二つ返事で「はい、やります」と言えたらカッコ良かったが、「ちょっと考えさせて」と言って20分後位に、「や、やります!」とPeterに伝えた。


Peterは、『Environmental Science and Technology』という、教養学部(ハーバードには学部は一つ)の講義も担当している。主に理工系を専攻とする2・3年生が対象で、エネルギー・資源問題から、水や大気の環境汚染、気候変動・温暖化に至るまで、環境科学や環境技術の全般的な内容を網羅する。
その一つが、「衛星による地球環境の観測」(Tools for Monitoring the Environmental Processes of Earth: Satellites)であり、それを自分が担当することになった。


今回、授業の担当を躊躇した理由として、「内容が自分の専門とやや離れる」という点が大きいが、同時に、「授業のシステムが日本と異なる」ことも挙げられる。

はじめに、扱う内容は非常に広範であるが、一つ一つの講義の内容は深く、基礎理論から技術の発展、現在の最先端までを、その背景となった歴史的な流れも含めて、90分という枠を最大限に使って説明する必要がある。従って、表面的な〝リモセン技術とその応用の紹介”では許されない(当然か)。

そして、大きく異なるのは、教える側と学生との関係
非常に荒く分類すると、日本の授業は「一方通行型」、こちらは「対話型」が主流であると思う。

日本だと、講義中に学生から質問を受けることはほとんどないと思う。基本的には、講義とは先生の話を聞くものであり、質問を受けるとしたら、「質問はありますか?」と問いかけた場合や、授業の後に個人的に質問を受ける場合がほとんどだろう。少なくとも自分の経験からはそう言える。
しかし、現在ハーバードで2つの講義を受講しているが、それを見る限り、こちらでは授業中の学生の質問がやたらと多い。鋭い質問が飛び出すことも多いが、中には本質的でない質問や個人的な質問をして授業の流れを中断する学生もいなくはない。

従って、どうしようもない質問から高度な質問まで、いつどんな質問が飛び出してくるのか全く予測不可能であるが、教える側には、授業内容は当然のこと、関連事項にはすべて回答できるよう、周到な準備と柔軟な対応が求められる。分野よる違いもあるだろうが、やはり日々状況が変わる環境問題を対象とした講義では、常に最新かつ正確な情報を仕入れていないと学生の質問には適切に対応できない。

やはり日本のように「授業中、学生からの質問を受けないことが前提の授業」と、こちらのような「授業中、学生からどんな質問が飛んでくるかが分からない授業」に臨むのでは、教える方の心構えは全く異なる。実際、〝学生が質問をしまくる”という環境が、教える側に緊張感を与えており、それがより質の高い授業へつながっている気がする。

しかし、その分、先生方は相当大変そうである。Peterはかなりのベテラン教授であり、同じ授業を長年こなしているはずだが、週末もオフィスへやってきて、常に授業内容を最新のものへ更新している。


それにしても、まだまだ英語が相当怪しいこの自分に、(たとえ一コマとは言え)講義を担当させるPeterは、かなりの大物である(きっと)。


≪写真・上≫ 川崎のオフィス。こんなところで研究してます。
≪写真・下≫ Pierce Hallの階段部分。手摺が低くて、ぼーっとしてると落ちそうで怖い。

2008年3月30日日曜日

CGA その1

現在、ハーバード大学地理情報解析センター(以下、CGA)に、Research Affiliatesとして参画している。これから数回にわたって、CGAの実態を紹介をしたい。

設立の背景
 2005年春、プロボスト(学長を補佐する教務局長)と教養学部(Faculty of Arts)、建築大学院(Graduate School of Design)の各学部長のサポートによって、CGAは設立された。CGAは、 ハーバード大・定量社会科学研究所(the Institute for Quantitative Social Science)の技術基盤センターの一つとして位置づけられる。
 CGAの使命は、同大のGeospatial LibraryやMap Libraryなどのこれまでの基盤をもとに、ハーバード内外の空間情報科学の発展に寄与することである。
(ハーバードがCGAを設立した経緯の詳細については、後日改めて記載する)

 センターには、専門スタッフが常備し、研究や教育における空間解析やプロジェクトの推進、最先端空間情報技術の開発に携わる。GISのみならず、リモートセンシングやGoogle Earthなどを含んだ空間情報技術の全般を対象とする。

体制
 ⇒拡大中(1年前と比べてメンバーの大幅な増強)
・ 非常に広範な研究分野からの学際的メンバーが参画
・ ベテラン教授陣による運営委員会と若手実務者による技術アドバイス委員会との2段構成


CGA専属スタッフ
 ⇒これまでに企業や自治体などでGISの実務に関わっていたGISプロフェッショナルであり、大学内のGISサポートをメイン業務とする。いわゆる「研究者」ではない(除く、センター長)。

・ センター長 Director  1名(Faculty)
・ オペレーション・ディレクター Director of GIS Research Services 1名
・ 上級GIS専門職 Senior GIS Specialist 2名
・ GIS専門職 GIS Specialist 3名
・ ソフトウェア開発技師 Geospatial Data and Information Software Engineer 1名(図書館と兼任)


CGA 連携活動メンバー(Research Affiliates)
 ⇒CGAと実質的な連携活動を行う学内研究者

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 1名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Science 1名(川崎)
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ オラクル社 1名


ベテラン教授陣よる運営員会 計18名(Faculty Steering Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 11名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Sciences 2名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 1名


若手による技術アドバイス委員会 計11名(Technical Advisory Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 2名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 1名
・ Harvard-MIT Data Center, IQSS 1名
・ Harvard Planning & Allston Initiative 1名
・ 図書館 Library 2名


* 上の日本語訳と補足説明は、筆者の独自解釈に基づく

2008年3月16日日曜日

GIS@GSD

GSDとは、Graduate School of Design(建築大学院)のことである。大学院なので、基本的に学部生はいない。

GSDでは、約600名の学生が、建築デザイン、ランドスケープデザイン、都市計画デザインの3コースに分かれて、1Fから5Fまで階段状に広がる巨大studioで設計活動に勤しむ(写真参照)。意匠設計やランドスケープ設計の学生と同じく、都市計画専攻の学生も、Studioでの設計活動をメインとすることがGSDの特徴の一つと言える。後述のPaul Cote氏によると「これは米国でも珍しい」とのこと。おそらく日本の建築学科でも、デザインをメインとした都市計画コースを用意しているところは少ないのではないか?

GIS業界では、GSDの名前を聞いたことがある人も多いと思う。
Carl Steinitz (景観プランニングGISの第一人者、立命館大GISワークショップ)
・Jack Dangermond(ESRI社長
・Mark Sorensen(GPC社代表
Ian McHarg (『Design with Nature』(1969))
Peter Rogers(Carlと『A Systems Analysis Model for Urbanization and Change: An Experiment in Interdisciplinary Education』(1970)を共著)
などGISやランドスケープ・デザインの発展に貢献した人材を多く輩出している。

最近では、GSD-GIS = Carl Steinitzのイメージだが、彼は昨年GSDをstep down(退職)して、今はロンドンで暮らしているとのこと。そこで、GSD-GISの新エース(!?)Paul Cote講師から、現在のGSDでのGISの活用に関する話を聞かせてもらった。Paulは、Carlとともに『地理情報システムによる生物多様性と景観プランニング』(1999)を執筆。CGAのTechnical Advisory Committeeも務める彼は、GSD-GISの“顔”といって過言ではない。


Paulは、ハーバードでGISの授業を2つ担当(⇒ハーバードGIS講義一覧)。
彼はGSDの設計活動におけるGIS利用の促進を目的に、以下のような活動を行っている。

■GISデータベースの作成と維持管理
 ・・・マサチューセッツ州のGISデータをSDEで管理、イントラネットで共有

■GIS利用マニュアルの作成
 ・・・ソフトウェアのインストールからデータ作成、解析、3次元モデリングまで、丁寧なWebマニュアルを用意

■GIS活用便利ツールの作成
 ・・・自分も横国大にいた時、建築の学生からたまに相談を受けたが、建築設計の学生は自分が対象とする敷地の地形や土地被覆、土地利用、建物に関する詳細な情報(データ)が欲しい。もちろん、GISを使えばそのようなデータの抽出は可能であるが、そのためにGISの操作方法を覚えるのは面倒であり、大体は断念してしまう。

そこで、PaulはGISをほとんど知らない学生でも、自分の対象敷地の建物、土地利用、地形(標高)、航空写真をボタン一つで簡単に抽出できるツールを作成し(ESRIモデルビルダーを使用)、学生に配布している。これによって学生は、SDEのデータベースに自動的に接続して、マサチューセッツ州の対象地域のGISデータを簡単な操作で入手できる。
Paul曰く、「この便利なツールを使うことによって、学生は裏で動いているGISの存在を認識し、そこから逆にGISに興味を持ち、GISの勉強を始めることもある」。最初からGISを押し付けず、学生は知らない間にGISの機能を使うことで、その便利さと活用可能性をふつふつと実感し始める。何て完璧なGIS誘導作戦!

また、Googleのスケッチアップ・ツールで作った3次元モデルを、Google Earthに張り付けたり、ジオデータベースとしてArcMap上に表示したり、その逆(GIS⇒Google Earth)をやったりと、建築学科の学生が喜びそうな3次元データモデルの構築とソフトウェア間連携、ビジュアル化も支援しているという。

Google 3Dギャラリーには、PaulやGSDの学生が作ったハーバード大キャンパス内の建物の3次元建物モデルが沢山掲載されている。
≪下の3つの画像は、3Dギャラリーに登録されているハーバード大の建物モデルをGoogle Earth上で表示したもの≫


自分も学部時代は建築学科だったが、大学院に行ってGISを知ってからは、「GISは都市計画やランドスケープ・デザインのみならず、意匠設計の分野でも大きな力を発揮する」と常日頃から思っていた。Paulは、既に何年もGSDでそれを実践している。
Google EarthやGoogle SketchUpの登場、GISデータのみならず、CADの方でも進んでいる情報の標準化、異なるソフトウェア間の連携の容易化などを鑑みると、建築分野でのGISの利用はこれから飛躍的に伸びるだろう。
Paulと話している中で、それを再認識することができた。

2008年2月28日木曜日

研究費の応募書類の作成

こちらに来て3週目から早速、大学内の競争的研究資金2つに応募することになった(大学内のFaculty向けなので、もちろん教授名義での応募)。

お陰でこの数日は缶詰め状態(大袈裟)だったけど、何とか形になってきた。
一応国連大で、英語で研究資金の応募書類を作った経験はあったが、その時は日本の機関向けだったのでやや気持ち的に楽であった。しかし今回はハーバードの先生方が対象だし、しかも研究計画や応募書類の書き方をもとに、現在の受入先教授(Peter)に自分の力を判断されることになるだろうから、それになりにプレッシャーであった。

というか、それ以上に研究費の獲得に貢献することで、Peterに若干でも恩返しをしたい!という気持ちが大きかったので、かなりの労力を注ぎ込んだ。もちろん、大学内といえでも競争は激しく、研究費の獲得は容易ではないだろうけど、現時点でのbestは尽くしたつもり。2つとも、4月に審査結果発表!

≪写真≫ Peter Rogers研究室の入っているPierce Hall(1901)

2008年2月26日火曜日

受け入れ決定の経緯

現在、お世話になっているPeter Rogers教授から受入許諾のメールをいただいたのは、
ちょうど一年前の今日。
面接(?)のためにやってきたハーバード大学のキャンパスで、「ダメかもしれない。どうしよう。。」と途方に暮れているときに、受け取ったPeterからのメール。『捨てる神あれば、拾う神あり』。
Peterおよびお世話になっている大勢の方々への感謝の気持ちを忘れずに、これからも頑張ろう。

以下、当時の上司などに送ったメール(2007)より。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
川崎です。今、ボストンにいます。
こちらは街一面、雪が降り積もっています。

さて、本来であれば、本日、帰国することを予定しておりましたが、
以下の理由から帰国日を3/7に延長させていただきます。
誠に勝手でございますが、ハーバード大にて、全く予想外の展開になりました。また、日本の現時点での諸業務ならびに帰国後の研究活動に支障をきたさぬよう、こちらでも仕事を続けており、皆様にご迷惑をおかけしないよう、最大限の努力をいたします。

結果としては、ハーバード大学環境センターにて、都市・地域計画を専門とするPeter
Rogers教授のもとで研究をさせてもらえることがほぼ決まりました。Rogers教授は、東アジア越境水環境や国際河川流域の専門家として学際的環境研究を進めており、ハーバード大地理解析センター(CGA)の運営委員でもあります。
この先生およびCGAと協働体制を組むことで、〇〇研究の国際展開へ寄与していくことを考えておりますので、ご容赦いただけますよう、よろしくお願いいたします。

ハーバード大学での状況説明
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1.ハーバード大学The Center for Geographic Analysis(CGA)での面談:

2週間前に、履歴書、研究計画、推薦書などを送付した上で、
CGAセンター長Prof. Peter Bol、研究ディレクターDr. Wendy Guanと面談しました。
横国大および僕の研究活動に強い関心を持っていただき、とてもよい感触でした。
しかし、以下の理由からCGAでは客員研究者の受入ができない、との回答でした。

・設立されてから間もない小さなセンターであり、権限もスペースも限られている。
・センターには、フルタイムのスタッフが数名いるが、Facultyはセンター長、
ただ一人である。
・ハーバードにて客員研究者を受入れるためには、Faculty(助教授以上)に
スポンサーになってもらう必要がある。
・スポンサーとは、金銭的援助を意味するわけではなく、
 ①ハーバード側の受入研究者として各種の責任を持つ、
 ②研究スペース、PCなどの研究支援資源の提供、
 ③ビザの発給やハーバード内の保険に加入するためのIDを発行すること、
などなど広範にわたって、客員研究者を支援するものである。
・センター長の専門は、「東南アジア史」であるため、あまりにかけ離れた研究テーマを
持つ僕のスポンサーになるのは難しい。

よって、『僕の研究テーマとの接点があるハーバードのFacultyを見つけ出して、その人にスポンサーになってもらう。その上で、CGAとコラボレーションをする』、という結論に至りました。
2週間前に書類を出しているので、その時点で言って欲しかった、という思いもありますが、とりあえず、僕の研究テーマに近い2名の研究者を紹介してもらいました。
- Peter Rogers, Division of Engineering and Applied Sciences, Gordon
McKay Professor of Environmental Engineering and Professor of City and
Regional Planning
- 〇〇 △△, Graduate School of Design, Adjunct Associate Professor

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2.Faculty探しに奔走:

・多忙なハーバードの教授と直ぐにアポイントを取れる訳もなく、Prof.Peter Rogersは
出張中とのこと。
・しかし、運良くAdjunct Assoc. Prof. 〇〇 △△とはアポイントが取れました。
・その他、「ハーバードのWebサイトで、関連がありそうなFacultyを探した方が良い」
とのアドバイスを受けましたので、ひたすら人物探しをしました。

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3.Adjunct Assoc. Prof. 〇〇 △△との面談→断念:

・彼は、Graduate School of Designに所属していますが、「流域環境に
おける人間活動と生態系の関係」という、まさに僕にぴったりの研究テーマを進めて
おり、関連の書籍も多数出版していました。
・そこで僕の方でも自分の研究を紹介し、彼からも共感を得てもらいました。
・しかし、Adjunct Assoc. Prof. の身分である彼はテニュアを持っておらず、今年
いっぱいしか任期が残っていない、とのこと。しかも、次の職場が見つかり次第、
直ちにハーバードを去るつもりなので、スポンサーは引き受けられない、とのことで
した。当然だと思います。。

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4.その他のFacultyへのアプローチ→上手くいかず:

・GIS関連の先生を探しましたが、ほとんどがLecturer, Dicector,Analyst,Specialitなど
のFaculty以外のポジションでした。ハーバードには職員が10,000人いますが、
Facultyの数が如何に少ないのかを実感しました。
・CGAの方でも同じく、僕の受け入れ先を探してくれました。数人の先生方に
アプローチをしてくれましたが、僕の研究テーマとマッチする人はいなかったみたいです
・ボストンでは、少し日程的な余裕があったので、CGAのスタッフの協力のもと、
残りの時間を全てFaculty探しに充てましたが、全く上手くいかずに、八方ふさがりな
状態に陥りました。

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5.Rogers教授からの突然の連絡:

・最終日の残り時間が少なくなってきて、あきらめかけた時に、突如アリゾナの
Rogers教授からメールをいただきました。
・「CGAセンター長Prof. Peter Bolから連絡をもらった。2007~2008の間、研究員として
受入れます。机やPCなどは当方で用意するので、受入の手続きはCGAと連携して
進めて欲しい。3/5にハーバードへ戻るので、もし可能であれば面会したい」

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6.面談および今後の準備活動:

・よって、3/5にRogers教授と面談を行い、3/6に出国、3/7に帰国することに決めました。
・J-1ビザ(研究・交流)を取得するためには、ハーバード大およびスポンサーに証明書を
作成してもらう必要があります。その書類などを事前に用意しておこうと思います。
・(既に何度も行っていますが)再度CGAに出向いて、今後の申請準備やその後の研究
計画についても、打ち合わせを重ねながらできる限りの準備を進めておこうと思います。