2008年11月22日土曜日

ピア・レビュー

11月19日のCGAプレゼン(⇒CGAセミナーでの発表)の数日前、
自分のプレゼンテーションに対する
ピア・レビュー(peer review)を行った。

ピア・レビューとは、「同僚・仲間によるチェック」のことであり、
ソフトウェア開発や科研費(科学研究費)の審査などでも
取り入れられる手法である(⇒Wikipedia)。

プレゼンや論文作成の指南書などにも、
大勢の人に発表をする前や雑誌に論文を投稿する前に、
「ピア・レビューをしなさい!」
と書いている。
要は、自分の文章や発表資料を公にさらす前に、
第三者から客観的な意見をもらい、
内容・表現方法を洗練せよ!

ということである。


もちろん、それが大事なのは分かる。
しかし現実は、そんな時間的余裕はないし、
そこまでプレゼンに気合を入れる必要性もなかったので、
今までやろうと思わなかった。


しかし今回、
初めての英語での90分セミナー(60分のプレゼン)ということで、
事前に、同じ研究ツール(GIS)を使っているが、
専門分野が異なる知人に
60分のプレゼンテーションを聞いてもらった。

そして、プレゼンに関する感想を
自由に言ってもらった。


具体的には、
 ・ 意味不明な箇所
 ・ 発音が怪しい単語
を指摘してもらうとともに、
 ・ 「こうすると、もっと分かり易いでしょ?」
 という改善案
を提示してもらった。


指摘してもらった意見を聞いた感想は、
まさに「目から鱗が落ちる」思いであった。

自分が用意したプレゼン資料が、
いかに自分の思い込みの塊であるか!
を思い知らされた。


もちろん自分の中では、聞き手が、
研究の目的と手段、そして結果を、
順を追って段階的に理解できるように、
論理的なストーリーとそれを表すスライドを
用意したつもりであった。

しかし実際は、自分の考えが
聞き手に伝わっていないところが数点、存在した。


特に、自分と、専門の異なる第三者とでは、
一つの用語に対する認識が大きく異なることもある。
自分では、誰もが知っている“一般用語”と思っていても、
他の分野の人にとっては、「何それ?」ということも多々ある。


やはり人は、自分が持っている知識や経験に基づいて、
情報を処理して解釈する。
その場合、その人の持つ知識や考え方によって、
異なる方向で、情報が解釈されることも十分あり得る。


自分と専門分野が離れれば離れるほど、
その傾向が高まるのだろう。
そう考えると、広く一般の方々を対象に発表をする場合は、
理路整然とした構成のもと、分かりやすい言葉によって、
適切な方向へ聞き手を先導していくことが求められる。

専門用語は当然のことながら、
一般用語だけれど、
分野による特有の定義がある言葉(例えば、watershed, stream flow)は、
きちんと説明しないと、誤解されることがある。


「プレゼンをする上で、そんなこと当然でしょ?」
と言う人もいるかもしれない。

しかし実際に、ピア・レビューを経験することで、
「やはり相当な経験を積まない限り、
 客観的に自分の発表内容を点検することは
 極めて困難であり、第三者からの意見には到底敵わない」
ことを強く実感。
すなわち、ピア・レビューの意義はとてつもなく大きい、と。


ピア・レビューをする際、
ピアというのがキーだろう。
比較的近い立場で、気軽に意見を交わせるような関係が良い。
そして、専門分野も遠からず近過ぎずの関係が、
より効果的なのだろう。

今回、じっくりとプレゼンを聞いてもらい、
ある程度の時間をかけて、対等に議論することで、
「どこで、何が足りないのか。
どうすればより分かりやすいか?」が、
明確に浮かび上がってきた。


実際のところ、ピア・レビューをお願いする相手によって、
その意義というか、フィードバックの質と量に差が出てくるだろう。

(今回はピアといっても、自分より知的レベルが遥かに高い方だったので、
 効果が大きかったのかもしれない(笑))


同時に、自分の方でも、
「何を言われても、怒らないし恨まない。
気がついたことは何でも言ってください♪」という
オープンな雰囲気を醸し出すことが大事だろう。


ピア・レビューの意義を(今更ながら!)学べたことが、
今回の最大の収穫だったかもしれない。



↓ 研究のプレゼンでも、
肝はやっぱり“ストーリー”!

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