2009年2月7日土曜日

ハーバード大・フェローシップ

<質問1>
日本で研究している知人の外国人研究者が、
米国で研究するための奨学金やフォローシップを探している。
何か情報はあるか?


<回答>
その方が、日本に永住を許可されているか否かで
選択肢は大きく異なると思います。

もし、日本の永住が許可されていれば、
JSPSの特別研究員PDや海外特別研究員に応募するのが、
一番手っ取り早い(?)でしょう。

もしそうでなければ(恐らくこちらでしょうが)、
日本の奨学金やフェローシップで、
日本国籍や永住権を持たない研究者が、
日本以外の国の機関での研究を支援するものは、僕は知りません。
(もちろん、日本の大学院博士課程に"学生"として所属していれば、
特別研究員DCとして、日本以外の国での在外研究は可能です)

従って、米国で研究したい場合、
自分の出身国か、米国、または国際機関のスポンサーを
探すことになるのでしょうね。


<質問2>
特に、発展途上国の出身者向けの制度はあるか?


<回答>
↓例えば、大学院生であれば、
世界銀行の発展途上国向け Scholarships and Fellowships<⇒リンク>などがありますが、

博士の学位取得後の奨学金やフェローシップとなると、
「研究分野」「国籍」「年齢」「学位取得後の年数」
などの大きな制限があり、
自分の条件にマッチするものを探すだけでも、大変だと思います。
また、採択された場合の条件(給与や研究費、期間)も
さまざまです。


例として、ざっと調べただけでも、
ハーバードには以下のフェローシップがあります。

ハーバードは、学部や学科、センター単位で、
それぞれ数人~数十名を採用するフェローシップ制度を持っているようです。
(残念ながら、自分が所属するCGAやSEASにはありませんが、、、)

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■■■ Faculty of Arts and Sciences

Department of Earth and Planetary Sciences
Postdoctoral Research Fellowship
http://www.eps.harvard.edu/daly.php

Harvard Forest
Charles Bullard Fellowship in Forest Research
http://harvardforest.fas.harvard.edu/education/bullard.html#qualifications

Department of East Asian Languages and Civilizations
POSTDOCTORAL FELLOWSHIP IN
THE HISTORY OF MODERN SCIENCE AND TECHNOLOGY IN EAST ASIA
http://ealc.org/position.html

■■■ Harvard School of Public Health
Fellowships at HSPH
http://www.hsph.harvard.edu/academics/fellowships/

■■■ Graduate School of Design
Loeb Fellowship
http://www.gsd.harvard.edu/professional/loeb_fellowship/

■■■ Law School
Fellowships: 2009 Summer Fellowship at the Harvard Immigration and
Refugee Clinic
http://www.law.harvard.edu/students/adup/2009/01/15_ir.php

■■■ Kennedy School of Government
Belfer Center for Science and International Affairs
http://belfercenter.ksg.harvard.edu/fellowships/applying.html

■■■ Radcliffe Institute for Advanced Study
Radcliffe Institute fellowships
http://www.radcliffe.edu/fellowship_program.aspx

■■■ The Harvard University Center for the Environment
ENVIRONMENTAL FELLOWS PROGRAM
http://www.environment.harvard.edu/program/index.htm

■■■ Center for International Development
Fellowships in Sustainability Science
http://www.cid.harvard.edu/sustsci/grants/fellows/09_fellows_RFP.htm

■■■ Weatherhead Center for International Affairs
U.S.-Japan Program Advanced Research Fellowships
http://www.wcfia.harvard.edu/funding/student/us_japan

注:これらはほんの一部であり、実際はこの数倍~数十倍のフェローシップが存在する
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しかし、最終的に自分の条件とマッチするのは、たった一つでした。


自分に関係がありそうなのを探すだけでも、ハーバード一校で、
これだけフェローシップが見つかるので、
全米で探したら、ものすごい数になること必至です。

恐らくこれらの情報は、一括管理されていないので、
その中から、自分にマッチするフェローシップや奨学金を探し出すのは、
至難の業です。


そこで、僕がご友人の立場であれば、以下のようにするでしょう。

1.一緒に働きたい教授を探す

2.教授が所属する学科やセンターにて、利用可能なフェローシップ制度を探す。
場合によっては、学科やセンターの職員へ直接問い合わせる。

3.教授へ、「○○に応募するから、スポンサーになって欲しい」と伝える。
同時に、その教授のもとで働きたいので、その他の応募可能なフェローシップを尋ねる。
そうすれば、他のプロジェクト予算で雇ってもらえる可能性もある。


国籍、年齢などの自分の条件のみならず、
ボスとなる教員が、どこの学科やセンターに所属しているのかも、フェローシップ応募の際の
大きな制約となるので、早い段階でのスポンサー教授への問い合わせが必要だと思います。


ちなみに、僕が先日応募したフェローシップの応募条件には、
国籍による制限の記載は一切ありませんでした。

しかし、そのフェローシップ・コーディネーターに直接話を伺ったところ、
「この制度では、発展途上国の研究者を優先的に採択するので、
先進国の出身者が採択される確率はとても低い」
と言われました。
そんなこたぁ、ひとっ言も書いてないっつーのに…。


これは特殊な例としても、
基本的に「多様性」を重んじるハーバードでは、
"発展途上国を優先する"と記載していなくても、
マイナーな国の出身であれば、
優先的に採択される可能性も高まるのかもしれません。
(もちろん、フェローシップの目的によりますが)


また、各研究分野のNews letterの求人欄を見ると、
ポスドクやリサーチ・フェローの募集が掲載されているので、
そちらも要チェックです。


まとめると、
行きたい研究室を決めてから、それを支援する制度を探す。
そして、それらの制度は特定の目的のために細分化されていることが多いので、
どの制度に応募すべきを、教授などと相談しながら、判断する

のが良いと、僕は考えます。


まぁ、僕は現在、フェローシップを応募しただけで、
実際に採用された人間ではないので、
あまりあてになりませんが(笑)。
ご参考までに。



↓ 英語は上手い方がいいが、それが全てではない。意味のないことをしゃべり続ける○○人や△△人よりも、たとえ無口であっても、じっと静観して、適切な判断のもと行動を起こす日本人の方が、周りからの評価は高いのでは?もちろん、それに値するほどの質の高い仕事をすることが前提になるけど、その面でいえば、日本人の能力はそれなりに高いのであろうし。

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