2008年5月2日金曜日

アジア工科大学(AIT)

先日、タイ王国バンコクのアジア工科大学(AIT:Asian Institute of Technology)に到着した。
ボストンを出発してからAITに到着するまでちょうど32時間30分かかった(ボストン⇒シカゴ⇒東京⇒バンコク)。ボストンの初春の陽気から、一気に真夏の地へやってきた感じである。


目的は、AITの修論最終発表会に参加するため(⇒試練のAIT修論発表会)。
国連大学では毎年AITの3名の学生に対して研究支援をしており、そのうちの一人の学生(ベトナム人)の副指導者(External expert)として、僕も一年間、修論指導に参加させてもらっている。

今日は、明日の修論発表会に向けて、学生と最終打ち合わせをした。

その後、夕食のために学食へ向かった。
AITでの滞在中は、ほとんど学食で食事をすることになる。11月に1週間、AITに滞在した時も、ほぼ3食を同じ学食で食べていた。陸の孤島AITでの生活は、この学食で格安のタイ料理とトロピカル・フルーツを食べるくらいしか楽しみはない。

昨年5月、AIT出身の国連大ボスにこの学食へ連れてきてもらった時、「自分が在学していた当時(20数年前)と同じ雰囲気ですよ」と言っていた。僕も、どことなく懐かし雰囲気がする、この学食が好きだった。

さながらフードコートみたいな雰囲気であるが、それぞれのお店は地元の方が経営しており、複数の「屋台」で構成される大食堂みたい感じであった。ほとんどが地元のお店という感じで、メニューもタイ語で書かれていたりして、どんなメニューなのか、それぞれ幾らなのか良く分からないお店もあったが、美味しいタイ料理が数十円で満喫できて、それはそれでいい感じであった。

特に、お気に入りのフルーツ・パーラー(?)には、新鮮なフルーツがたくさん置いていあり、希望に応じて、目の前でフルーツ盛り合わせを作ってくれたり、ミキサーにかけてジュースにしてくれたり、野菜サラダを作ってくれたりする。自分は、AITに来るたびにこの店に何度を足を運び、朝・昼・晩とマンゴージュースやイチゴシェイクを飲むのが日課であった。このお店は、家族で経営している雰囲気であり、基本的にはいつも同じような店員が果物を切っていた。


今回、AITに行ってショックだったことは、この学食が完全リニューアルされていたこと。
建物の中に点在していた屋台風のお店は姿を消し、「Today's special」「Western」「Asian Express」「Vegitarian」といった看板が各コナーごとにぶら下がったいた。お客は各コーナーごとに自分が欲しいものをトレーに載せて、最後にキャッシャーでまとめてお金を払う、というカフェテリア形式に姿を変えていた。デジタル式のキャッシャーで、丁寧にレシートももらえる。メニューはタイ料理のみならず、スパゲティやパン、ケーキなど多様な食事を頼めるようになっており、アメリカや日本の学食とほぼ同じ形式に様変わりしていた。(以前は私服であった)店員さんは、全員が白のユニフォームと帽子を着用し、ビニール手袋をしながら食事を用意していた。


今回のリニューアルによって、衛生管理面の大幅な改善とともに、欧米やベジタリアン向けのメニューの拡充によって、大学食堂の国際標準化(?)が進められたことは間違いないが、同時にこれまでの“独特の雰囲気”を失ってしまったことは個人的にとても残念。時代の流れなので仕方はないが、一度失ってしまったものはもう戻ってこない。
ちなみに、知り合いの学生は、「リニューアルによってメニューが大幅に減って、学生の間では不満続出」と嘆いていた。


陸の孤島・AITでの新たな楽しみを探さなければ。
(⇒試練のAIT修論発表会へ)


≪写真・上から2番目≫ AITに大量に生息する生物(名称不明)。数センチ程度のものから、1メートル近くのものまで、学内に大量に生息しているため、ボーっと歩いていると、踏みつけそうで恐ろしい。この写真のものも全長約80cm。

≪写真・下から2番目≫ 今年1月にリニューアルされた学食。 

≪写真・1番下≫ AITでの新たな楽しみ候補。楽しげで平和そうなプールに見えるが、半分は深さ4メートルなので、油断ならない。