今期2回目(こちらにやってきて3回目)の講義をやらせてもらった。
「Engineering Sciences 165: Introduction to Environmental Engineering」(担当:Prof. P. Rogers)という、主に学部1,2年生を対象に、水資源管理を中心とした環境工学の基礎を教える講義である。自分は、「GIS and Environmental Management」という一回分の講義を担当(90分)。
小さなクラスなので、学生数は15人程度。
男女比は1:1。理工系クラスなのにアジア系は少なく、ややビビる。
90分の講義は以下のように構成。
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1. Introduction
2. Fundamentals of GIS
- Principles
- Feature Representation
- Spatial analysis and modeling
- Summary
3. An application for Environmental Management
- Overview of the environmental application
- Arc Hydro data model
4. Current and future trends of GIS and Modeling
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ほとんどGISを知らない学部1,2年生を対象に、
「GISとは?」から始まり、「Arc Hydroデータモデルとその応用」までを
90分で説明するという、荒技を試みた。
これは、無免許の人に、ハンドルの握り方から、
ドリフト走行(車をスリップさせて走らせる)のやり方までを
一気に教えるようなものだ。
そもそも、GISの基本を説明するだけでも大変なのに、
さらにその先のArc Hydroデータモデルまでも含めるのは、
無謀なのは承知している。
確実に、“内容過多”であろう。
しかし、逆にそこまで踏み込まないと、
活きのいい学部生にとって物足りないのでは?と思われる。
そこで、それを見極めるためにも、
敢えて情報過多の講義へ挑戦することにした。
加えて、前回の講義の成果などから( ⇒3/1 ライブ感のある講義)、
できる限りインタラクティブ(双方向的)な講義になることも
心がけた。
そして3月11日、何とか90分をやり遂げた(汗)。
仕方ないことだが、講義中、
何人かの学生は自分のノートPCに夢中になっていたり、
ウトウトと眠っていたりもしたが、
何人かはずっと熱心に聞いてくれた。
今回は、講義の前に学生にコメントシートを配って、
「無記名でいいので、正直に思ったことを記入してくれ!」と、
授業内容や進め方について意見を書いてもらった。
その結果、多くの学生がGISの有用性と重要性を理解してくれたようだ。
(もちろん、どの程度本気なのかは不明だが…)
以下、コメントの抜粋
・Visuals are fantastic!
⇒パワー・ポイントのスライドは、分かりやすいと好評であった。
まさに、GISの得意なところ。
・Very well documented!
⇒授業準備に対する努力は、評価してもらえたようだ。
・Avoid reading slides words for word.
⇒“スライドの文字をそのまま読む”ことに対して、
沢山の学生からダメだしされた。
もちろん、"文字のじか読み = NG" なのは分かっているが、
90分講義だと、どうしてもそのような箇所ができてしまう…。
⇒「もっとGISの生デモンストレーションを増やしたり、
スライドの文字を大幅に減らし、箇条書きで端的に整理し、
自分の言葉で、関連事項を話すことで、この講義はもっと楽しくなる」
と親身にアドバイスをくれる学生もいた(涙)。
ただ、、、分かってはいるんだけど、自分の能力がねぇ、、、。
・「英語での講義が大変なのはよく分かるが、
講義の流れがスムーズになるよう、もっと練習した方が良い」
⇒実際のところ、原稿を読みながらの練習は何回もやったが、
原稿なしの練習は不十分であった。
次回は、いきなり「原稿なし練習」から始めてみよう。
(「原稿付き練習」、その後、「原稿なし練習」は、時間効率が悪い気がする。
一方、原稿なしから始めるとと、文法めちゃくちゃでの喋りに終始しそうな懸念もあり、悩ましい。)
・A two-part lecture would be more appropriate.
2人の学生から、「講義の情報量が多すぎ」「2回に分けた方が良い」との意見があった。
やはり、一つの講義でArc Hydroまでもっていくのは、やり過ぎであった(反省)。
途中、一つの質問に対して、時間をかけて回答してしまったため、
講義の最後の方は、時間が足りなくなり、駆け足になってしまった。
(=学生が質問をする機会がない)
インタラクティブな講義を目指すならば、
講義内容を大胆に削って(⇒絞り込んで)、
質問と回答の時間を大幅に取るべきだ。
講義時間の1/4は質疑応答に確保するのことを目指そう。
ちなみに、本講義中の質問は、以下の2つであった。
「Google Maps, Google EarthはGIS?」
「modelという用語の使い分けが分からない」
(講義中、Feature model, Spatial model,
Data modelと3種類、モデルと言う用語が出てきたので。)
前回の講義(⇒3/1 ライブ感のある講義)は、GISに強い興味を持つ大学院生が対象だったから、
10個以上の質問が矢継ぎ早に飛んできたが、
GISの存在すら知らない学生を対象とする場合は、
もっと学生を講義に巻き込む仕組みが必要だ。
次回は、3月31日に別のコースにて、
「リモートセンシングの基礎」を講義する。
今度は、大教室にて、約80名の学部1,2年生を対象にするので、
以下の二つを最重要課題にして、講義に挑もう。
・ スライドのじか読みは避ける
・ 学生をもっと引き込んで、質問しやすい雰囲気を作って、
最低でも4つは質問させる
↓今はもうやっていないので、自分は受講できなかったけど、
当時(つい数年前)は、ハーバード学部生の1/3は受講していたという、
超人気講義。