2009年4月3日金曜日

3度目の正直(講義)

3月31日、今学期3回目(通算4回目)、そして、
こちらで最後になるかもしれない講義をさせてもらった。
「Environmental Science andTechnology」という、
環境科学&工学専攻の学部生のコア授業にて、
「リモートセンシングの基礎」を講義。

実はこの内容は、去年4月の同講義(⇒ リンク)、
今年2月の別講義(⇒ リンク)とほぼ同じである。
すなわち、この内容を話すのは3回目。

ただ、これまでは15人~20人程度の小さなクラスであったが、
今回は75人の大クラス。
しかも、この講義の担当教授は、授業の内容や進行にとても気を配っており、
学生にも人気の教授(クラス)だ。実際、彼のクラスはとてもダイナミックで、
学生とコミュニケーションをとりながら、講義を進めている感じである。


これまでの自分が担当させてもらった講義は、
先方から依頼を受けての講義だったため、結構気楽だった。

しかし、今回は無謀にもその教授に、「自分に講義をさせほしい!」と
こちらからアピールし、一回分を担当させてもらうことに至ったため、
自分が下手な講義をして、教授の評価を下げる訳にもいかず、
トルコ出張中も時間を見つけては講義の用意をしていた。

トルコから戻って来てからも、講義の練習の日々であったが、
その最中、何度も学部生75人+その教授のことを思い出しては、
「いっそのこと逃げ出したい!」と日々考えていた。

「そんなんだったら、最初から志願するな!」という感じであるが、
自分が教授にお願いした学期初めの1月頃は、
受講生がそんなに多いことは予想できなかったし、
また、その教授が教育にそこまで情熱を傾けているとは
知る由もなかった…。


今回は3回目の講義だが、
パワーポイントのテキスト・図表、言葉の一言一句、
全てに対して、「これでもか!」という位、
気を使って周到に修正を重ね、何度も何度も練習した。

練習のたびに、自分の英語発音・リズムの悪さに思いっきり凹み、
そのうち講義資料に対しても不安になって行き、
(大げさだが)どん底まで落ち込んでは、
「めげてる時間など無い」と立ち上がり、また練習、そして凹む、
の繰り返しで若干辛かった。


実際、去年の初講義の時から合計すると、
たった90分の講義のために、
ここまで用意する人はいないだろう?
という位、
時間をかけて用意&練習を重ねた。
(自分の容量の悪さも時間がかかった原因ではあるが…)


そして3/31、本番を迎えた。
春休み明け一発目の講義であったが、
学生はほぼ全員出席していた模様。

そして、なんとか無事に、90分の講義をやり遂げた。


前回の講義(⇒ リンク)の後に掲げた以下の課題も概ねクリアできた
(⇒ 一部、スライドのじか読みをしてしまった…)。

 ・ スライドのじか読みは避ける
 ・ 学生をもっと引き込んで、質問しやすい雰囲気を作って、
   最低でも4つは質問させる



前回と同様、講義の感想を紙に書いてくれるよう、
学生も求めたところ、18人が提出してくれた。
任意(成績にも全く反映されない無記名形式)にもかかわらず、
25%の提出率はまずまずといったところ。


任意なのに、感想を書いて、提出してくれるという時点で、
「ポジティブで、優しい学生」というバイアスがかかっているが、
その意見は驚くほど好意的であった。

その内容は、
“とても楽しい講義だったし、多くのことを学んだ!”と、
really enjoyedやvery intersting, great, wonderfulという
超ポジティブな単語が連発されていた!

その理由として、
“充実かつ有益な情報”が“きれいなスライドを使って”、
“理解しやすく整理されていた”ことが挙げられていた。

しかし、それ以上に、
“質問が随所に散りばめられており”“インタラクティブに”、
“学生たちを講義に巻き込んでいた点”
を評価するコメントが多かった。


「インタラクティブ(双方向性)」は、
「ライブ感のある講義 (⇒リンク)」で書いたように、
多くのハーバードの教授たちが講義で実践していることであり、
今回の講義を担当するにあたり、自分が掲げた目標の一つであった。
特に、この講義の担当教授は、
「いかに、インタラクティブな講義を展開できるか?」を常に追求しているので、
自分もそれを意識せざるを得なかった。


そして、今回の講義で、自分が心がけたことは以下の通り。

■ 講義の随所随所で、学生にクイズ形式の質問をする。
 ⇒ もちろん、ある程度学生が答えられそうなものを質問し、
学生が答えたら、「その答えを待っていたのだよ!」と言わんばかりに対応。

■ 何かのメカニズムを説明する際、
論理的かつ段階的に説明するのは当たり前であるが、
その時に、「Aのためには、Bが必要である。
では、何故、そしてどうやってBを使うのか?
なぜなら、、、、」
と段階ごとに、学生(自分)に問いかけ、そして、
それに対する回答のかたちで、説明を続ける、ことを繰り返した。

すなわち、説明の最中、ひたすら"Why?"、"How?"を連発した。

■ 質問が来たら、学生のところまで近づく。
 ⇒ とても教壇(?)が大きな教室だったので、
近づかないと学生の声がクリアに聞き取れなかったためだが、
それなりに“動き”ができて良かった。

■ あまり達成できなかったが、
(講義をちゃんと聞いていてくれる)学生一人一人の顔を見て、
語りかけるように話す。


当然と言えば、当然のことばかりだが、
これらのことを強く意識して、実行したせいか、
はたまた単なるお世辞なのかもしれないが、
「とてもフレンドリーな講義!」と評価してくれた学生もいた。


さすがに今回は3回目の講義だし、相当な時間をかけて用意してきたので、
自分としては「報われた。。。」感じで嬉しかった。


もちろん、同時に、改善に対する建設的批評もいただいた。

予想通り、「英語が分かりづらい」、「発音・文法をもっと勉強すべき」とのこと。
やはり英語圏で講義をする上で、きちんとした英語を喋れることは必須条件。
これらの意見を真摯に受け止め、今まで以上に英語の上達に務めねばならない。


あと、コメントシートを眺めていて思うのは、
学生一人一人、それぞれ違った味方をしている」ということ。

自分は、日本で講義をしていた時から、
常に学生にコメントシートを書いてもらっているが、
これは常々実感すること。


講義スピードに関しても、「ちょうど良い」という学生もいれば、
「もっと早くても良い」という学生もいる。
興味を持つポイントも、一人一人異なる。
「ここはあまり面白くないかな?」と思ってた箇所が
自分の思惑とは反対に、学生の評判が良かったりもする。


今回の講義では、多くの学生が自分の質問に答えてくれたし、
学生からの質問も沢山受けた。そして、コメント・シートにて、
(一部ではあるが)学生の生の感想を聞くことができた。

こちらに来て4回目、そして、
(そうじゃないことを願うが恐らく)最後の講義で、
やっと学生とつながりを感じる、
インタラクティブな講義を体感できた気がする。


さすがに、一年前の初講義と比べると、我ながら、
説明の仕方・英語の面で大きな進歩を遂げたと思う。
やはり基本は、ステップ・バイ・ステップ。
時間がかけて、ゆっくり進むしかない。


今回の収穫を糧として、
次回講義をさせてもらうときは、
もう少し短時間で用意できるようになりたい。
(じゃないと体が持たない(笑))


この数週間、講義の用意に時間をかけ過ぎたので、
これから、溜まりに溜まった仕事・メールを高速処理せねば。


↓ よ、読みたい。。。

0 件のコメント: