2008年4月11日金曜日

初講義 ~ After:自己評価

昨日、講義が終わった。

我ながらよく頑張ったと思う、この数週間。
90分の授業のために、ここまで時間を割いたことはこれまで無いし、きっと今後もないだろう。やはり、英語での専門外の講義ということで、今回は80分の原稿を事前に用意した。そして、その原稿をもとに、事前に6回も練習した(80分×6回!)。
自分は、行き当たりばったりの出たとこ勝負の人間なので、ここまで周到に用意したのは人生でも初めてだと思う。「やればできるじゃん!」って今更ながら、感心してみたり。


実際の講義は、、、、、

とりあえず、最大限の準備をして、今の自分の能力でできる限りの講義をすることができたと思う。もちろん、完璧な講義にはまだまだ遠く、改善すべき点は多数あるが、現時点の『自分の力を最大限に発揮できたか』という点では、85点という自己評価(ええ、自分に甘い人間です)。とにかく、ベストは尽くせた。

実際、ピーターやティーチング・アシスタントからは良い評価をもらえたし、熱心に聞いてくれる学生も結構いた。一応、講義終了後、2回も拍手してくれたし!?


今回、講義の用意をする上で、改めて「プレゼンテーション」について考えてみた。
特に講義の2日前までは、やはり自分の低い英語力がネックになり、「これは正しい表現なのか?そもそも、この説明で意味が伝わるのか?」」「スピーチ速度が遅すぎるんじゃないか?」「もしかして、ハーバードの学生には簡単すぎる?」などなど結構ナーバスに陥った。


しかし、これまでに自分が見てきたプレゼン、スピーチを思い返してみながら、「“伝わる”プレゼン、スピーチってどんなんだろう?」と再考する中で、以下の結論に至った。
 伝わるプレゼン・スピーチ = 伝達スキル × 内容 × 気持ち 

これまでの自己分析では、
 ・どんなにプレゼンが下手でも、聞き手にとって興味がある内容であれば、聞き手は必死に身を乗り出して、意味を汲み取る努力をする
 ・シドロモドロのぎこちないスピーチでも、深い気持ちが込められていれば、聴衆の関心を一堂に集め、感動へ導く
 ・逆に、どんなに滑らかで上手なスピーチであっても、聞き手にとって関心のない話題であったり、薄っぺらい内容であったり、スピーカーの気持ちが込められたものでなければ、聞き手の耳を通り抜けるだけ


そこで、自分の講義の準備具合をこの項目に分けて整理すると、

「伝達スキル」――ダントツの不安要素:英語
 もはや一朝一夕で何とかなるものではなく、諦めるしかない。
 その分、パワーポイントの作成に力を注いだ。リモセン画像によるビジュアルなスライドを多様するとともに、アニメーションを駆使して、ところどころに英語のキャプションを入れたり、自分の英語を補うための工夫をした。


「内容」――できる限り最良の講義資料を事前に用意できた。
 NASARESTEC東京大学・竹内渉先生のWebサイトを参考にさせて頂くとともに、長年お世話になっているリモセン会社のIさんにPPT資料を提供していただいたお陰で、最新データに基づく、リモセンに関する一連の話題(プラットフォーム変遷の歴史、リモセンの基礎理論(スペクトル)、センサー技術、近年のトレンド、今後の展開)を、90分に効率よく凝縮することができた(と思う)。


「気持ち」――残り数日でできることといえば、もはや講義を行う上での「伝える気持ち」を高めることしかないし、何よりもこれが一番大事だと思う。
中島美嘉の言葉に、「歌にはまったく自信がありません。でも心を込めて歌うことには自信があります」というものがあるという。この言葉を借りるなら、「英語にはまったく自信がありません。でも心を込めて講義することなら僕にもできます

直前の数日は、モチベーションを高めることに注力した。具体的には、自分が用意した講義資料を見直しながら、「講義内容はとても良いものだから、下手な英語であっても、興味を持って熱心に聞いてくれるに違いない」、「自分が本気で面白いと思っていて、それを熱意をもって表現すれば、かなならず伝わる」と自画自賛しながら、モチベーションを高めていった(アホ?)。


自分の低い英語力を補うための自己擁護策と言えばそうなのだが、それまでに最大限の努力をしたという自負があるならば、もはや最後は“開き直り”の精神が大事であろう。


もちろん、「伝達スキル」を磨くことは必須だし、これからも英語力を高める努力を怠るべきではない。今回は単発講義であったから大目に見てもらえたが、さすがに半年分の講義であれば、“気持ち”勝負の拙い英語では到底許してもらえないだろう。
でも今回の経験を通して、最後はやはり「伝いたい気持ち(気合!?)」が大事なのだと、自分の中で再認識できた。


まあ、何はともあれ、こちらでの初講義が無事に終了して、一安心!

、、、と思いきや、この数日間、ため込んでいた仕事が山積している!!来週は出張なので、息をつく暇はほとんどないが、ひとまず大きな山を越えることができて、ほっとしました。


≪写真・上≫ Peterによる紹介。

≪写真・中≫ 講義の最中。


≪写真・下≫ 普段は飲まないが、講義や長めの発表の時は、「モチベーション起爆剤(?)」として、コーラやオロナミンCを手元に置く(昔は、酒のボトルを片手に講義をする教授もいたというが、その気持ちも分からなくはない)。日本だと、教える側として授業中のコーラ飲みはやり辛かったが、こちらだと全然やりやすそうだ。