2008年6月5日木曜日

卒業式その4 ゲスト・スピーチ

6月5日、卒業式最終日の午後。
今年の卒業式ゲスト・スピーチは、ハリー・ポッターの作者J.K. Rowling。

特に、ハリー・ポッターのファンではない自分は、昨年のゲスト(ビル・ゲイツ、ビル・クリントン)の方が良かったなぁと考え、正直言って彼女のスピーチにはそれほど期待していなかった。

しかし、彼女のスピーチはとてもパワフルで、さまざまな示唆に富む内容であり、一万人近い(もしくはそれ以上?)※1聴衆をずっと惹き付けるものであった。基本的に、彼女のスピーチ・スキルはとても高く、のっけから聴衆をドッカンドッカン笑わせる一方で、スピーチの核心部分では聴衆の全関心を一身に集めているようであった。会場を爆笑の渦に巻き込んだ数々の彼女のジョークは理解不能であったが、1時間近くに及んだ彼女のスピーチを大胆に要約してみた※2

「失敗は大事。」
 彼女自身、若い時、作家になるのを両親に反対されたり、仕事が上手くいかなかったり、無職になったり、離婚をしたりと沢山の失敗を経験した。何をすべきか分からず、何をしても上手くいかない状態が続き、生活苦とうつ病に苦しみながら子育てをしていた時期もあったという。
 しかし、ある時、(それでも)自分は生きているし、目の前にタイプライターがある。そして、自分の頭には無限のイマジネーションがあるじゃないか!ということに気づいて、「自分が求める道を突き進むしかない」と創作活動に邁進していったという。
 (これまでにほとんど失敗のないであろう!?)ハーバード大生に対して、「失敗を恐れるな!自分は、失敗を繰り返すことで、自分の中の大切なものを再認識することができたんだ」というメッセージを伝えているようであった。

「イマジネーションを駆使せよ」
 人間は、自分が実際に体験していないことでも、想像することができる唯一の生物である。
すなわち、自分がそのような立場になくても、貧困や病気、戦争などで実際に苦しむ人たちの姿を想像し、その一人一人がどのような気持ちなのかを想像する能力を持っている。これまでの歴史や現在の世界情勢についての知識・教養と優れた才能を兼ね備えたあなたたち(ハーバード生)は、世界中の惨事の渦中にいる人たちの状況・気持ちを想像することが出来るはずです。一人一人の人間の気持ちを想像し、そして、適切な行動を起こしてください、という内容であった。


アムネスティ・インターナショナル(国際的に人権救援活動を行うNGO)でも働いていたという、彼女自身のこれまでの経験と、作家としてのイマジネーション(この場合は想像力か)力を駆使することの重要性に絡めた、彼女からのハーバード大卒業生への贈る言葉はとても力強く、説得力のあるものであった。


スピーチの〆は、「Have a good life!」。
映画やTVでも時折耳にするフレーズであるが、卒業式などの人を送り出すスピーチでは、この言葉、最後がピリッと締まる感じでとても良い。今度どこかで使ってみよう。

後日修正---------------------
 *1 公式発表2万人
 *2 公式発表21分 
人の感覚って、ホントいい加減。。。(自分だから?)
ちなみに彼女は、名誉文学博士号をハーバードから授与されたとのこと。
Gazette online
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↓6年前、家庭教師をしていた子供にせがまれて、
休日、本牧の映画館まで連れて行ってあげたっけ。
※1