2008年4月8日火曜日

初講義 ~ Before その2

ハーバード大での2つの講義を受講して2カ月が過ぎた。授業中、「ハーバードの学生はどんなもんじゃ?」と学生観察をしているが、その印象の一つが、「授業中の質問の数が多い」。

もう一つ、自分が気になる点として、「日本と比べて、受講態度が悪い学生が多い」ように思われる。
もちろん、大部分の学生は行儀よくちゃんと受講している(ように見える)訳で、受講態度が悪く見えるのは一部であるが、それが結構目立つ。

具体的には、飲食、PC/携帯電話でのネット/メール、足組み、授業中の教室内外への激しい出入りである。もちろん、日本の学生も似たようなことをやっていると思うが(自分もやってた)、それでもはやり、先生や周囲を気遣って、〝密かに”こっそりとやっている気がする。

今回、自分が授業をするにあたって、「まあ、こちらの学生の態度はこんなもんだ」と分かっているから、それほど気にならないが、それを知らずに授業に臨んだら結構凹みそうだ。


今回、自分が担当するPeterの授業で、気になる学生がいる。
名前は知らないが、勝手にエリックと名付けよう。エリックは、少しイキがったスポーツマン・タイプの青年で、アメリカの青春ドラマに出てきそうな感じである。

エリックは、いつも最前列に座り、大きな足組みをしながら、(超エラそうな感じで)横柄に椅子にのけ反り、授業中はいつもラップトップPCを開いて、ひたすらメールを書いたり、ネットを閲覧している。この前は、授業中にも関わらず、最前列でハンバーガーを食べながらメールをしていた(この授業は11:30-13:00で、次の授業は13:00~なので、仕方がない面もある)。

「こいつ、めっちゃ態度悪いな」と思いながら、毎度の授業中、観察しているのだが、実はこのエリック、この授業で一番質問をする。しかも、的をついた鋭い質問ばかりである(含む、推測)。彼は、数式を瞬時に理解し、表やグラフに出てくる数字をきちんと読んだ上で、質問をしている。さらには、ときおりPeterがかますジョークにも、敏感に反応する。

エリックは、一見、授業そっちのけでメールやネットに没頭しているようであるが、同時に、授業もきちんと吸収しているのである。彼の能力は羨ましいくらいに高く、すごい集中力で二つのことをこなしているようだ。なんだかんだ言っても、彼の講義出席率は高く、毎回最前列の中央寄りの席に座って聴講している(きっと、エリックみたいな人がウォール街でガンガン稼ぐのだろうと勝手に思いを耽らせてみたり)。


今回、自分が授業をするにあたっては、エリックのような学生達を相手にするわけで、それになりにナーバスだ。自分の専門分野であれば、それほど怖くはないが、そこから離れた分野で、英語で鋭い質問を浴びせられると、適切に回答できる自信はない。

ここ数日、「ん~、どんな質問をされるのだろう?」と考えながら講義資料を作っているが、自分の能力と時間の限界もあるので、考え方を転換することにした。学生の質問にビビるのではなく、逆に、こっちが質問をしかけて学生の能力を試してやろう、と。

具体的には、授業のしょっぱなに、「リモセンについて、知っていることを答えよ!」と逆にこっちから質問することにした。こちらとしても、相当な時間をかけて講義の準備しているわけで、何かのお持ち帰りをしなければ意義は少ない。

所詮、相手は学部生だし、せっかくなので、「ハーバードの学生の実力を見せてもらう」ことを楽しみに、授業に臨もうじゃないか!
(とはいっても、相手はスーパー・エリートの卵たち!逆に自分がボコボコにされて、血祭にあげられる可能性の方が高い。。。まあ、それもそれで良い思い出かぁ)