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2009年6月15日月曜日

現地調査

2週間前、ラオス・カンボジアの現地調査から戻った。

旅行中、「一言でもいいから、できる限り毎日ブログに記録を残そう!」と心に誓うが、
たった二日で断念。。。ボストンに戻った後も、
日々の忙しさに追いやられ、更新が完全にストップ。
あぁ、、情けない…。


ラオス・カンボジアでは、現地の中央省庁や地方自治体、
メコン川委員会、世界銀行やアジア開発銀行など、
メコン川管理にかかわる多くの機関を効率よく、訪問することができた。

やはり現場で活躍する人の話を聞いたり、
実際に現地に足を踏み入れることで、
得られる情報はものすごい。

(以前から)インターネットで検索可能な情報でさえも、
現地に行ってヒントを得なければ、
そこにたどり着けないこともある。


以下のラオスとカンボジアのGISアトラスのWebsiteも、
ふと入ったヴィエンチャンとプノンペンの本屋で、
これらの書籍を見つけたのがきっかけ。


Socio-economic Atlas of the Lao PDR
 http://www.nsc.gov.la/Atlas/Index.html

The Atlas of Cambodia - National Poverty and Environment Maps
 http://www.cambodiaatlas.com


後発開発途上国(LDCs: Least Developed Countries)に分類される、
ラオス・カンボジアでも、先進国の支援のもと、
この数年で、超良質のGISデータが国中で整備されている。
2年前、同じくLDCsであるバングラデシュを訪れた際も、
GISデータの整備には目を見張るものがあった。


これから、今まで以上に、
“GISデータの活用”が問われる時代に突入していく。
GISを活用することで、それ以前と比べて、
何が、どう変わるのか、を明確に示していかなければ。

2009年3月11日水曜日

今期2回目の講義

今期2回目(こちらにやってきて3回目)の講義をやらせてもらった。

「Engineering Sciences 165: Introduction to Environmental Engineering」(担当:Prof. P. Rogers)という、主に学部1,2年生を対象に、水資源管理を中心とした環境工学の基礎を教える講義である。自分は、「GIS and Environmental Management」という一回分の講義を担当(90分)。

小さなクラスなので、学生数は15人程度。
男女比は1:1。理工系クラスなのにアジア系は少なく、ややビビる。

90分の講義は以下のように構成。
-------------
1. Introduction

2. Fundamentals of GIS
- Principles
- Feature Representation
- Spatial analysis and modeling
- Summary

3. An application for Environmental Management
- Overview of the environmental application
- Arc Hydro data model

4. Current and future trends of GIS and Modeling
-------------

ほとんどGISを知らない学部1,2年生を対象に、
「GISとは?」から始まり、「Arc Hydroデータモデルとその応用」までを
90分で説明するという、荒技を試みた。

これは、無免許の人に、ハンドルの握り方から、
ドリフト走行(車をスリップさせて走らせる)のやり方までを
一気に教えるようなものだ。


そもそも、GISの基本を説明するだけでも大変なのに、
さらにその先のArc Hydroデータモデルまでも含めるのは、
無謀なのは承知している。
確実に、“内容過多”であろう。

しかし、逆にそこまで踏み込まないと、
活きのいい学部生にとって物足りないのでは?と思われる。
そこで、それを見極めるためにも、
敢えて情報過多の講義へ挑戦することにした。


加えて、前回の講義の成果などから( ⇒3/1 ライブ感のある講義)、
できる限りインタラクティブ(双方向的)な講義になることも
心がけた。


そして3月11日、何とか90分をやり遂げた(汗)。

仕方ないことだが、講義中、
何人かの学生は自分のノートPCに夢中になっていたり、
ウトウトと眠っていたりもしたが、
何人かはずっと熱心に聞いてくれた。


今回は、講義の前に学生にコメントシートを配って、
「無記名でいいので、正直に思ったことを記入してくれ!」と、
授業内容や進め方について意見を書いてもらった。

その結果、多くの学生がGISの有用性と重要性を理解してくれたようだ。
(もちろん、どの程度本気なのかは不明だが…)

以下、コメントの抜粋
Visuals are fantastic!
 ⇒パワー・ポイントのスライドは、分かりやすいと好評であった。
 まさに、GISの得意なところ。

Very well documented!
 ⇒授業準備に対する努力は、評価してもらえたようだ。

Avoid reading slides words for word.
 ⇒“スライドの文字をそのまま読む”ことに対して、
 沢山の学生からダメだしされた。
 もちろん、"文字のじか読み = NG" なのは分かっているが、
 90分講義だと、どうしてもそのような箇所ができてしまう…。

 ⇒「もっとGISの生デモンストレーションを増やしたり、
 スライドの文字を大幅に減らし、箇条書きで端的に整理し、
 自分の言葉で、関連事項を話すことで、この講義はもっと楽しくなる」
 と親身にアドバイスをくれる学生もいた(涙)。
 ただ、、、分かってはいるんだけど、自分の能力がねぇ、、、。

・「英語での講義が大変なのはよく分かるが、
 講義の流れがスムーズになるよう、もっと練習した方が良い

 ⇒実際のところ、原稿を読みながらの練習は何回もやったが、
 原稿なしの練習は不十分であった。
 次回は、いきなり「原稿なし練習」から始めてみよう。
 (「原稿付き練習」、その後、「原稿なし練習」は、時間効率が悪い気がする。
  一方、原稿なしから始めるとと、文法めちゃくちゃでの喋りに終始しそうな懸念もあり、悩ましい。)


A two-part lecture would be more appropriate.
 2人の学生から、「講義の情報量が多すぎ」「2回に分けた方が良い」との意見があった。
 やはり、一つの講義でArc Hydroまでもっていくのは、やり過ぎであった(反省)。

 途中、一つの質問に対して、時間をかけて回答してしまったため、
 講義の最後の方は、時間が足りなくなり、駆け足になってしまった。
 (=学生が質問をする機会がない)

 インタラクティブな講義を目指すならば、
 講義内容を大胆に削って(⇒絞り込んで)
 質問と回答の時間を大幅に取るべきだ。
 講義時間の1/4は質疑応答に確保するのことを目指そう。


ちなみに、本講義中の質問は、以下の2つであった。

「Google Maps, Google EarthはGIS?」

「modelという用語の使い分けが分からない」
 (講義中、Feature model, Spatial model,
 Data modelと3種類、モデルと言う用語が出てきたので。)


前回の講義(⇒3/1 ライブ感のある講義)は、GISに強い興味を持つ大学院生が対象だったから、
10個以上の質問が矢継ぎ早に飛んできたが、
GISの存在すら知らない学生を対象とする場合は、
もっと学生を講義に巻き込む仕組みが必要だ。


次回は、3月31日に別のコースにて、
「リモートセンシングの基礎」を講義する。
今度は、大教室にて、約80名の学部1,2年生を対象にするので、
以下の二つを最重要課題にして、講義に挑もう。

 ・ スライドのじか読みは避ける
 ・ 学生をもっと引き込んで、質問しやすい雰囲気を作って、
   最低でも4つは質問させる


↓今はもうやっていないので、自分は受講できなかったけど、
当時(つい数年前)は、ハーバード学部生の1/3は受講していたという、
超人気講義。

2009年3月6日金曜日

ESRI Podcasts

Speaker Series > Interviews with ESRI Staff の
以下の二つを聞いてみた。

The Scientific Context for Analysis and Modeling with ArcGIS (9分)
—Dr. David Maguire, Chief Scientist, ESRI

Water Seminar Series (14分)
—Chuck Cmeyla, ESRI Public Works Industry Solutions Manager at ESRI

やはり他の分野の話題に比べて、単語が耳に入ってくるし、状況がイメージしやすい。
GISユーザが英語を勉強するのに最適かも。

ESRI Podcasts
http://www.esri.com/news/podcasts/index.html


↓ 「発音&リスニングはGISでマスター」でしょう!

2008年12月6日土曜日

HarvardScienceへの掲載

11月19日のセミナーで
自分が発表した内容が
(⇒CGA セミナーでの発表)、
HarvardScienceに
掲載されている。

――――――――――――――
HarvardScience
 
 *上部の
 Environments メニュー から
 Geography をクリック
 > "Thinking globally and mapping locally"へ
――――――――――――――

さすがプロの記者、
分かりやすい文章で簡潔にまとめてくれている。
タイトルはかなり大げさだが、一般向けの記事としては
これ位キャッチ―な表現が必要なのだろう。

事前に、文章を確認させてもらったのだが、
その後の記者もしくは編集長による最終校正により、
誇張表現が若干増えている(笑)。

(例えば、「人口、土地利用、気候の変化を予測する」と記述されているが、
 もちろん、そんなことはできない(笑)。
 あくまでも、“潜在的な変化の幅を大まかに検討する”という程度)

「ラリー・サマーズのムービーを見て、ここに来ることを決めた」、
(⇒CGAその3:地理解析センター開設の理念
という話も書かれている。


英語だけど、自分の研究内容が、
簡潔にまとめられているので、
ご興味とお時間がある方は目を通してくださいませ。


↓「世界〈水〉市場120兆円。“水危機”を背景に急成長する水ビジネス。」
だそうです…。

2008年11月19日水曜日

CGA セミナーでの発表

CGA(地理解析センター)は、
月一回、
ABCD-GIS Working Group
開催する。

これは学内外の研究者・実務者が、GISの理論や応用についての最新の研究成果を発表することで、
コミュニティ内外での情報収集や意見交換を促進することを趣旨とした、定例ミーティングである。


ついに、
というか、とうとう、
自分が発表する番が回ってきた。

こちらにきて初めての、
90分セミナーの開催となる。
(⇒タイトル・内容のフライヤーPDF)

4月に一度、講義を担当させてもらったが(⇒初講義)、
自分が中心となって、
研究の話を展開するセミナー形式は、
今回が初挑戦だ。

しかも90分、かなり長い。


時間の使い方は自由裁量なので、
適当に(!?)、
プレゼン60分、質疑応答30分と決めた。
これまでのセミナーへの参加経験から、
妥当な時間配分だと思われる。

(というか、30分以上の質疑応答には
 耐えられる気がしない(笑))


今回の60分プレゼンのため、
4月の講義のときと同様、
発表用原稿を用意した。

やはり正式な場での英語発表には、
まだまだ原稿の用意は欠かせない。

しかし、そうは言っても、
60分のフル原稿を用意するのは大変なので、
今回は8割程度の用意にとどめた。


そして、講義のときほどではないが、
今回もそれなりの回数を練習した。

一回60分となると、
練習を開始するにもかなりの気合いが必要であり、
重い腰が全然上がらなかったが、
それでも5,6回は通しの練習をした。


もうこちらにやってきて、9か月以上経つので、
そろそろこんなセミナーくらい、
軽くこなせるようになりたいが、
そうもいかないと言うのが現状だ。


そして11月19日、無事発表が終了。
用意したプレゼンは計60分で終わったし、
伝えたいこともちゃんと言えた。
英語の発音・リズムはボロボロだったが、
まあ、現時点での自分のベストは尽くしたつもりだ。


しかし、、、
質疑応答の30分は、ボロボロだった。。。。

質問者の問いに対して、適切に応えられなかったこともあったし、
その場では回答したつもりであったが、
後になって考えると、
(自分の方で)質問内容を誤って解釈して、
異なる趣旨の回答をしてしまったこともあった。


プレゼンの前、
「質疑応答の際には、
"Are you asking that ~?"と
必ず相手の質問を自分の口で確認してから、
回答をはじめる」
と自分に言い聞かせていたが、
全く実行できなかった。

(↑を実行することで、
 ①自分が相手の質問を正しく理解するとともに、
 ②聴衆全員にも質問内容を確認することができる。
 ③そしてその間、自分が回答を考える時間が稼げる、
 という利点があるらしい)


まずは、当たり前のやるべきことから、
ちゃんとやりましょう、
自分。


*学内外から足を運んで
本発表を聞きに来てくださった皆様、
どうもありがとうございました!!



≪写真 先週初めのキャンパス。
今はもう、ほとんど枯れ木です。≫



↓会場に用意されていないことが多いので、
マイ・ポインターは必携です!

2008年10月8日水曜日

CGA その3: 地理解析センター開設の理念

 ハーバード大地理解析センター(CGA; Center for Geographic Analysis)設立理念を理解する上で、本センター開設式(May 5, 2006)のラリー・サマーズ学長(当時)によるスピーチが重要だと自分は考えている。

 現時点では大学内部からしかアクセスできないが、以前は誰でも自由にこのスピーチ・ムービーにアクセスできた。
 2005年夏、横国大でネットサーフィンをしていた時、ふとハーバード大学CGAのWebサイトを見つけ、この学長スピーチ・ムービーに辿りついた。このムービーを見た瞬間、「こっ、ここに行きたぃ!」と強く思うほど、自分にとっては印象的なスピーチだった。
 具体的には、「アカデミックにおけるGISのこれからの方向性」、そして、「ハーバードが、なぜこのタイミングでGISセンターを設立したのか?ハーバードはGISに何を期待しているのか?」を、学長が自身の言葉で明確に、力強く語っている。彼の専門である経済学をもとに、GISの重要性を説いているところが興味深い。

 以下は、15分のスピーチ・ムービーをもとに、エ(ト)ロイ・ファウラー氏協力のもと、独自に文字化したものだ。英語ですが、一読の価値アリです。


May 5, 2006 『History and Revival of Geography at Harvard』
Welcome Remarks Video of presentation by President Lawrence H. Summers より。

-----------------
 This is an important day for Harvard, and it’s even possible that it’s important day beyond Harvard. Someone has said that when Harvard takes a step, it blazes a past. Sometimes that the case, sometimes it’s not, but might be the step here.

 By embracing new geography, I think Harvard is taking important step today. Before I do anything else, I want to thank Jack Dangermond for his vision, energy and support. I want to thank Peter Bol who has been the faculty leader of this project, and who is done remarkable job, for all his energy and for his vision.
 
 Harvard’s history with geography has not been a tale of an avoid happiness. One of my predecessors examined Harvard’s efforts in geography with a withering gaze some years ago, and the conclusion of his examination, they were no more. One can debate whether that’s a wise or an unwise action. What it said about social science of geography as it stood at that point, what it said about other less attractive personal aspects that may of entered the decision making.

 But that’s the past, and geography is a very different field today, and it’s increasingly at the center of a very wide range of intellectual concerns. We start a certain number of interdisciplinary programs designed to bring people together across different fields at Harvard, but what I’m struck by looking out this crowd, is we have Humanists like Professor Kune and Professor Angle here, we have social scientists like Professor Samson and Professor King here, we have scientists like Professor Goodman here, my understanding is the Professor Shrag would be here a little later. So it’s a reflection at the first level on the importance of what we are doing here, on the importance of geography, on the importance of the kind of work that national geographers do that there is such a wide and broad interdisciplinary representation here.

 I know a little about this in the context of my own field, where if you thought about Economics and all the things Economics sought to explain and discuss. What you would be struck by until very very recently to some extent it’s still, true today… there are lots of economic observations you can try to explain: Why are there these things called interest rates? Why is there this thing called the stock market? why are some people rich, why are some people poor, why are there shortages, or sometimes surplus other time, why are there booms sometimes, and why are there busts other times. If you take any introductive economics course, you will learn a set of theories that explain all of the phenomena I just described.

 Here is another phenomenon. If you look at the land area of the Great Plains, it’s all more less to same and yet about 95 % of economic activity takes place in about 5 % of the space. And you can sit through all of the introductive economics, you can graduate as an undergraduate, and then graduate as a PhD, for almost any university economic program, and not be exposed even to the fact that that’s an interesting observation, let alone to what are the most convincing explanations for it. And yet if you think about it, it’s something that’s absolutely central to the organization of economic life, it’s something that must obviously bare on everything from economics of housing, to the economics of transportation, to the economics of international trade between different places. There is now a new economic geography that’s seeking to shed light on these issues that has made considerable progress. But if you had to think about all of the really important phenomena economically, surely the one that has the highest ratio of importance to amount studied in academy is Economic geography.

 There’s another related observation of role of place in social science. I reminded of seeing Professor Samson here. We have the notion in economics indeed in much of social science of individualistic rationality that we all are born with our preferences and those preferences shape our demands and shape our behaviors, and then they all interact to make some kind of equilibrium, and that’s the economy. And yet we are all creatures of our social environments, and the social environments that affect us most are the social environments that are closest to us. So questions of our neighborhood, our place how it evolves, how it makes us evolve, how our evolution affect other places are something central importance that’s too is part of new geography.

 I’ve used you these examples in a little bit of details because they are actually near things that I know a little bit about. But there are others, in some ways even larger questions that this new geography will open up for us.
What have been the deep forces, the really deep forces that have shaped the way in which human history has unfolded. Why is it that in one continent, there are ten times as many people per acre as in another continent, and those people are ten times as rich? Why are some areas of the world much more prone to war than other areas of world? Why do people live longer if they are luckily enough to be born in some areas of the world, then in others? We are starting to develop answers to these questions, that go beyond one story, after another, one data point one story that approach to deep history. That kind of thing whether he got right or he got wrong, which is a very matter of debate, that’s represented by Jared Diamond “Guns, Germs and Steel" that has the prospect of fundamentally enhancing our understanding.

 That’s yet the another aspect why I think an effort like the one that embarked on here is very very important, that goes to the nature of scientific inquiry. Freeman Dyson once suggested there are two views of the history of science. One is the view to which I was exposed to my high school training and which I suspect most intuitive to all of us. There these paradigms that come from hypothesis that have been confirmed for a while, that go along, eventually people start to detect anomalies within the paradigm, enough anomalies build up, people don’t know quite what to do, some genius comes alone and proposes a new theory, that explains the anomalies and opens up new questions and we declare progress. What might be called Cunean view of progress science.

 That’s different view, which Daison labeled the Galisonian view of history of science, after a colleague of Peter Galison. It’s a view that emphasizes centrally tools. Yes that’s lot of stuff about hypothesis and so forth, basically, when people looked telescope and saw there were moons orbiting Jupiter, then they understood the answer, not everything was revolving around the earth. When somebody invented microscope and looked into a microscope and they saw cells, and they knew something very important that they did not know before. One can extend the metaphor out to the particle accelerator, computerized genomic sequencing, or the Hubble telescope.

 The point is that the development of new tools just to open up huge areas of inquiry that lead to new hypothesis that lead to progress, and that the fundamental engine is the less the anomaly and theoretical insight, then the tools that change the nature of the questions that are being asked. It seems to me that’s very much represented here as well, with the tremendous new power of Geographic Information Systems that make it possible for us to construct models of everything for Gary King’s Voting district, Peter Bol’s China in the 3rd century, in ways that we didn’t have before.

 So whether it’s history, whether it’s social science, whether it’s tools space science, this is an opportunity to explore a vast and not virgin intellectual territory, but an intellectual territory that can now be approached with new perspectives, new tools and newly important ways. That’s why this is a very important initiative for our university. And the Provost and I’ve been thrilled to lend our support to it, and I expect very very important things would come out of it in the future.
-----------------

※ 上述の文章はCGA公式発表のものではなく、ムービー画像をもとに著者が自主的に文字化したものです。スピーチをそのまま文字にしたので、文章として表記すると不自然な表現も含まれていますし、筆者の聞き間違いなどが含まれている可能性もあります。



≪写真 2008年9月までのハーバードCGA。写真・上の建物の3階で、定量社会科学研究所(the Institute for Quantitative Social Science)の一角を“間借り”している感じであった。≫


↓ハーバード大GIS研究の歴史がまとめられています。

2008年10月2日木曜日

CGA その2: David Maguireによるセミナー

 ESRI社のDirector & Chief Scientist であるDr. David J. Maguireによるセミナーが9月26日にハーバード大学にて開催された。

 Maguireは、『GIS原典―地理情報システムの原理と応用』(古今書院、1998)から、↓に示した『Geographical Information Systems And Science 』(2005)など、世界中のGISのバイブル的な書籍を多数出版しており、近年のGISの発展に最も貢献した一人ともいえる。

 まずはじめに、SEAS(工学・応用科学科)にて、"Current and Future Trends in Modeling Geographic Systems"と題したセミナーを、その後、CGA(地理情報解析センター)にて、"Current and Future Trends in GIS"と題したセミナーを行った(各90分、合計3時間)。両会場には、GISを専門に扱うスタッフやGISに関心のある研究者、学生などが大勢集まった。

 2つのセミナーを通して、「GISは、科学研究(含む、自然科学、社会科学)を行うための重要なツールであり、今後の科学の発展のためにより欠かせない存在となっていくであろう」ということを再確認できた。

 1960年代から開発が始まったGIS(GI systems)は、今の時代、DesktopGIS, WebGIS, Open source GIS, Spatial data infrastructures, location-based services, dynamic modeling, server GIS, handheld GISなど包含する世界は広大だ。Google MapやGoogle Earth, Microsoft Virtual EarthもGISといえば、GISだ。

 それぞれの技術には開発のトレンドがあり、時代とともに移り変わる。各技術に関して、「開発・普及のピークへ向かって成長し、期待の頂点に達した後、期待感の失望とともに開発・普及のペースが下落する。その後、時間の経過とともに、再浮上して、安定的再生産期に入る」というサイクルを、Gartner Hype Cycleを使って説明していたのが、印象的であった。昨今のGIS関連技術のトレンドがよく分かった。

 学部時代に生物学と地理学を専攻(ちなみにPh.D.は地理学)していた彼の興味対象は幅広く、Webから、ソフトウェア開発、GISに関するマーケット、Google earth /mapとでは使っているデータムが違う?といったプロジェクションについての技術的な詳細まで熟知している。

 さすが、ESRIのDirector & Chief Scientist(かなり偉い!) として長年君臨(?)しているDavid Maguireだけあって、GISに関する最新の技術動向を短時間で包括的に説明してくれた。

 今回は、大学でのセミナーということで、学生や研究者から「研究でGISがどう使えるのか?」という質問が多かった。その中で、「多くのサイエンスは、GISなしでもできるのではないか?」といった質問が出た。
 それに対して、Maguireは、「多くの研究者がやっている様な、詳細なサイエンスの分析に対して、現時点のGISでできることは限定的である。しかし、(汎用の)ソフトウェアとして、どこまで、何が出来るのかを挑戦し続けている。その例として、Geostatistics AnalystAgent Analystなどのエクステンションの開発が挙げられる。
 また、巨大なデータベースを構築する際にGISは有用であるし、空間的関係を考慮した拡散モデルなどを構築することにGISは優れている。さらに、SQL Server, Postgres, Oracle, SAP, SPSS, Rなどアカデミックやビジネス分野で汎用的に使われている外部システム(ソフトウェア)をArcGIS環境に統合できるという点で、科学研究の推進に貢献している」と返答していた。


 彼みたいに、GISの理論・技術の詳細に熟知しており、実務・研究の両方での経験も豊かで、かつGISを使った分野横断型の研究に強い関心のあるお方には、ハーバードCGAのようなGISによる学際研究の推進を目指しているアカデミックの場でも活躍して頂きたい。


↓ Maguireの書籍の一部。
特に、『Geographical Information Systems And Science 』は、最新の技術動向・分析手法を、沢山の写真と図で総合的かつ分かりやすく説明しており、ハーバードのGISの講義でも参考図書として使われています。







2008年8月6日水曜日

ESRI UC その4 その他雑感など

 マップ・ギャラリー・セッションの会場。ここでは、環境保全や気候変動、防災、インフラ管理、交通・ロジスティックスなど、世界中の様々な分野でのGISの活用が紹介されており、きれいにカッコ良くデザインされた個性的なポスターがたくさん並べられている。壮観である。日本からも沢山のポスターが出展されたいた。その中でも、京都大学・新潟大学チームの震災復興GISのポスターは特に迫力があったなぁ。



GIS関連の求人・求職コーナー。

皆さん、真剣にメモ取っています……。


だって、、、
 自治体のGIS Supervisorで給料70k-90k (70,000-90,000USD)というビラもあったり、米国でのGIS Professionalの地位はやはり高そうだ。
 以前このコーナーで、マクドナルドやカルバン・クラインのGISアナリスト募集のビラを見た。今年に入って別の場所で、マッキンゼー・アンド・カンパニーがGISアナリストを募集していた。
どこか、純日本人をVISAサポート付きで雇ってくれないだろうか?





今年も、懲りずに口頭発表。
 10年前、初めてこのカンファレンスで発表して以来、すでに8回目。10年前と比べて、研究内容はそれなりに進化したと思うが(さすがにねぇ。。)、英語に関しては疑問が残る。そろそろこの状態を脱却せねば、と肝に銘じる。


 ところで、今年は日本人によるポスター発表は沢山あったが、口頭発表はとても少なかったみたいだ。
 自分が思うに、「他の国内外の学会・研究会議などに比べて、ESRI UCでの口頭発表は、かなり(良い意味で)敷居が低い」。具体的には、ほとんどの聴衆は、研究者というよりはGISの実務者であり、広い範囲でのGISの活用に関心を持っている人が多く、建設的で前向きな意見やアドバイスが圧倒的に多い。また、時間なども厳密でなく、柔軟性が高い(笑)。

 個人的に、GISユーザーはフレンドリーで、忍耐強い人が多いので(じゃなきゃGISなんてやってられない!?)、下手なカタカナ英語もじっと耐えて、にこやかに聞いてくれる人が多い気がする。
 来年以降、ESRI UCへ出席される方は、口頭発表も検討してみては如何でしょうか?

<写真・中 ホテルで発表前のコソ練に勤しむ(O氏撮影)>
<写真・下 夏の南カリフォルニアということで、ネクタイを付けている人はほとんどない。しかし、発表の際は“気合”を入れるため、敢えて愛用ネクタイを装着。まずは、カタチから。。。>




 最終日の夜は、カンファレンス会場すぐ近くの海上(?)公園にて、屋外パーティ。
 世界中のGISエクスパート、マニア、一般ユーザ、そしてその家族が、ビールとワインを片手に、GIS談義に花を咲かせる(?)。〆は、毎年恒例のESRI花火が、サンディゴ・ハーバーを彩る。

 今年も、大勢の方々に大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。




↓残念ながら、米国へは配送してくれないみたいだ。

2008年8月5日火曜日

ESRI UC その3 一般セッション

今年は、気候変動に関する特別セッション(Climate Change GIS Special Program)が多数用意されていた(約10セッション)。

自分は、その中の6セッションに参加してきたが、どこも大盛況であった。
 やはり世間で「気候変動・温暖化」と騒がれる中、「自分の街はどうなの!」と考えるのが普通である。しかし、IPCCの将来予測の空間精度は、基本的に大陸単位なので、地域単位のことはよく分からないのが現状。 そこで現在、多くの研究機関などが、地域単位での解析を始めているところであり、それに関する事例発表が沢山あった。アメリカは、「京都議定書を批准しない、環境に無頓着なけしからん国!」というイメージだが(実際、けしからんのだが…)、TVや大学の授業を受けた時、そして、このカンファレンスでの印象としては、CO2の排出削減や気候変動への対応策の策定など、積極的・先進的な対策を既に始めている米国の州政府や自治体もそれなりに多い気がする(代表:カリフォルニア州、テキサス州)。

 やはり、「自分の街の気候が変化するのか?」、「どこの建物にソーラー・パネルを設置すると、費用対効果が高いのか?」といった疑問へ答えるためには、GISは必要不可欠である。実際に、Web GISを使って、ユーザが自分の周りの状況を簡単に検索できるようなサービスを開始している自治体もあるようだ(例:Solar Boston application)。また、学校教育用に、自分の地域のこれまで、そして、これからの気候変動を子供たちが容易に分析できるようなツールも発表されていた。
 これらの発表の多くが、オレゴン州立大学のPRISM(Parameter-elevation Regressions on Independent Slopes Model) Groupの気候データを使っているようであった。このグループは、IPCCの報告書で使用されている大循環モデルの出力結果なども地域レベルにダウンスケーリングして、GIS上で利用できるようにしている(米国のみ)。
The Nature Conservancyも、ArcGIS Serverを使った気候変動解析ツール(米国のみ)を近日中に公開予定であり、当該分野のツールやアプリケーションの開発は、今後も一層進んで行きそうな予感である。


 その他、個人的に、「Water Resources User Group Meeting」、「Atmospheric User Group Meeting」、「Carbon Management and Climate Change GIS User Group」などに参加した。“分野別ユーザ・グループ・ミーティング”と聞くと、何だか入りずらそうな感じがするが、「みんなでコミュニティを作って、メーリングリストなどで情報交換しましょう!」的な雰囲気なので、同じ分野で近いことをやっている仲間を見つけるにはもってこいの場である。



↓ 「デジタルアース」を提唱したのもゴア氏。彼が大統領だったら、米国の環境対策およびGIS分野の発展は、今と大きく違っていたかもしれない。

ESRI UC その2 技術編

引き続き、カンファレンス初日のJack Dangermond社長の基調講演より、自分が気になったところをメモ的に記す。その1は、これからのGISに関する概念的な面に焦点を当てたが、その2では技術的な項目についてその詳細は触れずに、発表の全体像を記述することを目指す。


■■■ 今が、GIS on the Webの始まりの時である ■■■
 (これまでもESRI社は、Web GISの開発にかなりの力を注いできたが)今がまさに、WebとGISの能力の融合の時であり、これまでWebで主流であった単なる地図化と視覚化のはるか彼方へ、すなわち本来のGIS活用の本質である″解析能力”をWeb上でも発揮できる時がきた。

≪≪ ArcGISは、(特に政府や自治体などの組織において)共通のオペレーションを行うための、中央融合センター[Fusion center]となりつつある。
 ⇒ 緊急危機管理、住民の生活を守ること、国家安全保障、インフラ管理、軍事活動における情報の統合環境を提供する

≪≪ ArcGIS Serverも、様々な形式のマッシュアップ(複数の異なるWebサービスを統合する能力)をサポートすることで、新しい情報の共有や統合、コラボレーションを生み出していく。
(大学で出席した様々なGIS関連の会議でも、「MashUp!」はもはや合言葉(!?)。実際、こちらでも他分野における具体的な取り組み事例を見せてもらったが、これから本当に面白いことができそうな予感)

≪≪ Web GISは次の時代に突入している。
 マッシュアップの技術とArcGIS Serverの飛躍的な進展により、誰もが簡単に(知らぬ間に)Web上でGISのデータや解析に触れることができるような、オープンで、よりアクティブで高度な地理空間サービス(Geo-services)の提供が可能になりつつある。
 実際、Web上では高精度なベースマップや各種統計データ、画像データ、地質や水などの主題データが世界中のさまざなところで利用可能になってきている。これによって、GISエキスパートは、短時間でとても生産性の高い仕事をすることができる環境が整いつつある。


■■■ ArcGISバージョン 9.2⇒9.3 マイナー・アップグレード ■■■
 2年前のカンファレンスでは、ArcGIS9.2のリリースに合わせて、「netCDFなどを含んだ、時空間データ全般に対する解析機能・視覚化が拡充されました!」「カートグラフィ機能が進化しました!」「Google Earthとの連携が可能になりました!」「ArcGIS Serverでの編集・解析機能が追加されました」など、ドーン、ドーン、ドドーーンと結構派手に(?)、ArcGIS DesktopおよびServer系製品の新機能を紹介することが、初日のESRI基調講演の中心であった気がする。
 しかし今回のカンファレンスでは、そのような新しい機能や製品の紹介は少なく、その1や上に記述したように「GISのこれから」についての概念的ビジョンが中心で、技術的な項目に関しては、(バージョン9.3では)とにかくソフトウェアの使い勝手、安定性、信頼性の向上に努めたということを強調していた感がある。

■■■ ESRI社のテクニカル・サポートの大幅強化 ■■■
 前述のソフトウェアの安定性・信頼性向上とも関係があるのだろうが、ESRI社全体として、(ソフトウェア?テクニカル・サポート?)の質が38%向上したと強調していた(ただし何に対してかは、聞き逃した)。今年の2月から5月までの間に、テクニカル・サポートの対応時間が90%削減されたとも言っていた。それを表すプレゼンのグラフはやや恣意的な気もしたし、詳細は良く分からなかったが、とにかくサポートに力を入れていることを強調していた。


以下、全体的な感想

 技術的な面については、その1に書いた内容や上述の社会インフラとしてのArcGIS、Web GISをより一層確立するために、ソフトウェアの使いやすさ、安定性、信頼性の向上に、会社全体としてこれまで以上に力を入れていくことを強く表明しているような印象を持った。現場の一ユーザとしては、何よりもそれがアリガタイことである!
 (例年の初日のように)ArcGISの新機能や製品についての技術的な面を強調するよりは、今回のように、今後のGISについて、Jack社長およびESRI社のビジョンをJack社長の自ら、自分の言葉でプレゼンテーションしてもらうのが一番だと思う。技術面への関心が高い人には少し物足りなかったかもしれないが、やはりこのカンファレンスの参加者(Jack曰く、GIS Professiionals)は、GISを使って、何か楽しいこと・新しいことをやってみたい、世界を良くすることに貢献したい、という人が多いのだろうから、その人たちに長中期的なビジョンを明確に示すことはその意義が大きいと思う。


以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。

2008年8月4日月曜日

ESRI UC その1 これからのGISの役割

ESRI国際ユーザ・カンファレンス(ESRI UC)が、4日~8日の5日間にわたって開催された。

今年は、世界121カ国から14,000人以上のGISスペシャリスト、およびGISに関心を持つ人々が、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に集結した。参加者は、各国の政府・自治体、研究・教育機関、ビジネス・セクター、NGO/NPO、国際機関(国連等)など非常に多岐にわたる。

会場は、毎年おなじみのサンディエゴ国際会議場。サンディゴ・バーバーに沿って、縦長に伸びる巨大な国際展示会場である(約600m×200m弱。Google Mapでの概算)。


初日は、8:30~15:30まで、全参加者(恐らく一万人以上)が一つの会場に集結し、同一の講演を聞く。今年も、世界中の多様な分野でのGISの活用を集約したカッコいいオープニング・ムービーのあと、ESRI・Jack Dangermond社長の基調講演でカンファレンスの幕が開く。

今年は、(昨年は参加していないので分からないが)例年に比べて、Jack社長によるプレゼンテーションの時間が長かったと思われる。さらに、ArcGIS製品の技術的な進展よりも、「GISのこれからの役割」といった概念的なことに多くの時間を割いていたのではないか?

以下、Jack社長が基調講演の中で語った、「これからのGISの役割」について自分が気になったところをメモ的に記す。

■■■ GISは、世界中の様々なところに浸透しつつあり、特に以下の項目におけるGISの関わりは一層大きくなっている■■■

≪ 我々の世界の(概念的・理論的な)表現の仕方
 データ、モデル、データモデル, ワークフロー, 地図とグローブ, メタデータ

≪ (現象のメカニズム解明を含んだ)我々の世界の説明方法
 特徴、過程、明示的・暗示的関係性
 ⇒ 空間的・統合的思考(Spatially integrated thinking)

≪ 人々のコミュニケートと、人と繋がり方
 協働、学際的統合チーム、「場所」をキーとしたアプローチ
 ⇒ 地理空間情報の共有化

≪ 我々の仕事の在り方
 計測→管理→分析→視覚化→デザイン・計画→意思決定→アクションなどの一連の流れのすべての過程において、系統的・総合的・分析的・定量的・そして視覚的な“科学的”アプローチがGISによって可能になりつつある。

■■■ これからGISは、今まで以上に多分野の先進的技術へ組み込まれていくことにより、人間活動を行う上での重要な基盤ツールとしてより、より深いところまで、広く行き渡っていく ■■■
 ⇒ コンピュータ機器の処理スピードの高速化(100倍)、高度な視覚化、周波数帯域幅[訳自信なし]の開発(1,000倍)、大容量記憶装置、Web、携帯電話、GISソフトウェアの進化、そして、さらなるGISプロフェッショナルの出現と活躍

■■■ GISはこれからの社会/世界にとって必要不可欠な基盤(インフラ)となりつつある。地球環境問題を含めた世界中のあらゆる問題に対して、今こそ、GISそしてGISプロフェッショナルがアクションを起こす時である ■■■
  ⇒ 何千ものアプリケーション、何十万ものシステム、何百万のユーザなと、分野や組織を越えた強靱な礎が、世界中に作られている。


以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
Jack社長・基調講演の技術的な面に関しては、その2にて。


≪写真・上≫ 低層で、ハーバー沿いに縦長に伸びるサンディエゴ国際会議場
≪写真・中≫ Jack Dangermond社長
≪写真・下≫ 会場からのサンディエゴ・ダウンタウンの眺め

  
↓ これからのGISの役割を考える上で、必読の一冊だと思います。

2008年8月3日日曜日

プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その2

午後は、Maidment教授による「CUAHSI-HIS」の紹介が中心であった。

HIS(Hydrologic Information System)とは、全米のさまざまな機関の水文観測情報、およびこれまでの研究成果を分散型ネットワークで共有するとともに、流域内の水の挙動をほぼリアルタイムで観測して、共有することができる「バーチャル集水域」の実現を目指す、という壮大な構想を持った巨大研究プロジェクトである。

米国では,研究開発支援基盤の形成として,サイバーインフラストラクチャ構想*1を推進しており,2006 年度はNSF-Wide Investments(米国科学財団・優先投資分野)5 部門の1 つとして選定されている.これは幅広い領域の科学研究をインフラ面(計算機やネットワークなど)から支援するだけではなく,その研究成果を共有し,研究者間の協働を促進することを目的としている.

その一環として,全米の100 以上の大学が参画する全米高度水文科学大学連合(CUAHSI: The Consortium of Universities for the Advancement of Hydrologic Science, Inc.) は,2004年よりHISプロジェクトを開始した。テキサス大学Maidment 教授をリーダーとしたこのプロジェクトは,これまでの水資源GIS の研究開発やそこから生まれたArc Hydroの概念や技術を基盤として,水文データの蓄積や利用に関する手法やデータの標準化などを進めている。この構想を実現すべく、サンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)や全米各地の大学と連携した研究開発体制を構築していることは特筆すべき点である。

2006年5月、テキサス州ヒューストンで開催された、2006 AWRA Spring Specialty ConferenceにてHISプロジェクトの進捗状況を見る機会があった。その時点ではインフラの基礎技術の検討やプロトタイプの開発がメインといった感じで、構想の実現はだいぶ先のことのように思われた。

今回の発表では、昨月にリリースされたCUAHSI HYDROLOGIC INFORMATION SYSTEM Version 1.1が紹介された。具体的な中身は、百聞は一見にしかずなので、直接下のリンクから成果物を見ていただきたい(全ての成果がWeb上で公開)。現時点では、全米50の観測ネットワークの175万地点、838万レコードの時系列データ、3億4千万のデータ値(data values)が利用可能だという。
≪≪ CUAHSI-HISトップページ リンク

Webサービス、ツール、ルール作りなど、完成度の高い多くの研究成果が公開されているが、その中で特に興味深いと感じたことを以下に列挙した。

Observation Data Model(ODM) … 各種の水文観測データをリレーショナルデータベースに格納し、検索するためのデータベース・スキーマ。

WaterML (WaterOneFlow) Web Services … WaterMLというXML形式の交換データ・フォーマットに基づく、水文データ・サーバ(データベース)とユーザの間の水文データを転送するための標準化システムWaterOneFlowというWeb serviceを開始。

HydroExcel … Excelのスプレッドシートから、上述のWaterOneFlowへ直接アクセスが可能。Excel上で、全米の水文観測データのクエリーを行い、必要なデータをスプレッドシート上で簡単に読み組むことができる。シンプルな作りである(と思われる)が、これが一番実用的で、米国中の水資源管理者/研究者に最も喜ばれるのでは?

HydroTagger … 水文情報の階層構造化(オントロジー)。

・HydroViewer version 0.5(近日中に公開予定)
水文情報の統合化を目指した、ArcGIS Serverを基盤としたWebサービス。たとえば、洪水に関するすべての記録(浸水区域ポリゴン、降水量・河川水量などの時系列データ)が全てリレーショナル・データベース上で紐付けされているので、ある水文観測地点でのハイドログラフやチャート、マップなどを、時間と空間の精度(データ解像度)を自在に変えながら、多角的にデータを分析することができる。また、各種の集計や解析の機能も付随されている。

 上述のシステムは、すべて米国内を対象としたものであるが、CUAHSIの技術を使った同様のシステムがオーストラリアの一部の地域でも進められており、今後の更なる発展が見込まれる。


 実際のところ、「バーチャル集水域」の構築とは、今の時代、誰もが考えられるアイデアかもしれない。しかし、全米の大学と強力な連携体制を作り、研究開発資金を獲得し、開発チームを組織して、実際の技術開発と運用の仕組み作りを"実現"しているところが、何よりもすごい。まさに、言うは易し、行うは難しの世界であろう。

 HISの基盤となったArc Hydroの開発は、Maidment教授の強力なリーダーシップなしには到底実現できなかったと言われている(『Arc Hydro: GIS for Water Resources』(ESRI, 2002)の冒頭より)。Maidment教授の、WebやGIS, 水文科学に関する最先端の知識や技術力に加えて、その実現に必要なチームを組織し資金を集める政治力、プロジェクトを魅力的なものにするための創造力、そして、メンバーを率先していくための情熱と強力なリーダーシップが、このHISプロジェクトも成功へ導いているのだろう。まさに、Hydro GISのカリスマである。


 実は2006年の春、Arc Hydroの応用的利用に興味があった自分は、テキサス大学オースチン校のMaidment研究室の門を叩いた。しかし、「(君が研究する)部屋が空いていない」というあまり府に落ちない理由で受け入れを断られたことがある(実際は、自分の研究テーマが彼の趣向に合わなかったことが原因だと思うが)。
 もし、あの時受け入れられていたら、今頃はテキサスのど真ん中で、カウボーイハットをかぶって馬にまたがり、このHISプロジェクトに関わっていたかもしれないと考えると、妙に感慨深かい(スミマセン、本当はオースチン校のまわりは都会です)。


≪写真・上 カンファレンスの会場周辺(陸側)≫
≪写真・下 Maidment教授の行くところ、常に人だかり(後日、UCの展示場にて)≫


*1 米国科学財団(NSF) サイバーインフラストラクチャ計画
 サイバーインフラ構築の目的は、これまでに扱えなかった大量のデータ蓄積や計算、データ流通を可能にして、人やデータ、情報、ツール、機器といった研究コミュニティにおける情報共有とそれを使いこなせる、 よりユビキタスで、網羅的なデジタル環境の実現にある。
NSF Cyberinfrastracture


↓ 米国の大学や企業に履歴書を送る人は、必見です!(5つ星)
テキサス大に履歴書を送ったときは、顔写真を入れ、年齢・性別を記入するという、日本では当たり前だけど、米国ではやっていはいけない“タブー”を犯していたことが、受け入れを認められなかった原因かもしれない(いや、それ以前に研究内容か…)。

プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その1

本番のESRI国際ユーザー・カンファレンスは、月曜日から本格的に開始されるが、その前の週末には、特定の産業や分野におけるGISの活用やその技術開発に焦点を絞ったプレ・カンファレンス・セミナーが開催される*1。そのほとんどが、8:30 a.m.–5:00 p.m.の間、一つのテーマについて集中的にセミナーを行うため、特定分野におけるGISの最先端情報を入手するには最も効率が良い。

最近は、"水"GISに関わっているので、この分野の最先端を突き詰めるべく、「GIS Hydro 2008—Modeling and Managing Water Resources」に参加*2

これは、ESRIのWater resouceチームのリーダーであるDr. Dean "Water boy" Djokicやテキサス大学オースチン校のDavid Maidment教授など、Arc Hydroの開発に携わるキー・パーソンのプレゼンテーションと質疑応答により構成されるワークショップ形式の有料セミナーである。このセミナーへの参加は、2006年に続いて2回目。参加者約40人の多くは米国内の大学や政府・自治体関係者。2006年、日本からは国立環境研究所の方も参加されていたが、今回は自分一人とやや寂し。

参加者は、"水問題を扱うGISエキスパート"というよりも、"GISをツールとして利用する水資源管理者/水文学者"(Non GIS expert)の方が多いこともあり、午前は「水文学のためのGISデータとツール」や「Arc Hydroデータモデルとツールの紹介」などArc Hydroの基本事項の紹介。『Arc hydro -GIS for water resources(現在、日本語版出版準備中)の復習といったところ。
その後、水文シミュレーション・プログラム「HEC-HMS」*3や水理シミュレーション・プログラム「HEC-RAS」*4とArc Hydroの連携についての紹介があった。

と、午前中はArc Hydro関連ツールに関する説明が中心だったので、自分にとってあまり目新しいものはなかったが、流域環境や水問題に携わっていてGISに興味がある人や、Arc Hydroを使い始めたばかりのユーザにとっては、数時間でその全体像を掴むことができるので、お勧めのコースと言えよう。
午後は、その2へ続く。

≪写真・上 会場はサンディエゴ・ハーバーのすぐ傍≫
≪写真・下 Maidment教授(左)とWater Boy・Dean(右)≫



*1 プレカンファレンス・セミナー全般に関する日本語資料 リンク

*2 98年から始まったGIS Hydroセミナーの全資料がダウンロード可能 リンク

*3 HEC-HMS(Hydrologic Modeling System)とは,流域を複数の集水域が集まったツリー上のシステムと捉えて,その上流から下流までの降雨-流出過程をシミュレートするためのソフトウェアである.広範囲にわたる河川流域の地形的な空間分布とともに,都市域や各集水域の土地被覆状況を考慮して流出量を算出する.

*4 HEC-RAS(River Analysis System)は,一次元の水理解析を実行するためのソフトウェアである.定常流水面形状ならびに非定常流解析のコンポーネントが用意されており,河川の形状と流入量から水面形状の変動を計算する.


↓ 写真のお二方の著書

2008年5月30日金曜日

KSGエグゼクティブ・セミナー

20~21日の2日間、行政大学院(KSG: John F Kennedy Schoo of Government)が開催するエグゼクティブ・セミナー、「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加した(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)。

参加者は全部で50人程度。主催者であるKSGの教授陣をはじめとして、ハーバード地理解析センター(CGA)のセンター長、地理空間情報の共有に関わりの深い以下の組織の代表が集められた。
- 国防総省(DOD), 国土安全保障省(DHS), 環境保護庁(EPA), 陸軍(ARMY)
- 地質調査所(USGS), 海洋大気庁(NOAA), 国家地球空間情報局(NGA), 連邦航空局(FAA), 連邦食品医薬品局(FDA),職業安全健康研究所, 陸軍技術工兵隊
- カリフォルニア州環境保護局・公衆衛生局, アリゾナ州環境保護局, マサチューセッツ州公衆衛生局, ユタ州, ニュージャージー州警察,
- ニューヨーク市, フィラデルフィア市
- Google社、Microsoft高等技術研究所、インターグラフ社、Leica社、その他、ネットワーク・インターネット系企業
- Open Geospatial Consortium (OGC: 地理空間データの世界標準・相互運用を目指した非営利団体)

参加機関リストを見て分かるように、このセミナーは米国の中央省庁・州政府の高官を対象に開催しているものである。主催はKSG。CGAとOGCが共催。Microsoft, Google, ERDAS, Intergraphなどの空間情報技術関連企業がスポンサーという構成である。
大学が中心となって、企業を含めた、これだけの関連機関を一堂に会したワークショップを実現することによって、テーマとしては新しいものではないが、非常に複雑で難しい重要問題に対して、実践的に挑もうとするところが凄い。

かくいう自分も、博士論文では、「地理情報データベースによる都市防災情報システムの構築に関する研究」という、災害の事前対策や直後の緊急対応活動などの意思決定過程において、GISのデータをどう活用するのか?を研究していたので、今回のテーマは見逃せない。また、現在所属している目黒研究室でも、災害対応業務における情報処理フローの分析手法の研究などを行っているので、「これは出るしかない!」と考え、共催のCGAのメンバーとして、かなりの意気込みで(!?)参加させてもらった。

進め方としては、KSGの教授が主導のもと、
・米国での、これまでの省庁や州政府間の枠を越えた、画期的な情報共有の事例(例えば、海軍と海兵隊、連邦運輸省(USDOT)による海事情報の共有)を取りあげ、その(招待された)関係者たちに、その時の状況を話してもらうことで、ケーススタディを掘り下げる。
・それにより、問題の所在を明確化するとともに、問題解決の教訓を共有する。また今後、他のケースに応用する場合は新たな問題が生じるのか、そして、その解決法は?さらに、それを実現した場合のメリットは何か?、といったことを(あらかじめ割り振られた)キー・メンバーを中心に議論を展開し、随時、他の参加者も意見を述べたり、解決策などを提案していくという、ひたすら議論中心の進め方であった(~という手法らしい)。

参加メンバーには、ケーススタディー資料が事前に配布されており、参加者はその内容を熟知していることを前提に、セミナーは進められていく。すなわち、セミナーの開始時に、ケーススタディーの概要紹介や補足説明、プレゼンテーションなどは全くなしに、いきなり、「あの時、△△を判断したのは、〇〇省■■局から、◇◇の申し出があって、、」とケーススタディーの核心部分の掘り下げが始まる。ドライな雰囲気の(?)この会合では、冒頭での参加メンバーの自己紹介といった儀式もなく、いきなりフルスピードで走り始めるといった感じで、開始直後すぐに深い議論に突入する。そしてそれが、丸一日半続く。

当初は、やる気満々で参加したものの、ほとんどの議論に着いて行けいないというのが現実であった。。。(泣)
やはり、その事例を理解していることが前提であるが、そのためには米国の中央省庁および州政府の仕組みを熟知していることが大前提である。省庁程度なら大体分かっていたが、その下の部局(?)やその役割は全くと言っていいほど分からない(例:DHSのU.S. Secret Serviceって何?)。特に今回は、軍や防衛機関という、自分(日本人!?)にはあまり馴染みがない組織のケーススタディが多くあったため、日本の状況に置き換えて考えることも難しく、その具体的なイメージを掴むことは難しかった。
それより何より、パワーポイントなどの視覚的資料なしに(ほんの一部だけあったけど)、英語での深い議論を理解することは困難極まりなかった。残念ながら今回は、議論の上澄み的な部分だけの理解にとどまり、議論の核心部分は察することすらできなかった。なので、今回のブログでも具体的なことは書けないし、目黒研にお土産を送ることもできなかった。。。残念!

ただ、言い訳(?)として、「地理空間情報の共有のあり方」とタイトルに銘打っていた割には、一般的な情報共有の在り方に関する議論に多くの時間が割かれていた(=自分のストライク・ゾーン外)。この点は主催者および参加者側も認識しており、「今回の議論の成果をもとに、次回は地理空間情報の共有についてもっと踏み込んだ議論をしよう」という約束をして、今回のセミナーを閉幕した。まあ、何事も一度目の会合から核心に踏み込んだ議論をすることは難しく、同じメンバーでの会合を数回重ねていくことになるのだろう。


その他、個人的な感想として、
・参加者は、いずれも中央省庁・州政府の高官であり、年齢層もかなり高く、50代、60代がほとんどであった。しかし多くの方は、ICT技術全般(特に、地理空間情報)に関する広範な知識を持っており、その具体的な技術および関連問題・動向の深いところまで熟知していることには驚いた(GXML,マッシュアップ, TCP/IP, Metadata, etc.)。このような高官の方々が、地理空間情報共有の重要性について熱く語っている姿を見て、改めてこの分野での米国の“層の厚さ”を思い知らされた。自分の経験として、日本の政府・自治体の50代、60代の方で、これら技術の詳細まで理解している(=ものすごい関心を持っている)方にお会いしたことはない(もちろん、若い方は別ですよ)。


以下、メモ的に議論の項目をリスト化。本当はもっと踏み込んだことを書きたかったが、自分の憶測がかなり含まれていそうなので、やめておきます。
・データ共有の真の価値は?
・その懸念は何か?やはり軍関係機関は、機密データがたくさん。。
・今後いっそう発展していくICT時代において、中央省庁・州政府はどう対応していくか?
そのためには、若者にどのような役割を期待し、どのような環境を用意するべきか?
・これまでの地理空間情報として、莫大なストック(財産)があるが、
それを実践的な問題解決に対して、どう役立てるのか。
・バーチャル上でネットワーク化された情報と、実際の組織の違い(活動範囲、権限の違い)をどう結び付けるか。


≪写真・上≫ John F Kennedy St. この道路の右手が行政大学院(KSG)。ちなみに、左手の建物は学部生の寮。一度中に入ってみたい。
≪写真・中≫ 会場となったKSG Taubman Center
≪写真・下≫ Taubman Centerのらせん階段

2008年4月15日火曜日

4月の「趣味:GIS」

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2008年3月30日日曜日

CGA その1

現在、ハーバード大学地理情報解析センター(以下、CGA)に、Research Affiliatesとして参画している。これから数回にわたって、CGAの実態を紹介をしたい。

設立の背景
 2005年春、プロボスト(学長を補佐する教務局長)と教養学部(Faculty of Arts)、建築大学院(Graduate School of Design)の各学部長のサポートによって、CGAは設立された。CGAは、 ハーバード大・定量社会科学研究所(the Institute for Quantitative Social Science)の技術基盤センターの一つとして位置づけられる。
 CGAの使命は、同大のGeospatial LibraryやMap Libraryなどのこれまでの基盤をもとに、ハーバード内外の空間情報科学の発展に寄与することである。
(ハーバードがCGAを設立した経緯の詳細については、後日改めて記載する)

 センターには、専門スタッフが常備し、研究や教育における空間解析やプロジェクトの推進、最先端空間情報技術の開発に携わる。GISのみならず、リモートセンシングやGoogle Earthなどを含んだ空間情報技術の全般を対象とする。

体制
 ⇒拡大中(1年前と比べてメンバーの大幅な増強)
・ 非常に広範な研究分野からの学際的メンバーが参画
・ ベテラン教授陣による運営委員会と若手実務者による技術アドバイス委員会との2段構成


CGA専属スタッフ
 ⇒これまでに企業や自治体などでGISの実務に関わっていたGISプロフェッショナルであり、大学内のGISサポートをメイン業務とする。いわゆる「研究者」ではない(除く、センター長)。

・ センター長 Director  1名(Faculty)
・ オペレーション・ディレクター Director of GIS Research Services 1名
・ 上級GIS専門職 Senior GIS Specialist 2名
・ GIS専門職 GIS Specialist 3名
・ ソフトウェア開発技師 Geospatial Data and Information Software Engineer 1名(図書館と兼任)


CGA 連携活動メンバー(Research Affiliates)
 ⇒CGAと実質的な連携活動を行う学内研究者

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 1名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Science 1名(川崎)
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ オラクル社 1名


ベテラン教授陣よる運営員会 計18名(Faculty Steering Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 11名
・ 工学・応用科学科 School of Engineering and Applied Sciences 2名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 1名


若手による技術アドバイス委員会 計11名(Technical Advisory Committee)

・ 教養学部 Faculty of Arts and Sceinces 2名
・ 医学大学院 Medical School 1名
・ 建築大学院 Graduate School of Design 2名
・ 行政大学院 J.F.K. School of Government 1名
・ 公衆衛生大学院 School of Public Health 1名
・ Harvard-MIT Data Center, IQSS 1名
・ Harvard Planning & Allston Initiative 1名
・ 図書館 Library 2名


* 上の日本語訳と補足説明は、筆者の独自解釈に基づく

2008年3月21日金曜日

ジオリファレンス・ワークショップ

Center for Geographic Analysis (CGA; 地理解析センター)が開催する「ジオリファレンス・ワークショップ」に参加した。ESRIユーザである自分は、ジオレファレンスと言葉から、「ジオリファレンス ツールによりArcMap上でコントロールポイントを入力することで、ラスタファイルの幾何補正を行う」ことを連想した。また、「ジオコーディング」などの住所情報の位置参照を連想する。何れにせよ個人的に重要だとは認識しているが、それほど関心が強い話題ではなかったため、あまり期待をせずに参加した。

ところが、実際はとても興味深い内容の、熱い(!?)ワークショップだった(パンフレット)。
特に午前中のChallenges and Potentials of Georeferencingと題したセッションでは、主にハーバード大学の教養学部社会学系、公衆衛生大学院、医学部、建築大学院、ユダヤ博物館(Semitic museum)、中国歴史プロジェクト、生態系プロジェクト(カンザス大学)の研究者・教員が、それぞれの研究分野において、『GISのデータをどのように作成するか?』について発表した。自分が認識していた上述のような狭義の“ジオリファレンス”についてではなく、むしろ各分野における〝時空間データの作成“に関する包括的な内容であった。具体的には、データの作成(ここでいうGeoreferencing)は、どの分野でも最初に直面する大きな問題であるが、どのように位置を定義するか(位置精度の問題、分類の基準)、どのようにデータ間のリレーションを構築するか? 位置名称をどう扱うか?など、異なる分野の専門家が一堂に会して、「時空間」の捉え方について合同で話し合う場であったと言える。

今まで自分も沢山のGISデータを作成してきた経験があるが、研究の分野や目的によって、「時空間」の捉え方が大きく異なり、データ作成にあたっては非常に多様な視点があることを再認識した。

やはり分野によって、物理的・社会的なバウンダリー(境界線)の捉え方は大きく異なる。当然であるが、公衆衛生の立場では、詳細なコミュニティレベルでのデータが必要であり、米国で流通しているZipcode(郵便番号)ごとに集計された社会統計データはあまり意味を持たない。むしろこのようなデータを使って解析することは問題があるという(参考文献、後日確認の上、更新)。分野・目的による時空間の解像度レベル、位置の捉え方、バウンダリーの意味・捉え方は大きく異なり、それに従いデータベース・スキーマも変わる。

同じような現象を見ているのに、分野によって、時間と空間の捉え方が大きく異なるというのは興味深い。ハーバードでのGISを使った研究は、「世界全域」や「古代から現代まで」といった時間・空間的な幅が広いものが多い。そのため、世界中からデータを収集する際、複数の言語をどう対処するか?言語によって、対象の扱い方、分類の仕方、表現の仕方が変わるという問題にどう対処するのか?複数言語に対応するデータベースはどう設計されるべきか、などなど。
また、歴史をさかのぼると、同じ地名が、異なる時代に存在することがある(St. Petersburg, Russia 1703 - 1913, 1991- vs. St. Petersburg, Florida, USA 1892- )。また、同じ場所が、時代によって名称が異なることもある(日本の市町村合併など)。歴史データを扱う際、一般的な名称による記述が多い(江戸、日向)。これらのデータを扱う際、GISユーザはどのように対処すればよいのだろうか?


各分野の発表やその後のディスカッションを聞いていて感じたのは、『このワークショップで対象としている「ジオリファレンス」とは、空間情報を軸とした、知識の構造化への挑戦である』
ということ。分野ごとの時空間の認識に基づいて、それぞれの領域の大量のデータをどう整理するのか、そしてそのためのデータベース・スキーマはどうあるべきかを議論していた。

やはり人は、ある問題解決のためにデータを使用する。そして、それらほとんどのデータは、時間と空間の問題を含んでいるが、その整理や処理は容易ではない。やはりユーザは、自分の目的に応じて、断片的にデータおよび事象を捉えがちである。しかし、このようなワークショップへの参加によって、他分野で開発されたツールや手法を共有するだけではなく、ジオリファレンス[所謂、時空間データベースを作成すること]を、多面的に捉えて、総合的な視点から現象(データ)を認識することに寄与したのではないか、と考えられる。各発表者は、他の発表者の発表を聞いて、新しい視座や知見を持ち帰ることができたのではないか?少なくとも自分はそうであった。同様の問題意識を持つ多分野の専門家が、共通のテーマについて一堂に会してワークショップを開催することで、参加者は新しい視座や知見を持ち帰ることができるとともに、総合的な視点から現象を見ることを獲得する。

時空間情報を扱う上で誰もが直面する問題をもとに(=“ジオレファレンス”による串刺し)、学際的なディスカッションを行うのはとても良い。
もちろん、これはハーバード大学での各分野における空間情報の活用が成熟していることが前提だと思われる。また、空間情報の活用による大学内の学際的研究の推進を目指しているCenter for Geographic Analysis (CGA; 地理解析センター)が、大学内の状況を把握した上で、適切なテーマ設定のもとワークショップを企画・運営して、学内のキー・パーソンを集めてきたから実現できたのであろう。

また、ワークショップでは、空間情報に関する以下のような興味深い議論も展開された。
・多面的で複雑な「時空間」問題に対して、正しい認識・手法のもと、立ち向かっていける人材を教育する必要性(geospatial education、spatial thinking)。
・プライバシーや秘匿性の問題(public data vs. privacy data)
・データのaccuracy vs. completeness
 (データのProbability issue – probability field, uncertaintyの問題など)


参加者の研究分野は人文系、社会科学系から自然科学系まで多様であったが、やはり同じ問題意識を持っている人たちの集まりなので、とても盛り上がったし、一聴衆であった自分もとても勉強になったし、参加していて楽しかった。

今回、自分がきちんと理解できたのはきっと半分程度だろう(根拠なし)。
残り半分を聞き逃した(理解できなかった)のは悔しいが、「あせらず、無理せず、着実に」、これから頑張りましょう!

2008年3月16日日曜日

GIS@GSD

GSDとは、Graduate School of Design(建築大学院)のことである。大学院なので、基本的に学部生はいない。

GSDでは、約600名の学生が、建築デザイン、ランドスケープデザイン、都市計画デザインの3コースに分かれて、1Fから5Fまで階段状に広がる巨大studioで設計活動に勤しむ(写真参照)。意匠設計やランドスケープ設計の学生と同じく、都市計画専攻の学生も、Studioでの設計活動をメインとすることがGSDの特徴の一つと言える。後述のPaul Cote氏によると「これは米国でも珍しい」とのこと。おそらく日本の建築学科でも、デザインをメインとした都市計画コースを用意しているところは少ないのではないか?

GIS業界では、GSDの名前を聞いたことがある人も多いと思う。
Carl Steinitz (景観プランニングGISの第一人者、立命館大GISワークショップ)
・Jack Dangermond(ESRI社長
・Mark Sorensen(GPC社代表
Ian McHarg (『Design with Nature』(1969))
Peter Rogers(Carlと『A Systems Analysis Model for Urbanization and Change: An Experiment in Interdisciplinary Education』(1970)を共著)
などGISやランドスケープ・デザインの発展に貢献した人材を多く輩出している。

最近では、GSD-GIS = Carl Steinitzのイメージだが、彼は昨年GSDをstep down(退職)して、今はロンドンで暮らしているとのこと。そこで、GSD-GISの新エース(!?)Paul Cote講師から、現在のGSDでのGISの活用に関する話を聞かせてもらった。Paulは、Carlとともに『地理情報システムによる生物多様性と景観プランニング』(1999)を執筆。CGAのTechnical Advisory Committeeも務める彼は、GSD-GISの“顔”といって過言ではない。


Paulは、ハーバードでGISの授業を2つ担当(⇒ハーバードGIS講義一覧)。
彼はGSDの設計活動におけるGIS利用の促進を目的に、以下のような活動を行っている。

■GISデータベースの作成と維持管理
 ・・・マサチューセッツ州のGISデータをSDEで管理、イントラネットで共有

■GIS利用マニュアルの作成
 ・・・ソフトウェアのインストールからデータ作成、解析、3次元モデリングまで、丁寧なWebマニュアルを用意

■GIS活用便利ツールの作成
 ・・・自分も横国大にいた時、建築の学生からたまに相談を受けたが、建築設計の学生は自分が対象とする敷地の地形や土地被覆、土地利用、建物に関する詳細な情報(データ)が欲しい。もちろん、GISを使えばそのようなデータの抽出は可能であるが、そのためにGISの操作方法を覚えるのは面倒であり、大体は断念してしまう。

そこで、PaulはGISをほとんど知らない学生でも、自分の対象敷地の建物、土地利用、地形(標高)、航空写真をボタン一つで簡単に抽出できるツールを作成し(ESRIモデルビルダーを使用)、学生に配布している。これによって学生は、SDEのデータベースに自動的に接続して、マサチューセッツ州の対象地域のGISデータを簡単な操作で入手できる。
Paul曰く、「この便利なツールを使うことによって、学生は裏で動いているGISの存在を認識し、そこから逆にGISに興味を持ち、GISの勉強を始めることもある」。最初からGISを押し付けず、学生は知らない間にGISの機能を使うことで、その便利さと活用可能性をふつふつと実感し始める。何て完璧なGIS誘導作戦!

また、Googleのスケッチアップ・ツールで作った3次元モデルを、Google Earthに張り付けたり、ジオデータベースとしてArcMap上に表示したり、その逆(GIS⇒Google Earth)をやったりと、建築学科の学生が喜びそうな3次元データモデルの構築とソフトウェア間連携、ビジュアル化も支援しているという。

Google 3Dギャラリーには、PaulやGSDの学生が作ったハーバード大キャンパス内の建物の3次元建物モデルが沢山掲載されている。
≪下の3つの画像は、3Dギャラリーに登録されているハーバード大の建物モデルをGoogle Earth上で表示したもの≫


自分も学部時代は建築学科だったが、大学院に行ってGISを知ってからは、「GISは都市計画やランドスケープ・デザインのみならず、意匠設計の分野でも大きな力を発揮する」と常日頃から思っていた。Paulは、既に何年もGSDでそれを実践している。
Google EarthやGoogle SketchUpの登場、GISデータのみならず、CADの方でも進んでいる情報の標準化、異なるソフトウェア間の連携の容易化などを鑑みると、建築分野でのGISの利用はこれから飛躍的に伸びるだろう。
Paulと話している中で、それを再認識することができた。

2008年3月13日木曜日

趣味:GIS

自分はBloggerのプロフィール>趣味の欄に〝GIS”と入れている。
そこをクリックすると、趣味の欄に同じく〝GIS”と入れているBloggerの一覧が表示されるが、さっき調べたところ451人がヒットした。

アメリカ人(もしくは在住)が圧倒的に多いが、ヨーロッパやアジア、南米など、世界中の国々に分布していた(名前・場所から日本人と判別できたのは4名)。年齢は20~30代が中心で、男女比もほぼ半々程度と思われる(もちろん大多数は年齢・性別が不明)。

また数ヶ月後に、チェックしてみよう。

2008年3月1日土曜日

オンライン教材

現在、受講中の「Advanced Workshop in GIS」(Instructor: Srinivasan; Spring 2008)で使用され教材。フリーでダウンロードできて、内容も充実!
http://aki-gisnotej.blogspot.com/2008/02/gis.html