2008年4月17日木曜日

卒業論文発表会

先日、教養学部の「環境科学&技術系」の卒論発表会があった。
ハーバードの学部は唯一、教養学部しかないのだが、卒論発表は学生が選定した専門分野ごとに行われるみたいだ※1)

マイ・ボス、Peter Rogersは今年度、二人の卒論生を指導していた。
そのうちの一人、ネパール出身のアンジャリのテーマは、①これまでのブラジルの都市開発が河川水質に与えた影響をGISを使って集水域ごとに分析し、土地被覆の変化が水質の変化にどの程度影響したのかを定量的に明らかにする。そして、②その結果をもとに、土地被覆の変化による水質変化の予測式を作成して、将来の都市開発計画に役立つような意思決定ツールを作る、という流れであった。自分も最後の方で、少しだけお手伝いをさせてもらった。
具体的には、ArcGIS Modelbuilderを使って、最後の分析ツールを作成したのだが、すこぶる優秀な彼女は、少しのアドバイスをもとに、基本的には自分でガリガリ進めていった。彼女は、これまでにGISのクラスを受講していたのでGISの基本スキルは十分なものであり、飲み込みも早かった。

と、まあ自分は大したことはやっていないが、アンジャリの勇姿を見るべく、卒論発表会に参加した。


今年の「環境科学&技術系(ES100)」卒論発表会では、2日間にわたり、14名の学部生が発表を行った。
一人あたりの持ち時間は、30分(プレゼン20分+質疑応答10分)。常に、担当指導教員+3名程度の教授・准教授が発表を聞いて、質問・コメントをするというスタイルであった。

卒論発表で、一人30分とはとても贅沢だと思う。しかも、常に4人の先生が聞いているなんて。
これは教員一人あたりの学生数が少ないハーバードだから可能なのであろうか※2)
(ちなみに、横国・建築の卒論発表は7分(5分+2分)←いくらなんでも少なすぎでは?修論発表は15分程度)


ほんの数人の発表しか見ていないので、何とも言うことは難しいのだが、その数人の発表をもとに判断すると、卒論研究の広さと深さという面では「自分が今までに日本で見てきた卒論発表と大体同じ程度のレベル」だと思う。


ただ、日本の場合(特に理工系は)、研究室単位で先輩や仲間と一緒に助け合いながら卒論を進めていくことが多いと思うが(少なくとも自分が関わってきた研究室はそうであった)、どうもこちらの卒論生は基本的には「個人」として研究を進めている雰囲気がする。研究室単位で、仲間と一緒に深く研究を進めていくスタイルと、個人で黙々と進め行くスタイルとの違いは大きいと思う。

そして、ハーバードの学部生は(基本的には)教養学部に所属しているため、専門性を高めることに力を注ぐ理学部や工学部などの学生とは、一概に比較はできなさそうだ。事実、学部生の授業選択の幅はとても広く、かつ各授業は深い内容のものが多く、卒論以外のことにかなりの時間・労力を費やしているようにも思われる。


上の感想は、現時点での主観的なものであり、まだまだ学部生の実態は分かっていないため、追跡調査が必要である。そもそも日本の卒論との比較は難しく、あまり意味はないかもしれないが、一応の感想として記すこととした。
(というか、日本の大学の卒論って、レベルが高いのでは?と個人的には考えている。もちろん、自分も含め玉石混淆だけど!?)


※1 毎年、〇〇(確認の上、後日更新)の学部生が工学・応用科学科(SEAS)で卒業論文を書く。
※2 工学・応用科学科(SEAS)の教員一人当たりの学生数は5人。
(Harvard SEAS: A brief guide for prospective undergraduate students, their parents, and the just plain curious(2008)より)

≪写真・上≫ Peter vs. アンジャリ

≪写真・下≫ 頑張れアンジャリ!