週末、大学で仕事をする場合は、自分のオフィスではなく、法科大学院(Law school)の図書館で時間を過ごす。
Law schoolの図書館とは言っても、大学の関係者であれば学部・学科などに関係なく、学期末の試験期間以外は、誰でも利用することができる。
驚きなのは、この図書館の開館時間。
Law schoolの学生のみが利用できる試験期間は、24時間営業。
一般の学生も利用できる普段の学期中でも、ほとんどの平日は朝2時まで利用できる。
自分が良く利用する週末は、午前中はガラガラだけど、午後にはほぼ満席になる。
(さすがに今は夏休みなので、今日は一日中、空いていた)
1929年に建設され、その後増築・改修されたこの図書館の3階部分は、天井が高いのが心地いい。そして、(ホテルのロビーを思わせるような)落ち着いた色調の重厚な机といすに座って(←なんて稚拙な表現!)、黙々と勉強をしているLaw schoolの学生に囲まれながら仕事をしていると、否応なしに自分も集中してしまうところがとても良い(笑)。やはり“その気にさせる環境”って大事だなぁと、(一人で長時間集中できない)弱い自分はやけに感心してみたり。
ちなみにこの図書館には、無料のコヒー&紅茶・コーナーまで付いていて、机やソファーで飲み物を飲みながら読書や勉強をしても良い(虫が出るとの理由で、食事は禁止)。
こんなところで、朝の1時、2時まで勉強しているLaw schoolの学生って。。。。ん、でも、こういう環境だからこそ、明け方まで集中して勉強できるのだろうか。いや、Law schoolに入るくらいだから、どんな環境でも猛烈に勉強するのだろうな、きっと。
何れにせよ、このような素敵な図書館で勉強した、沢山の優秀な卒業生を輩出しているLaw schoolは、ハーバードの稼ぎ頭の一つである。他のスクールの学生が驚くほど、Law schoolの学食やカフェは、落ち着いた雰囲気のきれいな空間であり、さらに現在、この図書館裏側の巨大な敷地に、新たなLaw schoolビルディングを建設中である。
弱肉強食のハーバードでは、スクール間での力(予算規模)の差がとても大きく、建物・施設のみならず、学生サービスについても大きな開きがある。
とりあえず、(工学系に属する)自分のオフィスは、ラッキーなことにLaw schoolのすぐ傍なので、滞在中はLaw schoolが長年にわたって築き上げた実績の恩恵を、自分も密かに享受させてもらおう。
↓この方も、この図書館でで勉強していたのだろうか。
2008年5月30日金曜日
KSGエグゼクティブ・セミナー
20~21日の2日間、行政大学院(KSG: John F Kennedy Schoo of Government)が開催するエグゼクティブ・セミナー、「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加した(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)。
参加者は全部で50人程度。主催者であるKSGの教授陣をはじめとして、ハーバード地理解析センター(CGA)のセンター長、地理空間情報の共有に関わりの深い以下の組織の代表が集められた。
- 国防総省(DOD), 国土安全保障省(DHS), 環境保護庁(EPA), 陸軍(ARMY)
- 地質調査所(USGS), 海洋大気庁(NOAA), 国家地球空間情報局(NGA), 連邦航空局(FAA), 連邦食品医薬品局(FDA),職業安全健康研究所, 陸軍技術工兵隊
- カリフォルニア州環境保護局・公衆衛生局, アリゾナ州環境保護局, マサチューセッツ州公衆衛生局, ユタ州, ニュージャージー州警察,
- ニューヨーク市, フィラデルフィア市
- Google社、Microsoft高等技術研究所、インターグラフ社、Leica社、その他、ネットワーク・インターネット系企業
- Open Geospatial Consortium (OGC: 地理空間データの世界標準・相互運用を目指した非営利団体)
参加機関リストを見て分かるように、このセミナーは米国の中央省庁・州政府の高官を対象に開催しているものである。主催はKSG。CGAとOGCが共催。Microsoft, Google, ERDAS, Intergraphなどの空間情報技術関連企業がスポンサーという構成である。
大学が中心となって、企業を含めた、これだけの関連機関を一堂に会したワークショップを実現することによって、テーマとしては新しいものではないが、非常に複雑で難しい重要問題に対して、実践的に挑もうとするところが凄い。
かくいう自分も、博士論文では、「地理情報データベースによる都市防災情報システムの構築に関する研究」という、災害の事前対策や直後の緊急対応活動などの意思決定過程において、GISのデータをどう活用するのか?を研究していたので、今回のテーマは見逃せない。また、現在所属している目黒研究室でも、災害対応業務における情報処理フローの分析手法の研究などを行っているので、「これは出るしかない!」と考え、共催のCGAのメンバーとして、かなりの意気込みで(!?)参加させてもらった。
進め方としては、KSGの教授が主導のもと、
・米国での、これまでの省庁や州政府間の枠を越えた、画期的な情報共有の事例(例えば、海軍と海兵隊、連邦運輸省(USDOT)による海事情報の共有)を取りあげ、その(招待された)関係者たちに、その時の状況を話してもらうことで、ケーススタディを掘り下げる。
・それにより、問題の所在を明確化するとともに、問題解決の教訓を共有する。また今後、他のケースに応用する場合は新たな問題が生じるのか、そして、その解決法は?さらに、それを実現した場合のメリットは何か?、といったことを(あらかじめ割り振られた)キー・メンバーを中心に議論を展開し、随時、他の参加者も意見を述べたり、解決策などを提案していくという、ひたすら議論中心の進め方であった(~という手法らしい)。
参加メンバーには、ケーススタディー資料が事前に配布されており、参加者はその内容を熟知していることを前提に、セミナーは進められていく。すなわち、セミナーの開始時に、ケーススタディーの概要紹介や補足説明、プレゼンテーションなどは全くなしに、いきなり、「あの時、△△を判断したのは、〇〇省■■局から、◇◇の申し出があって、、」とケーススタディーの核心部分の掘り下げが始まる。ドライな雰囲気の(?)この会合では、冒頭での参加メンバーの自己紹介といった儀式もなく、いきなりフルスピードで走り始めるといった感じで、開始直後すぐに深い議論に突入する。そしてそれが、丸一日半続く。
当初は、やる気満々で参加したものの、ほとんどの議論に着いて行けいないというのが現実であった。。。(泣)
やはり、その事例を理解していることが前提であるが、そのためには米国の中央省庁および州政府の仕組みを熟知していることが大前提である。省庁程度なら大体分かっていたが、その下の部局(?)やその役割は全くと言っていいほど分からない(例:DHSのU.S. Secret Serviceって何?)。特に今回は、軍や防衛機関という、自分(日本人!?)にはあまり馴染みがない組織のケーススタディが多くあったため、日本の状況に置き換えて考えることも難しく、その具体的なイメージを掴むことは難しかった。
それより何より、パワーポイントなどの視覚的資料なしに(ほんの一部だけあったけど)、英語での深い議論を理解することは困難極まりなかった。残念ながら今回は、議論の上澄み的な部分だけの理解にとどまり、議論の核心部分は察することすらできなかった。なので、今回のブログでも具体的なことは書けないし、目黒研にお土産を送ることもできなかった。。。残念!
ただ、言い訳(?)として、「地理空間情報の共有のあり方」とタイトルに銘打っていた割には、一般的な情報共有の在り方に関する議論に多くの時間が割かれていた(=自分のストライク・ゾーン外)。この点は主催者および参加者側も認識しており、「今回の議論の成果をもとに、次回は地理空間情報の共有についてもっと踏み込んだ議論をしよう」という約束をして、今回のセミナーを閉幕した。まあ、何事も一度目の会合から核心に踏み込んだ議論をすることは難しく、同じメンバーでの会合を数回重ねていくことになるのだろう。
その他、個人的な感想として、
・参加者は、いずれも中央省庁・州政府の高官であり、年齢層もかなり高く、50代、60代がほとんどであった。しかし多くの方は、ICT技術全般(特に、地理空間情報)に関する広範な知識を持っており、その具体的な技術および関連問題・動向の深いところまで熟知していることには驚いた(GXML,マッシュアップ, TCP/IP, Metadata, etc.)。このような高官の方々が、地理空間情報共有の重要性について熱く語っている姿を見て、改めてこの分野での米国の“層の厚さ”を思い知らされた。自分の経験として、日本の政府・自治体の50代、60代の方で、これら技術の詳細まで理解している(=ものすごい関心を持っている)方にお会いしたことはない(もちろん、若い方は別ですよ)。
以下、メモ的に議論の項目をリスト化。本当はもっと踏み込んだことを書きたかったが、自分の憶測がかなり含まれていそうなので、やめておきます。
・データ共有の真の価値は?
・その懸念は何か?やはり軍関係機関は、機密データがたくさん。。
・今後いっそう発展していくICT時代において、中央省庁・州政府はどう対応していくか?
そのためには、若者にどのような役割を期待し、どのような環境を用意するべきか?
・これまでの地理空間情報として、莫大なストック(財産)があるが、
それを実践的な問題解決に対して、どう役立てるのか。
・バーチャル上でネットワーク化された情報と、実際の組織の違い(活動範囲、権限の違い)をどう結び付けるか。
≪写真・上≫ John F Kennedy St. この道路の右手が行政大学院(KSG)。ちなみに、左手の建物は学部生の寮。一度中に入ってみたい。
≪写真・中≫ 会場となったKSG Taubman Center
≪写真・下≫ Taubman Centerのらせん階段
参加者は全部で50人程度。主催者であるKSGの教授陣をはじめとして、ハーバード地理解析センター(CGA)のセンター長、地理空間情報の共有に関わりの深い以下の組織の代表が集められた。
- 国防総省(DOD), 国土安全保障省(DHS), 環境保護庁(EPA), 陸軍(ARMY)
- 地質調査所(USGS), 海洋大気庁(NOAA), 国家地球空間情報局(NGA), 連邦航空局(FAA), 連邦食品医薬品局(FDA),職業安全健康研究所, 陸軍技術工兵隊
- カリフォルニア州環境保護局・公衆衛生局, アリゾナ州環境保護局, マサチューセッツ州公衆衛生局, ユタ州, ニュージャージー州警察,
- ニューヨーク市, フィラデルフィア市
- Google社、Microsoft高等技術研究所、インターグラフ社、Leica社、その他、ネットワーク・インターネット系企業
- Open Geospatial Consortium (OGC: 地理空間データの世界標準・相互運用を目指した非営利団体)
参加機関リストを見て分かるように、このセミナーは米国の中央省庁・州政府の高官を対象に開催しているものである。主催はKSG。CGAとOGCが共催。Microsoft, Google, ERDAS, Intergraphなどの空間情報技術関連企業がスポンサーという構成である。
大学が中心となって、企業を含めた、これだけの関連機関を一堂に会したワークショップを実現することによって、テーマとしては新しいものではないが、非常に複雑で難しい重要問題に対して、実践的に挑もうとするところが凄い。
かくいう自分も、博士論文では、「地理情報データベースによる都市防災情報システムの構築に関する研究」という、災害の事前対策や直後の緊急対応活動などの意思決定過程において、GISのデータをどう活用するのか?を研究していたので、今回のテーマは見逃せない。また、現在所属している目黒研究室でも、災害対応業務における情報処理フローの分析手法の研究などを行っているので、「これは出るしかない!」と考え、共催のCGAのメンバーとして、かなりの意気込みで(!?)参加させてもらった。
進め方としては、KSGの教授が主導のもと、
・米国での、これまでの省庁や州政府間の枠を越えた、画期的な情報共有の事例(例えば、海軍と海兵隊、連邦運輸省(USDOT)による海事情報の共有)を取りあげ、その(招待された)関係者たちに、その時の状況を話してもらうことで、ケーススタディを掘り下げる。
・それにより、問題の所在を明確化するとともに、問題解決の教訓を共有する。また今後、他のケースに応用する場合は新たな問題が生じるのか、そして、その解決法は?さらに、それを実現した場合のメリットは何か?、といったことを(あらかじめ割り振られた)キー・メンバーを中心に議論を展開し、随時、他の参加者も意見を述べたり、解決策などを提案していくという、ひたすら議論中心の進め方であった(~という手法らしい)。
参加メンバーには、ケーススタディー資料が事前に配布されており、参加者はその内容を熟知していることを前提に、セミナーは進められていく。すなわち、セミナーの開始時に、ケーススタディーの概要紹介や補足説明、プレゼンテーションなどは全くなしに、いきなり、「あの時、△△を判断したのは、〇〇省■■局から、◇◇の申し出があって、、」とケーススタディーの核心部分の掘り下げが始まる。ドライな雰囲気の(?)この会合では、冒頭での参加メンバーの自己紹介といった儀式もなく、いきなりフルスピードで走り始めるといった感じで、開始直後すぐに深い議論に突入する。そしてそれが、丸一日半続く。
当初は、やる気満々で参加したものの、ほとんどの議論に着いて行けいないというのが現実であった。。。(泣)
やはり、その事例を理解していることが前提であるが、そのためには米国の中央省庁および州政府の仕組みを熟知していることが大前提である。省庁程度なら大体分かっていたが、その下の部局(?)やその役割は全くと言っていいほど分からない(例:DHSのU.S. Secret Serviceって何?)。特に今回は、軍や防衛機関という、自分(日本人!?)にはあまり馴染みがない組織のケーススタディが多くあったため、日本の状況に置き換えて考えることも難しく、その具体的なイメージを掴むことは難しかった。
それより何より、パワーポイントなどの視覚的資料なしに(ほんの一部だけあったけど)、英語での深い議論を理解することは困難極まりなかった。残念ながら今回は、議論の上澄み的な部分だけの理解にとどまり、議論の核心部分は察することすらできなかった。なので、今回のブログでも具体的なことは書けないし、目黒研にお土産を送ることもできなかった。。。残念!
ただ、言い訳(?)として、「地理空間情報の共有のあり方」とタイトルに銘打っていた割には、一般的な情報共有の在り方に関する議論に多くの時間が割かれていた(=自分のストライク・ゾーン外)。この点は主催者および参加者側も認識しており、「今回の議論の成果をもとに、次回は地理空間情報の共有についてもっと踏み込んだ議論をしよう」という約束をして、今回のセミナーを閉幕した。まあ、何事も一度目の会合から核心に踏み込んだ議論をすることは難しく、同じメンバーでの会合を数回重ねていくことになるのだろう。
その他、個人的な感想として、
・参加者は、いずれも中央省庁・州政府の高官であり、年齢層もかなり高く、50代、60代がほとんどであった。しかし多くの方は、ICT技術全般(特に、地理空間情報)に関する広範な知識を持っており、その具体的な技術および関連問題・動向の深いところまで熟知していることには驚いた(GXML,マッシュアップ, TCP/IP, Metadata, etc.)。このような高官の方々が、地理空間情報共有の重要性について熱く語っている姿を見て、改めてこの分野での米国の“層の厚さ”を思い知らされた。自分の経験として、日本の政府・自治体の50代、60代の方で、これら技術の詳細まで理解している(=ものすごい関心を持っている)方にお会いしたことはない(もちろん、若い方は別ですよ)。
以下、メモ的に議論の項目をリスト化。本当はもっと踏み込んだことを書きたかったが、自分の憶測がかなり含まれていそうなので、やめておきます。
・データ共有の真の価値は?
・その懸念は何か?やはり軍関係機関は、機密データがたくさん。。
・今後いっそう発展していくICT時代において、中央省庁・州政府はどう対応していくか?
そのためには、若者にどのような役割を期待し、どのような環境を用意するべきか?
・これまでの地理空間情報として、莫大なストック(財産)があるが、
それを実践的な問題解決に対して、どう役立てるのか。
・バーチャル上でネットワーク化された情報と、実際の組織の違い(活動範囲、権限の違い)をどう結び付けるか。
≪写真・上≫ John F Kennedy St. この道路の右手が行政大学院(KSG)。ちなみに、左手の建物は学部生の寮。一度中に入ってみたい。
≪写真・中≫ 会場となったKSG Taubman Center
≪写真・下≫ Taubman Centerのらせん階段
2008年5月22日木曜日
勝手に復活宣言
先日、バンコク・東京からボストンへ帰ってきた後は、この1か月の連続出張の疲れのせいか、それとも単なる時差ボケからか、はたまた、渡米4カ月目で気が緩んできたためか、以前のペースを見失ってしまい、やや低調気味に毎日を過ごしていた。
そうは言っても、毎日オフィスで仕事をしていたし(当り前か)、行政大学院の「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加したり(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)、研究室ではArc HydroとHEC-HMS(Hydrologic Modeling System)との連携による水文シミュレーションを試みてみたり(⇒相当な時間をかけたが遭えなく失敗に終わる。右上図)、それなりに研究活動を進めていたが、出張前に比べて、若干のんびり気味だったし、研究や今後のことなど、思いにふけっている時間も多かった。ブログの更新もすっかり忘れていた(笑)。
もちろん、自分のことを振り返る(自己状況認識)時間はとても大事だし、「時差ボケ」や「デフラグ」を理由にたくさん眠ていたので、十分な鋭気を養うこともできた。実際、頭の中も多少整理された気がする。
来週から、学部3年生と一緒に、3ヶ月間研究を進めることになる(サマー・リサーチ・アシスタント制度)。その研究プロジェクト資料として、先日PeterからScienceの論文を渡された。この資料をもとに研究計画を至急策定し、夏までにひと仕事を終える予定だ(ちなみに自分はScience誌なんて今まで読んだことない)。
(本プロジェクト推進の核となる)Arc HydroとHEC-HMSとの連携はうまくいく気配もないし、解決方法も分からない。それ以前にデータが揃うかどうかも不明。そして、難解なScience論文の解読もままならぬうちに、来週早々から優秀な学部生をリードして、研究をまとめなければならない。
一難去ってまた一難。毎回、迫ってくる壁が高すぎる。これを飛び越えるためには、無理やりでもモチベーションを上げるしかない。
楽しくなってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!! (古い?使い方間違ってない?)
ということで、まずは8月上旬のESRIユーザ・カンファレンスでの発表を目標に、今日から大幅ペースアップして頑張ろう!壁の向こう側には楽しいことが待っているに違いない。プロジェクトの進行状況なども、ちょこちょこ書いていきますので、引き続き、お暇なときに本ブログを覗きに来てくださいませ。
↓これからのGISの方向性が見えてきます。
そうは言っても、毎日オフィスで仕事をしていたし(当り前か)、行政大学院の「正確かつ迅速な状況認識のための、複数組織間における地理空間情報の共有のあり方」に関する行政官向け特別プログラムに参加したり(Executive Session on Situational Awareness: Assuring Cross-Boundary Information-Sharing in a Geospatial Environment)、研究室ではArc HydroとHEC-HMS(Hydrologic Modeling System)との連携による水文シミュレーションを試みてみたり(⇒相当な時間をかけたが遭えなく失敗に終わる。右上図)、それなりに研究活動を進めていたが、出張前に比べて、若干のんびり気味だったし、研究や今後のことなど、思いにふけっている時間も多かった。ブログの更新もすっかり忘れていた(笑)。
もちろん、自分のことを振り返る(自己状況認識)時間はとても大事だし、「時差ボケ」や「デフラグ」を理由にたくさん眠ていたので、十分な鋭気を養うこともできた。実際、頭の中も多少整理された気がする。
来週から、学部3年生と一緒に、3ヶ月間研究を進めることになる(サマー・リサーチ・アシスタント制度)。その研究プロジェクト資料として、先日PeterからScienceの論文を渡された。この資料をもとに研究計画を至急策定し、夏までにひと仕事を終える予定だ(ちなみに自分はScience誌なんて今まで読んだことない)。
(本プロジェクト推進の核となる)Arc HydroとHEC-HMSとの連携はうまくいく気配もないし、解決方法も分からない。それ以前にデータが揃うかどうかも不明。そして、難解なScience論文の解読もままならぬうちに、来週早々から優秀な学部生をリードして、研究をまとめなければならない。
一難去ってまた一難。毎回、迫ってくる壁が高すぎる。これを飛び越えるためには、無理やりでもモチベーションを上げるしかない。
楽しくなってキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!! (古い?使い方間違ってない?)
ということで、まずは8月上旬のESRIユーザ・カンファレンスでの発表を目標に、今日から大幅ペースアップして頑張ろう!壁の向こう側には楽しいことが待っているに違いない。プロジェクトの進行状況なども、ちょこちょこ書いていきますので、引き続き、お暇なときに本ブログを覗きに来てくださいませ。
↓これからのGISの方向性が見えてきます。
2008年5月10日土曜日
充電@東京
バンコクからボストンへの帰り道、日本へ一時帰国した。
国連大へ資料を取りに行ったのだが、あいにく連休中だったので、残念ながら先輩方や同僚の皆さんに会うことはできなかった(ボスとは、カナダとバンコクで会ったが、自分の帰国時は別の国へ出張中だった)。
東大生産研では、目黒先生やスタッフの方々、現役の学生や卒業生などと再会できてとても良かった。その他、東京滞在中には友人やお世話になっている企業の方など沢山の方と再会できた。まだ3カ月しか経っていないので当たり前だが、みんな変わらず元気で過ごしている様子で、あたたかく歓迎してもらうとともに(?)、皆さんから沢山の元気を頂いてきた。
この1年ちょっとで、横国大⇒国連大ESD・東大目黒研⇒米国ハーバードと自分の環境は大きく変わり、研究対象地も、神奈川県からメコン川、ブータン(⇒スリランカ?)へと広がった。そのため、この1年は複数の職場(オフィス)や研究対象地を行ったり来たりという状況が続き、「自分はどこの所属で、何をやっているのだろうか?」とたまに分からなくなったりもするが、受入先が複数あることはとてもありがたいことだと思う。やはり、たくさんの方々にサポートして頂いているという、この環境を活かしたこと(自分の場合は研究)を実行することが最大の恩返し(恩送り)につながるであろうし、自分の責務であろう。これを肝に銘じて、今後も頑張りましょう。
東京滞在中(GW後半)は築地市場が休みだったので、あまり生ものを食べれずに残念だったが、焼鳥や刺身、居酒屋メニュー、牛丼、納豆、ラーメン、ペヤングソースやきそばなどを堪能できた。これをエネルギーに当分走り続けられそうだ。
次回は、もう少し時間の余裕を持って東京に滞在して、今回会えなかった人に会ったり、生ものを食べる時間(!?)を確保しよう。
↓父の愛読書
国連大へ資料を取りに行ったのだが、あいにく連休中だったので、残念ながら先輩方や同僚の皆さんに会うことはできなかった(ボスとは、カナダとバンコクで会ったが、自分の帰国時は別の国へ出張中だった)。
東大生産研では、目黒先生やスタッフの方々、現役の学生や卒業生などと再会できてとても良かった。その他、東京滞在中には友人やお世話になっている企業の方など沢山の方と再会できた。まだ3カ月しか経っていないので当たり前だが、みんな変わらず元気で過ごしている様子で、あたたかく歓迎してもらうとともに(?)、皆さんから沢山の元気を頂いてきた。
この1年ちょっとで、横国大⇒国連大ESD・東大目黒研⇒米国ハーバードと自分の環境は大きく変わり、研究対象地も、神奈川県からメコン川、ブータン(⇒スリランカ?)へと広がった。そのため、この1年は複数の職場(オフィス)や研究対象地を行ったり来たりという状況が続き、「自分はどこの所属で、何をやっているのだろうか?」とたまに分からなくなったりもするが、受入先が複数あることはとてもありがたいことだと思う。やはり、たくさんの方々にサポートして頂いているという、この環境を活かしたこと(自分の場合は研究)を実行することが最大の恩返し(恩送り)につながるであろうし、自分の責務であろう。これを肝に銘じて、今後も頑張りましょう。
東京滞在中(GW後半)は築地市場が休みだったので、あまり生ものを食べれずに残念だったが、焼鳥や刺身、居酒屋メニュー、牛丼、納豆、ラーメン、ペヤングソースやきそばなどを堪能できた。これをエネルギーに当分走り続けられそうだ。
次回は、もう少し時間の余裕を持って東京に滞在して、今回会えなかった人に会ったり、生ものを食べる時間(!?)を確保しよう。
↓父の愛読書
2008年5月5日月曜日
試練のAIT修論発表会
国連大学では毎年、アジア工科大学(AIT)・大学院土木工学科の水工学研究グループの学生3名に対して修士論文の研究支援をしている。そのうちの一人、ベトナム人学生ティーの副指導者(External expert)として、自分も一年間、修論指導に参加させてもらっており、その最終発表会に参加すべく、今回バンコクへやってきた。
副指導とはいっても、バンコクと東京・ボストン間のインターネットでのやり取りによる“遠距離”指導が中心である。AITでの年4回の中間発表の際に、本文と発表資料を送ってもらい、内容をチェックした上でコメントをメールで返信する。それ以外に、随時お互いにメールでやりとりしたり、自分が出張でバンコクに行く際に、AITへ立ち寄り打ち合わせを行う、といった感じである。
しかし昨年は、ホーチミンからベトナム中央高地にかけての水資源管理施設の分布について、ティーと合同で調査する機会があったので、彼とは丸々1週間、研究の進め方を議論することができた(実際はほとんど雑談!)。
さて、ちょうど一年前、初めて同グループの修士論文発表会に参加したのだが、その時は修論発表&質疑応答が一人3時間であった!
内訳は、プレゼン約30分+ディスカッション約2時間+審査10分程度(学生は外で待機)+(その後、学生は部屋へ戻り)手直しに関するサジェスチョンが約20分。3人の発表会を9:00-18:00まで丸一日かけて行っていた。
AITの中でも、研究グループによって修論発表の長さは異なり、短いところでも一人1時間程度は確保されるという。もちろん、時間をかければ良いというものではないが、一つの修士論文の重みが、日本よりもかなり重そうだ(ちなみに、横国大での自分の修士論文発表は20分)。
ティーの修論タイトルは、「GIS Application on Water Infrastructure Inventory and Accessibility of Water Resources in the Upper Srepok Basin, Central Highlands, Vietnam」。
研究の内容は、①現地の自治体や住民へのヒヤリング調査を通して、水資源管理インフラ(雨量・水量観測所、ダム、堰、貯水池、井戸)についての情報収集をして、GISデータベースを作成する。②これからの人口増加や開発計画を含んだ、このデータベースをもとに、現在、そして将来(2010, 2020)の水需要および水供給を地域単位(市レベル)で予測する。③同時に、現状の住民の水資源へのアクセス評価を行い、④それらの結果をもとに、将来の水資源管理インフラ(浄水場、配水システムなど)の配置のあり方をを検討する、という流れである。
今年は、”その後の予定”(博士課程学生の公聴会)が詰まっているということで、一人2時間半の発表にとどまった。ちなみに、このグループの修論発表は、一般に公開されておらず、比較的狭い部屋で学生+審査委員4名のみで行われ、終始緊張感が漂う。
学生は20分のプレゼンテーションの後、この4人の審査委員を相手に1時間半の質疑応答に答えなければならない。しかも、この発表は「最後の仕事」ではなく、この審査委員会で指摘された事項をすべて反映させた最終版の論文を1週間以内に作り直して、審査委員に再提出する、というオマケが付いている。
やはり1時間半も質疑応答を続けていると、「○○は、▽にした方がいいよ」「□□もできるだろう」、「◎◎の結果まで出さないと、論文としては不完全」など、次々と修正事項が審査委員から出てくる。基本的に、研究者はこういう話をすると止まらないので、続々と「あれもやろう」「これもできるだろう」と審査委員から要求が出るたびに学生の表情が曇っていくのが良く分かる。
さながら圧迫面接のような雰囲気もなくはないが、鍛え抜かれた(?)AITの学生は負けじと反論したり、直すべきところは「Yes, sir」と素直に受け入れる。実際、国連大のサポートを受けているような学生は優秀かつまじめであるため、毎年、最終審査会の指摘を反映させた論文をきちんと完成させてから卒業するという。先生方も、それを見越して最後の追い込みをかけているのだろう。
卒業後、ティーは日本の大学へ進学するが、このようなAITでの厳しい試練を経験しているので、きっと日本の博士課程でも上手くやっていけるであろう。
<写真上・下>AITのキャンパス。本当は、修論発表中の写真を撮りたかったが、写真を撮れる雰囲気ではなかった。。
↓ 自分もそろそろ読み返す必要あり。
副指導とはいっても、バンコクと東京・ボストン間のインターネットでのやり取りによる“遠距離”指導が中心である。AITでの年4回の中間発表の際に、本文と発表資料を送ってもらい、内容をチェックした上でコメントをメールで返信する。それ以外に、随時お互いにメールでやりとりしたり、自分が出張でバンコクに行く際に、AITへ立ち寄り打ち合わせを行う、といった感じである。
しかし昨年は、ホーチミンからベトナム中央高地にかけての水資源管理施設の分布について、ティーと合同で調査する機会があったので、彼とは丸々1週間、研究の進め方を議論することができた(実際はほとんど雑談!)。
さて、ちょうど一年前、初めて同グループの修士論文発表会に参加したのだが、その時は修論発表&質疑応答が一人3時間であった!
内訳は、プレゼン約30分+ディスカッション約2時間+審査10分程度(学生は外で待機)+(その後、学生は部屋へ戻り)手直しに関するサジェスチョンが約20分。3人の発表会を9:00-18:00まで丸一日かけて行っていた。
AITの中でも、研究グループによって修論発表の長さは異なり、短いところでも一人1時間程度は確保されるという。もちろん、時間をかければ良いというものではないが、一つの修士論文の重みが、日本よりもかなり重そうだ(ちなみに、横国大での自分の修士論文発表は20分)。
ティーの修論タイトルは、「GIS Application on Water Infrastructure Inventory and Accessibility of Water Resources in the Upper Srepok Basin, Central Highlands, Vietnam」。
研究の内容は、①現地の自治体や住民へのヒヤリング調査を通して、水資源管理インフラ(雨量・水量観測所、ダム、堰、貯水池、井戸)についての情報収集をして、GISデータベースを作成する。②これからの人口増加や開発計画を含んだ、このデータベースをもとに、現在、そして将来(2010, 2020)の水需要および水供給を地域単位(市レベル)で予測する。③同時に、現状の住民の水資源へのアクセス評価を行い、④それらの結果をもとに、将来の水資源管理インフラ(浄水場、配水システムなど)の配置のあり方をを検討する、という流れである。
今年は、”その後の予定”(博士課程学生の公聴会)が詰まっているということで、一人2時間半の発表にとどまった。ちなみに、このグループの修論発表は、一般に公開されておらず、比較的狭い部屋で学生+審査委員4名のみで行われ、終始緊張感が漂う。
学生は20分のプレゼンテーションの後、この4人の審査委員を相手に1時間半の質疑応答に答えなければならない。しかも、この発表は「最後の仕事」ではなく、この審査委員会で指摘された事項をすべて反映させた最終版の論文を1週間以内に作り直して、審査委員に再提出する、というオマケが付いている。
やはり1時間半も質疑応答を続けていると、「○○は、▽にした方がいいよ」「□□もできるだろう」、「◎◎の結果まで出さないと、論文としては不完全」など、次々と修正事項が審査委員から出てくる。基本的に、研究者はこういう話をすると止まらないので、続々と「あれもやろう」「これもできるだろう」と審査委員から要求が出るたびに学生の表情が曇っていくのが良く分かる。
さながら圧迫面接のような雰囲気もなくはないが、鍛え抜かれた(?)AITの学生は負けじと反論したり、直すべきところは「Yes, sir」と素直に受け入れる。実際、国連大のサポートを受けているような学生は優秀かつまじめであるため、毎年、最終審査会の指摘を反映させた論文をきちんと完成させてから卒業するという。先生方も、それを見越して最後の追い込みをかけているのだろう。
卒業後、ティーは日本の大学へ進学するが、このようなAITでの厳しい試練を経験しているので、きっと日本の博士課程でも上手くやっていけるであろう。
<写真上・下>AITのキャンパス。本当は、修論発表中の写真を撮りたかったが、写真を撮れる雰囲気ではなかった。。
↓ 自分もそろそろ読み返す必要あり。
2008年5月2日金曜日
アジア工科大学(AIT)
先日、タイ王国バンコクのアジア工科大学(AIT:Asian Institute of Technology)に到着した。
ボストンを出発してからAITに到着するまでちょうど32時間30分かかった(ボストン⇒シカゴ⇒東京⇒バンコク)。ボストンの初春の陽気から、一気に真夏の地へやってきた感じである。
目的は、AITの修論最終発表会に参加するため(⇒試練のAIT修論発表会)。
国連大学では毎年AITの3名の学生に対して研究支援をしており、そのうちの一人の学生(ベトナム人)の副指導者(External expert)として、僕も一年間、修論指導に参加させてもらっている。
今日は、明日の修論発表会に向けて、学生と最終打ち合わせをした。
その後、夕食のために学食へ向かった。
AITでの滞在中は、ほとんど学食で食事をすることになる。11月に1週間、AITに滞在した時も、ほぼ3食を同じ学食で食べていた。陸の孤島AITでの生活は、この学食で格安のタイ料理とトロピカル・フルーツを食べるくらいしか楽しみはない。
昨年5月、AIT出身の国連大ボスにこの学食へ連れてきてもらった時、「自分が在学していた当時(20数年前)と同じ雰囲気ですよ」と言っていた。僕も、どことなく懐かし雰囲気がする、この学食が好きだった。
さながらフードコートみたいな雰囲気であるが、それぞれのお店は地元の方が経営しており、複数の「屋台」で構成される大食堂みたい感じであった。ほとんどが地元のお店という感じで、メニューもタイ語で書かれていたりして、どんなメニューなのか、それぞれ幾らなのか良く分からないお店もあったが、美味しいタイ料理が数十円で満喫できて、それはそれでいい感じであった。
特に、お気に入りのフルーツ・パーラー(?)には、新鮮なフルーツがたくさん置いていあり、希望に応じて、目の前でフルーツ盛り合わせを作ってくれたり、ミキサーにかけてジュースにしてくれたり、野菜サラダを作ってくれたりする。自分は、AITに来るたびにこの店に何度を足を運び、朝・昼・晩とマンゴージュースやイチゴシェイクを飲むのが日課であった。このお店は、家族で経営している雰囲気であり、基本的にはいつも同じような店員が果物を切っていた。
今回、AITに行ってショックだったことは、この学食が完全リニューアルされていたこと。
建物の中に点在していた屋台風のお店は姿を消し、「Today's special」「Western」「Asian Express」「Vegitarian」といった看板が各コナーごとにぶら下がったいた。お客は各コーナーごとに自分が欲しいものをトレーに載せて、最後にキャッシャーでまとめてお金を払う、というカフェテリア形式に姿を変えていた。デジタル式のキャッシャーで、丁寧にレシートももらえる。メニューはタイ料理のみならず、スパゲティやパン、ケーキなど多様な食事を頼めるようになっており、アメリカや日本の学食とほぼ同じ形式に様変わりしていた。(以前は私服であった)店員さんは、全員が白のユニフォームと帽子を着用し、ビニール手袋をしながら食事を用意していた。
今回のリニューアルによって、衛生管理面の大幅な改善とともに、欧米やベジタリアン向けのメニューの拡充によって、大学食堂の国際標準化(?)が進められたことは間違いないが、同時にこれまでの“独特の雰囲気”を失ってしまったことは個人的にとても残念。時代の流れなので仕方はないが、一度失ってしまったものはもう戻ってこない。
ちなみに、知り合いの学生は、「リニューアルによってメニューが大幅に減って、学生の間では不満続出」と嘆いていた。
陸の孤島・AITでの新たな楽しみを探さなければ。
(⇒試練のAIT修論発表会へ)
≪写真・上から2番目≫ AITに大量に生息する生物(名称不明)。数センチ程度のものから、1メートル近くのものまで、学内に大量に生息しているため、ボーっと歩いていると、踏みつけそうで恐ろしい。この写真のものも全長約80cm。
≪写真・下から2番目≫ 今年1月にリニューアルされた学食。
≪写真・1番下≫ AITでの新たな楽しみ候補。楽しげで平和そうなプールに見えるが、半分は深さ4メートルなので、油断ならない。
ボストンを出発してからAITに到着するまでちょうど32時間30分かかった(ボストン⇒シカゴ⇒東京⇒バンコク)。ボストンの初春の陽気から、一気に真夏の地へやってきた感じである。
目的は、AITの修論最終発表会に参加するため(⇒試練のAIT修論発表会)。
国連大学では毎年AITの3名の学生に対して研究支援をしており、そのうちの一人の学生(ベトナム人)の副指導者(External expert)として、僕も一年間、修論指導に参加させてもらっている。
今日は、明日の修論発表会に向けて、学生と最終打ち合わせをした。
その後、夕食のために学食へ向かった。
AITでの滞在中は、ほとんど学食で食事をすることになる。11月に1週間、AITに滞在した時も、ほぼ3食を同じ学食で食べていた。陸の孤島AITでの生活は、この学食で格安のタイ料理とトロピカル・フルーツを食べるくらいしか楽しみはない。
昨年5月、AIT出身の国連大ボスにこの学食へ連れてきてもらった時、「自分が在学していた当時(20数年前)と同じ雰囲気ですよ」と言っていた。僕も、どことなく懐かし雰囲気がする、この学食が好きだった。
さながらフードコートみたいな雰囲気であるが、それぞれのお店は地元の方が経営しており、複数の「屋台」で構成される大食堂みたい感じであった。ほとんどが地元のお店という感じで、メニューもタイ語で書かれていたりして、どんなメニューなのか、それぞれ幾らなのか良く分からないお店もあったが、美味しいタイ料理が数十円で満喫できて、それはそれでいい感じであった。
特に、お気に入りのフルーツ・パーラー(?)には、新鮮なフルーツがたくさん置いていあり、希望に応じて、目の前でフルーツ盛り合わせを作ってくれたり、ミキサーにかけてジュースにしてくれたり、野菜サラダを作ってくれたりする。自分は、AITに来るたびにこの店に何度を足を運び、朝・昼・晩とマンゴージュースやイチゴシェイクを飲むのが日課であった。このお店は、家族で経営している雰囲気であり、基本的にはいつも同じような店員が果物を切っていた。
今回、AITに行ってショックだったことは、この学食が完全リニューアルされていたこと。
建物の中に点在していた屋台風のお店は姿を消し、「Today's special」「Western」「Asian Express」「Vegitarian」といった看板が各コナーごとにぶら下がったいた。お客は各コーナーごとに自分が欲しいものをトレーに載せて、最後にキャッシャーでまとめてお金を払う、というカフェテリア形式に姿を変えていた。デジタル式のキャッシャーで、丁寧にレシートももらえる。メニューはタイ料理のみならず、スパゲティやパン、ケーキなど多様な食事を頼めるようになっており、アメリカや日本の学食とほぼ同じ形式に様変わりしていた。(以前は私服であった)店員さんは、全員が白のユニフォームと帽子を着用し、ビニール手袋をしながら食事を用意していた。
今回のリニューアルによって、衛生管理面の大幅な改善とともに、欧米やベジタリアン向けのメニューの拡充によって、大学食堂の国際標準化(?)が進められたことは間違いないが、同時にこれまでの“独特の雰囲気”を失ってしまったことは個人的にとても残念。時代の流れなので仕方はないが、一度失ってしまったものはもう戻ってこない。
ちなみに、知り合いの学生は、「リニューアルによってメニューが大幅に減って、学生の間では不満続出」と嘆いていた。
陸の孤島・AITでの新たな楽しみを探さなければ。
(⇒試練のAIT修論発表会へ)
≪写真・上から2番目≫ AITに大量に生息する生物(名称不明)。数センチ程度のものから、1メートル近くのものまで、学内に大量に生息しているため、ボーっと歩いていると、踏みつけそうで恐ろしい。この写真のものも全長約80cm。
≪写真・下から2番目≫ 今年1月にリニューアルされた学食。
≪写真・1番下≫ AITでの新たな楽しみ候補。楽しげで平和そうなプールに見えるが、半分は深さ4メートルなので、油断ならない。
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