2008年8月6日水曜日

ESRI UC その4 その他雑感など

 マップ・ギャラリー・セッションの会場。ここでは、環境保全や気候変動、防災、インフラ管理、交通・ロジスティックスなど、世界中の様々な分野でのGISの活用が紹介されており、きれいにカッコ良くデザインされた個性的なポスターがたくさん並べられている。壮観である。日本からも沢山のポスターが出展されたいた。その中でも、京都大学・新潟大学チームの震災復興GISのポスターは特に迫力があったなぁ。



GIS関連の求人・求職コーナー。

皆さん、真剣にメモ取っています……。


だって、、、
 自治体のGIS Supervisorで給料70k-90k (70,000-90,000USD)というビラもあったり、米国でのGIS Professionalの地位はやはり高そうだ。
 以前このコーナーで、マクドナルドやカルバン・クラインのGISアナリスト募集のビラを見た。今年に入って別の場所で、マッキンゼー・アンド・カンパニーがGISアナリストを募集していた。
どこか、純日本人をVISAサポート付きで雇ってくれないだろうか?





今年も、懲りずに口頭発表。
 10年前、初めてこのカンファレンスで発表して以来、すでに8回目。10年前と比べて、研究内容はそれなりに進化したと思うが(さすがにねぇ。。)、英語に関しては疑問が残る。そろそろこの状態を脱却せねば、と肝に銘じる。


 ところで、今年は日本人によるポスター発表は沢山あったが、口頭発表はとても少なかったみたいだ。
 自分が思うに、「他の国内外の学会・研究会議などに比べて、ESRI UCでの口頭発表は、かなり(良い意味で)敷居が低い」。具体的には、ほとんどの聴衆は、研究者というよりはGISの実務者であり、広い範囲でのGISの活用に関心を持っている人が多く、建設的で前向きな意見やアドバイスが圧倒的に多い。また、時間なども厳密でなく、柔軟性が高い(笑)。

 個人的に、GISユーザーはフレンドリーで、忍耐強い人が多いので(じゃなきゃGISなんてやってられない!?)、下手なカタカナ英語もじっと耐えて、にこやかに聞いてくれる人が多い気がする。
 来年以降、ESRI UCへ出席される方は、口頭発表も検討してみては如何でしょうか?

<写真・中 ホテルで発表前のコソ練に勤しむ(O氏撮影)>
<写真・下 夏の南カリフォルニアということで、ネクタイを付けている人はほとんどない。しかし、発表の際は“気合”を入れるため、敢えて愛用ネクタイを装着。まずは、カタチから。。。>




 最終日の夜は、カンファレンス会場すぐ近くの海上(?)公園にて、屋外パーティ。
 世界中のGISエクスパート、マニア、一般ユーザ、そしてその家族が、ビールとワインを片手に、GIS談義に花を咲かせる(?)。〆は、毎年恒例のESRI花火が、サンディゴ・ハーバーを彩る。

 今年も、大勢の方々に大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。




↓残念ながら、米国へは配送してくれないみたいだ。

2008年8月5日火曜日

ESRI UC その3 一般セッション

今年は、気候変動に関する特別セッション(Climate Change GIS Special Program)が多数用意されていた(約10セッション)。

自分は、その中の6セッションに参加してきたが、どこも大盛況であった。
 やはり世間で「気候変動・温暖化」と騒がれる中、「自分の街はどうなの!」と考えるのが普通である。しかし、IPCCの将来予測の空間精度は、基本的に大陸単位なので、地域単位のことはよく分からないのが現状。 そこで現在、多くの研究機関などが、地域単位での解析を始めているところであり、それに関する事例発表が沢山あった。アメリカは、「京都議定書を批准しない、環境に無頓着なけしからん国!」というイメージだが(実際、けしからんのだが…)、TVや大学の授業を受けた時、そして、このカンファレンスでの印象としては、CO2の排出削減や気候変動への対応策の策定など、積極的・先進的な対策を既に始めている米国の州政府や自治体もそれなりに多い気がする(代表:カリフォルニア州、テキサス州)。

 やはり、「自分の街の気候が変化するのか?」、「どこの建物にソーラー・パネルを設置すると、費用対効果が高いのか?」といった疑問へ答えるためには、GISは必要不可欠である。実際に、Web GISを使って、ユーザが自分の周りの状況を簡単に検索できるようなサービスを開始している自治体もあるようだ(例:Solar Boston application)。また、学校教育用に、自分の地域のこれまで、そして、これからの気候変動を子供たちが容易に分析できるようなツールも発表されていた。
 これらの発表の多くが、オレゴン州立大学のPRISM(Parameter-elevation Regressions on Independent Slopes Model) Groupの気候データを使っているようであった。このグループは、IPCCの報告書で使用されている大循環モデルの出力結果なども地域レベルにダウンスケーリングして、GIS上で利用できるようにしている(米国のみ)。
The Nature Conservancyも、ArcGIS Serverを使った気候変動解析ツール(米国のみ)を近日中に公開予定であり、当該分野のツールやアプリケーションの開発は、今後も一層進んで行きそうな予感である。


 その他、個人的に、「Water Resources User Group Meeting」、「Atmospheric User Group Meeting」、「Carbon Management and Climate Change GIS User Group」などに参加した。“分野別ユーザ・グループ・ミーティング”と聞くと、何だか入りずらそうな感じがするが、「みんなでコミュニティを作って、メーリングリストなどで情報交換しましょう!」的な雰囲気なので、同じ分野で近いことをやっている仲間を見つけるにはもってこいの場である。



↓ 「デジタルアース」を提唱したのもゴア氏。彼が大統領だったら、米国の環境対策およびGIS分野の発展は、今と大きく違っていたかもしれない。

ESRI UC その2 技術編

引き続き、カンファレンス初日のJack Dangermond社長の基調講演より、自分が気になったところをメモ的に記す。その1は、これからのGISに関する概念的な面に焦点を当てたが、その2では技術的な項目についてその詳細は触れずに、発表の全体像を記述することを目指す。


■■■ 今が、GIS on the Webの始まりの時である ■■■
 (これまでもESRI社は、Web GISの開発にかなりの力を注いできたが)今がまさに、WebとGISの能力の融合の時であり、これまでWebで主流であった単なる地図化と視覚化のはるか彼方へ、すなわち本来のGIS活用の本質である″解析能力”をWeb上でも発揮できる時がきた。

≪≪ ArcGISは、(特に政府や自治体などの組織において)共通のオペレーションを行うための、中央融合センター[Fusion center]となりつつある。
 ⇒ 緊急危機管理、住民の生活を守ること、国家安全保障、インフラ管理、軍事活動における情報の統合環境を提供する

≪≪ ArcGIS Serverも、様々な形式のマッシュアップ(複数の異なるWebサービスを統合する能力)をサポートすることで、新しい情報の共有や統合、コラボレーションを生み出していく。
(大学で出席した様々なGIS関連の会議でも、「MashUp!」はもはや合言葉(!?)。実際、こちらでも他分野における具体的な取り組み事例を見せてもらったが、これから本当に面白いことができそうな予感)

≪≪ Web GISは次の時代に突入している。
 マッシュアップの技術とArcGIS Serverの飛躍的な進展により、誰もが簡単に(知らぬ間に)Web上でGISのデータや解析に触れることができるような、オープンで、よりアクティブで高度な地理空間サービス(Geo-services)の提供が可能になりつつある。
 実際、Web上では高精度なベースマップや各種統計データ、画像データ、地質や水などの主題データが世界中のさまざなところで利用可能になってきている。これによって、GISエキスパートは、短時間でとても生産性の高い仕事をすることができる環境が整いつつある。


■■■ ArcGISバージョン 9.2⇒9.3 マイナー・アップグレード ■■■
 2年前のカンファレンスでは、ArcGIS9.2のリリースに合わせて、「netCDFなどを含んだ、時空間データ全般に対する解析機能・視覚化が拡充されました!」「カートグラフィ機能が進化しました!」「Google Earthとの連携が可能になりました!」「ArcGIS Serverでの編集・解析機能が追加されました」など、ドーン、ドーン、ドドーーンと結構派手に(?)、ArcGIS DesktopおよびServer系製品の新機能を紹介することが、初日のESRI基調講演の中心であった気がする。
 しかし今回のカンファレンスでは、そのような新しい機能や製品の紹介は少なく、その1や上に記述したように「GISのこれから」についての概念的ビジョンが中心で、技術的な項目に関しては、(バージョン9.3では)とにかくソフトウェアの使い勝手、安定性、信頼性の向上に努めたということを強調していた感がある。

■■■ ESRI社のテクニカル・サポートの大幅強化 ■■■
 前述のソフトウェアの安定性・信頼性向上とも関係があるのだろうが、ESRI社全体として、(ソフトウェア?テクニカル・サポート?)の質が38%向上したと強調していた(ただし何に対してかは、聞き逃した)。今年の2月から5月までの間に、テクニカル・サポートの対応時間が90%削減されたとも言っていた。それを表すプレゼンのグラフはやや恣意的な気もしたし、詳細は良く分からなかったが、とにかくサポートに力を入れていることを強調していた。


以下、全体的な感想

 技術的な面については、その1に書いた内容や上述の社会インフラとしてのArcGIS、Web GISをより一層確立するために、ソフトウェアの使いやすさ、安定性、信頼性の向上に、会社全体としてこれまで以上に力を入れていくことを強く表明しているような印象を持った。現場の一ユーザとしては、何よりもそれがアリガタイことである!
 (例年の初日のように)ArcGISの新機能や製品についての技術的な面を強調するよりは、今回のように、今後のGISについて、Jack社長およびESRI社のビジョンをJack社長の自ら、自分の言葉でプレゼンテーションしてもらうのが一番だと思う。技術面への関心が高い人には少し物足りなかったかもしれないが、やはりこのカンファレンスの参加者(Jack曰く、GIS Professiionals)は、GISを使って、何か楽しいこと・新しいことをやってみたい、世界を良くすることに貢献したい、という人が多いのだろうから、その人たちに長中期的なビジョンを明確に示すことはその意義が大きいと思う。


以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。

2008年8月4日月曜日

ESRI UC その1 これからのGISの役割

ESRI国際ユーザ・カンファレンス(ESRI UC)が、4日~8日の5日間にわたって開催された。

今年は、世界121カ国から14,000人以上のGISスペシャリスト、およびGISに関心を持つ人々が、米国カリフォルニア州サンディエゴ市に集結した。参加者は、各国の政府・自治体、研究・教育機関、ビジネス・セクター、NGO/NPO、国際機関(国連等)など非常に多岐にわたる。

会場は、毎年おなじみのサンディエゴ国際会議場。サンディゴ・バーバーに沿って、縦長に伸びる巨大な国際展示会場である(約600m×200m弱。Google Mapでの概算)。


初日は、8:30~15:30まで、全参加者(恐らく一万人以上)が一つの会場に集結し、同一の講演を聞く。今年も、世界中の多様な分野でのGISの活用を集約したカッコいいオープニング・ムービーのあと、ESRI・Jack Dangermond社長の基調講演でカンファレンスの幕が開く。

今年は、(昨年は参加していないので分からないが)例年に比べて、Jack社長によるプレゼンテーションの時間が長かったと思われる。さらに、ArcGIS製品の技術的な進展よりも、「GISのこれからの役割」といった概念的なことに多くの時間を割いていたのではないか?

以下、Jack社長が基調講演の中で語った、「これからのGISの役割」について自分が気になったところをメモ的に記す。

■■■ GISは、世界中の様々なところに浸透しつつあり、特に以下の項目におけるGISの関わりは一層大きくなっている■■■

≪ 我々の世界の(概念的・理論的な)表現の仕方
 データ、モデル、データモデル, ワークフロー, 地図とグローブ, メタデータ

≪ (現象のメカニズム解明を含んだ)我々の世界の説明方法
 特徴、過程、明示的・暗示的関係性
 ⇒ 空間的・統合的思考(Spatially integrated thinking)

≪ 人々のコミュニケートと、人と繋がり方
 協働、学際的統合チーム、「場所」をキーとしたアプローチ
 ⇒ 地理空間情報の共有化

≪ 我々の仕事の在り方
 計測→管理→分析→視覚化→デザイン・計画→意思決定→アクションなどの一連の流れのすべての過程において、系統的・総合的・分析的・定量的・そして視覚的な“科学的”アプローチがGISによって可能になりつつある。

■■■ これからGISは、今まで以上に多分野の先進的技術へ組み込まれていくことにより、人間活動を行う上での重要な基盤ツールとしてより、より深いところまで、広く行き渡っていく ■■■
 ⇒ コンピュータ機器の処理スピードの高速化(100倍)、高度な視覚化、周波数帯域幅[訳自信なし]の開発(1,000倍)、大容量記憶装置、Web、携帯電話、GISソフトウェアの進化、そして、さらなるGISプロフェッショナルの出現と活躍

■■■ GISはこれからの社会/世界にとって必要不可欠な基盤(インフラ)となりつつある。地球環境問題を含めた世界中のあらゆる問題に対して、今こそ、GISそしてGISプロフェッショナルがアクションを起こす時である ■■■
  ⇒ 何千ものアプリケーション、何十万ものシステム、何百万のユーザなと、分野や組織を越えた強靱な礎が、世界中に作られている。


以上、筆者の意訳なので、誤訳、思い込みが含まれている可能性アリ。
Jack社長・基調講演の技術的な面に関しては、その2にて。


≪写真・上≫ 低層で、ハーバー沿いに縦長に伸びるサンディエゴ国際会議場
≪写真・中≫ Jack Dangermond社長
≪写真・下≫ 会場からのサンディエゴ・ダウンタウンの眺め

  
↓ これからのGISの役割を考える上で、必読の一冊だと思います。

2008年8月3日日曜日

プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その2

午後は、Maidment教授による「CUAHSI-HIS」の紹介が中心であった。

HIS(Hydrologic Information System)とは、全米のさまざまな機関の水文観測情報、およびこれまでの研究成果を分散型ネットワークで共有するとともに、流域内の水の挙動をほぼリアルタイムで観測して、共有することができる「バーチャル集水域」の実現を目指す、という壮大な構想を持った巨大研究プロジェクトである。

米国では,研究開発支援基盤の形成として,サイバーインフラストラクチャ構想*1を推進しており,2006 年度はNSF-Wide Investments(米国科学財団・優先投資分野)5 部門の1 つとして選定されている.これは幅広い領域の科学研究をインフラ面(計算機やネットワークなど)から支援するだけではなく,その研究成果を共有し,研究者間の協働を促進することを目的としている.

その一環として,全米の100 以上の大学が参画する全米高度水文科学大学連合(CUAHSI: The Consortium of Universities for the Advancement of Hydrologic Science, Inc.) は,2004年よりHISプロジェクトを開始した。テキサス大学Maidment 教授をリーダーとしたこのプロジェクトは,これまでの水資源GIS の研究開発やそこから生まれたArc Hydroの概念や技術を基盤として,水文データの蓄積や利用に関する手法やデータの標準化などを進めている。この構想を実現すべく、サンディエゴ・スーパーコンピュータセンター(SDSC)や全米各地の大学と連携した研究開発体制を構築していることは特筆すべき点である。

2006年5月、テキサス州ヒューストンで開催された、2006 AWRA Spring Specialty ConferenceにてHISプロジェクトの進捗状況を見る機会があった。その時点ではインフラの基礎技術の検討やプロトタイプの開発がメインといった感じで、構想の実現はだいぶ先のことのように思われた。

今回の発表では、昨月にリリースされたCUAHSI HYDROLOGIC INFORMATION SYSTEM Version 1.1が紹介された。具体的な中身は、百聞は一見にしかずなので、直接下のリンクから成果物を見ていただきたい(全ての成果がWeb上で公開)。現時点では、全米50の観測ネットワークの175万地点、838万レコードの時系列データ、3億4千万のデータ値(data values)が利用可能だという。
≪≪ CUAHSI-HISトップページ リンク

Webサービス、ツール、ルール作りなど、完成度の高い多くの研究成果が公開されているが、その中で特に興味深いと感じたことを以下に列挙した。

Observation Data Model(ODM) … 各種の水文観測データをリレーショナルデータベースに格納し、検索するためのデータベース・スキーマ。

WaterML (WaterOneFlow) Web Services … WaterMLというXML形式の交換データ・フォーマットに基づく、水文データ・サーバ(データベース)とユーザの間の水文データを転送するための標準化システムWaterOneFlowというWeb serviceを開始。

HydroExcel … Excelのスプレッドシートから、上述のWaterOneFlowへ直接アクセスが可能。Excel上で、全米の水文観測データのクエリーを行い、必要なデータをスプレッドシート上で簡単に読み組むことができる。シンプルな作りである(と思われる)が、これが一番実用的で、米国中の水資源管理者/研究者に最も喜ばれるのでは?

HydroTagger … 水文情報の階層構造化(オントロジー)。

・HydroViewer version 0.5(近日中に公開予定)
水文情報の統合化を目指した、ArcGIS Serverを基盤としたWebサービス。たとえば、洪水に関するすべての記録(浸水区域ポリゴン、降水量・河川水量などの時系列データ)が全てリレーショナル・データベース上で紐付けされているので、ある水文観測地点でのハイドログラフやチャート、マップなどを、時間と空間の精度(データ解像度)を自在に変えながら、多角的にデータを分析することができる。また、各種の集計や解析の機能も付随されている。

 上述のシステムは、すべて米国内を対象としたものであるが、CUAHSIの技術を使った同様のシステムがオーストラリアの一部の地域でも進められており、今後の更なる発展が見込まれる。


 実際のところ、「バーチャル集水域」の構築とは、今の時代、誰もが考えられるアイデアかもしれない。しかし、全米の大学と強力な連携体制を作り、研究開発資金を獲得し、開発チームを組織して、実際の技術開発と運用の仕組み作りを"実現"しているところが、何よりもすごい。まさに、言うは易し、行うは難しの世界であろう。

 HISの基盤となったArc Hydroの開発は、Maidment教授の強力なリーダーシップなしには到底実現できなかったと言われている(『Arc Hydro: GIS for Water Resources』(ESRI, 2002)の冒頭より)。Maidment教授の、WebやGIS, 水文科学に関する最先端の知識や技術力に加えて、その実現に必要なチームを組織し資金を集める政治力、プロジェクトを魅力的なものにするための創造力、そして、メンバーを率先していくための情熱と強力なリーダーシップが、このHISプロジェクトも成功へ導いているのだろう。まさに、Hydro GISのカリスマである。


 実は2006年の春、Arc Hydroの応用的利用に興味があった自分は、テキサス大学オースチン校のMaidment研究室の門を叩いた。しかし、「(君が研究する)部屋が空いていない」というあまり府に落ちない理由で受け入れを断られたことがある(実際は、自分の研究テーマが彼の趣向に合わなかったことが原因だと思うが)。
 もし、あの時受け入れられていたら、今頃はテキサスのど真ん中で、カウボーイハットをかぶって馬にまたがり、このHISプロジェクトに関わっていたかもしれないと考えると、妙に感慨深かい(スミマセン、本当はオースチン校のまわりは都会です)。


≪写真・上 カンファレンスの会場周辺(陸側)≫
≪写真・下 Maidment教授の行くところ、常に人だかり(後日、UCの展示場にて)≫


*1 米国科学財団(NSF) サイバーインフラストラクチャ計画
 サイバーインフラ構築の目的は、これまでに扱えなかった大量のデータ蓄積や計算、データ流通を可能にして、人やデータ、情報、ツール、機器といった研究コミュニティにおける情報共有とそれを使いこなせる、 よりユビキタスで、網羅的なデジタル環境の実現にある。
NSF Cyberinfrastracture


↓ 米国の大学や企業に履歴書を送る人は、必見です!(5つ星)
テキサス大に履歴書を送ったときは、顔写真を入れ、年齢・性別を記入するという、日本では当たり前だけど、米国ではやっていはいけない“タブー”を犯していたことが、受け入れを認められなかった原因かもしれない(いや、それ以前に研究内容か…)。

プレカンファレンス・セミナー: GIS Hydro 2008 その1

本番のESRI国際ユーザー・カンファレンスは、月曜日から本格的に開始されるが、その前の週末には、特定の産業や分野におけるGISの活用やその技術開発に焦点を絞ったプレ・カンファレンス・セミナーが開催される*1。そのほとんどが、8:30 a.m.–5:00 p.m.の間、一つのテーマについて集中的にセミナーを行うため、特定分野におけるGISの最先端情報を入手するには最も効率が良い。

最近は、"水"GISに関わっているので、この分野の最先端を突き詰めるべく、「GIS Hydro 2008—Modeling and Managing Water Resources」に参加*2

これは、ESRIのWater resouceチームのリーダーであるDr. Dean "Water boy" Djokicやテキサス大学オースチン校のDavid Maidment教授など、Arc Hydroの開発に携わるキー・パーソンのプレゼンテーションと質疑応答により構成されるワークショップ形式の有料セミナーである。このセミナーへの参加は、2006年に続いて2回目。参加者約40人の多くは米国内の大学や政府・自治体関係者。2006年、日本からは国立環境研究所の方も参加されていたが、今回は自分一人とやや寂し。

参加者は、"水問題を扱うGISエキスパート"というよりも、"GISをツールとして利用する水資源管理者/水文学者"(Non GIS expert)の方が多いこともあり、午前は「水文学のためのGISデータとツール」や「Arc Hydroデータモデルとツールの紹介」などArc Hydroの基本事項の紹介。『Arc hydro -GIS for water resources(現在、日本語版出版準備中)の復習といったところ。
その後、水文シミュレーション・プログラム「HEC-HMS」*3や水理シミュレーション・プログラム「HEC-RAS」*4とArc Hydroの連携についての紹介があった。

と、午前中はArc Hydro関連ツールに関する説明が中心だったので、自分にとってあまり目新しいものはなかったが、流域環境や水問題に携わっていてGISに興味がある人や、Arc Hydroを使い始めたばかりのユーザにとっては、数時間でその全体像を掴むことができるので、お勧めのコースと言えよう。
午後は、その2へ続く。

≪写真・上 会場はサンディエゴ・ハーバーのすぐ傍≫
≪写真・下 Maidment教授(左)とWater Boy・Dean(右)≫



*1 プレカンファレンス・セミナー全般に関する日本語資料 リンク

*2 98年から始まったGIS Hydroセミナーの全資料がダウンロード可能 リンク

*3 HEC-HMS(Hydrologic Modeling System)とは,流域を複数の集水域が集まったツリー上のシステムと捉えて,その上流から下流までの降雨-流出過程をシミュレートするためのソフトウェアである.広範囲にわたる河川流域の地形的な空間分布とともに,都市域や各集水域の土地被覆状況を考慮して流出量を算出する.

*4 HEC-RAS(River Analysis System)は,一次元の水理解析を実行するためのソフトウェアである.定常流水面形状ならびに非定常流解析のコンポーネントが用意されており,河川の形状と流入量から水面形状の変動を計算する.


↓ 写真のお二方の著書

2008年8月2日土曜日

サンディエゴへ

月曜日から開催されるESRI国際ユーザー・カンファレンスへ出席すべく、米国北東部のボストン空港から、西海岸南部のサンディエゴ空港まで、Oさんとともにそれぞれ別のルートで向かう。

①自分
 航空会社: AirTran(アトランタをハブ空港として、米国東海岸を中心に就航)
 経由地:  アトランタ
 飛行時間: 6時間+乗継0.5時間
 飛行距離: 約2,400 miles

②Oさん
 航空会社: ユナイテッド
 経由地:  サンディエゴ
 飛行時間: 8時間+乗継1.5時間
 飛行距離: 約2,700 miles

①の経路の場合でも、バンコク⇒成田とほぼ同じ時間がかかる。(日本や米国西海岸からの)ボストンの遠さを実感。一方、ボストンからドイツ・フランクフルトまでは、直行7時間で行ける。日本で見る世界地図は、大西洋のところで切られらているため、距離感が分からないが、ボストンからヨーロッパへ行くのと西海岸へ行くのは似たような感覚なのだろうか?
機内ではそんなことを考えたり、カンファレンスでの発表の準備をしながら、午後、サンディエゴへ到着。予約をしていたホテルへ行ったら、「ダブル・ブッキングのため、(1日だけ)郊外のリゾート・ホテルへ泊ってくれ」と何の悪びれる様子もなく、フロントから一方的に通告される。"Sorry"のソの字もない態度に若干腹が立ち、自分が刃向っているのを大人Oさんのけん制によって丸く収まる、という楽しいプチ・ハプニングも発生。トラブルもまた旅行の醍醐味。


1998年、初めてESRI国際ユーザー・カンファレンスに出席した際に受けた衝撃と感動、その時の直感「GISって面白い。今後の世界で必要な、一つの重要なツールとなるだろう!」が今の自分(仕事)に大きな影響を与えた(激しい思い込みが得意な、理工系に不向きな直感人間です。なので科学論文は落ちまくりです(苦笑))。

今回は、初出席からちょうど10年の節目に当たる年。西方のボストンからの参加ということで、今までとは心持が大きく違う。
今年のカンファレンスでは、どのような発見や感動、そして出会いが待っているのだろう。今後10年、そして、それ以上の自分の人生、そして研究生活に役立つような何かを探索するつもりで、カンファレンス期間中は、いろんな人に会ったり、有用な情報を収集すべく、頭と体をフル回転にしてアクティブに動き回ろう。


(いつものことだが、またもや極めて主観的・感覚的な文章。。。せめて、カンファレンスの期間中は、誰かの役に立つような、客観的で有益な文章を書くように心懸けよう[自己反省])

<写真・上 AirTran航空機@ボストン空港>
<写真・中 急遽、内陸のリゾート・ホテルへ>
<写真・下 ホテルでくつろぐ、大人O氏>