2008年11月8日土曜日

世界級キャリア?

先月の帰国中、
東京・表参道の青山ブックセンターのレジ前に、
世界級キャリアのつくり方
―20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ

(黒川清・石倉洋子著)
という本が平積みされていた。

こんなタイトルの本がレジ前の
目立つところに並べられているのが、
いかにも表参道らしい。

個人的に、黒川清氏のブログはRSSに登録しており、
この本も気になっていたので、
タイトルに多少の恥ずかしさを感じつつも、
レジへ持っていき思わず購入。


成田⇒サンフランシスコの飛行機の中(8時間)、
やたら目が覚めていたので、本書を通読。
小学校以来の(?)読書感想文を書いてみる。

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医療・医学教育、経営戦略論・ビジネス教育の分野で
いわゆる世界級キャリアを持つ2人が、
男性・女性の視点を織り交ぜながら
これからの日本社会を背負う若者向けに向けた、
メッセージ的な書籍である。


本書で提言する「国際派」プロフェッショナルとは、
海外で働いたり、国際的な仕事に携わるということだけではなく、
これから、国内のさまざまな仕事にも適用可能、
さらには必要になってくる概念である。

今後のグローバリゼーション社会では、
例え日本社会で完結するような仕事であろうと、
世界観や歴史観、大局観を持って、
ある分野でのプロフェッショナルとして自己研磨し続けることの
重要性を説いている。

こう書くと、「自己成長し続ける」ことを捲し立てている
ビジネス書と同様なものを想像するかのしれないが、
一般のマニュアル、ノウハウ、自己啓発本とは異なる。

本書では、プロフェッショナルという生き方が如何なるものか、
そして、そうあるためには何をすべきかが、
自らの経験をもとに記されている。


自分としては、

『これほどの機会を逃したら一生後悔すると思って
ビジネススクールへ行く決心をした』

『(メンターとなるような人に)出会っていても
そのことに「ときめく」感性を持っていることが大切だ』

など、ある時点での感覚的・直感的な想いが
著者の人生の転機となっていることが、
実体験にもとづき、記されている点が参考になった。

自分の中から湧き出てくる「気持ち」を大切にすることの
重要性が再認識できる。


そのような、「自分の気持ちのへ感度が高く、
発想が柔軟で、失敗してもすぐに立ち直れる若い時期に
プロフェッショナルを目指すことが重要」
と考える二人のメッセージは優しく、
押し付けは含まれない。


著者が2人とも、東京近辺の中高一貫の私立校で
教育を受けたという点は、
田舎(宮崎・千葉)の公立校出身の自分から見たら、
「この人たちって、もともと育ちが違うでしょ?」
と思わなくはないが、
黒川氏は、初めて海外留学したのが32歳と比較的遅めな点、
石黒氏は、大学卒業後7年間フリーの通訳をしていたという点で、
共感が持てるというか、勇気づけられる。

ただ、二人とも“米国流”が少し強い気がするので、、
“欧州流”や“アジア流”の考えや視点も組み込まれていると、
“世界級”という言葉により厚みが出ると思った。
(もちろん、2人の経験でそこまでカバーできなくて当然だし、
 今は“米国流”=“世界級”だし?)


本書は、年齢・職業に関係なく、
多様な人に刺激を与えるものだと思うが、
若ければ若いほど、その効用は大きいかもしれない。

 (もちろん、年齢より意識次第。
 自分が20歳の時に読んでも、ピンとこなかっただろうし)

同時に、転職などキャリア・チェンジを考えている人も、
一読の価値あり。