2009年2月28日土曜日

学内競争的研究資金

昨年3月、大学内の競争的研究資金に応募したが、
残念ながら落選。
(⇒ 2008年2月28日「研究費の応募書類の作成」

しかし、めげずに昨年末、新しく2つの
学内研究資金に応募した。

「まあ、落選したとしても、
今後の研究のネタにしよう」と考え、
3つとも、異なるテーマで研究計画を作成した。


そしたら運良く、そのうち一つが採択された!

これはハーバードの教員向けの研究資金なので、
もちろん教授の名前で応募したのだが、
自分が作成した研究計画が、高い倍率の中、
採択されたことは、特に英語の面で、
自信へとつながった


「英語の面で」というのは、決して、
自分の英語力が高いという意味でない。
むしろ残念ながら、
研究者として自分の英語力は低い方だ(苦笑)。
実際、自分で用意した研究計画書も
稚拙な英語表現に溢れていた。

しかも、ボスのPeterは、致命的な文法と表現の誤り以外には
ほとんど手を加えずに、
自分(川崎)の研究計画書を大学に提出する(しかもPeter名義で)。

なので毎回、
「Peter、やる気なし?それとも、諦めた?」
と思っていた(笑)。


最近、別の機会で、ある制度に送られてきた
複数の研究計画書に目を通す機会があった。
それらの半分は、
非英語圏に住む外国人から送られてきたものであり、
中には、おかしな表現を含んだ英語文章も目についた。

しかし、複数の研究計画書を見比べる中で思ったのは、
多少、間違った文法や不十分な表現があったとしても、
一番大事なのは、中身の研究計画の面白さ(新規性・有用性)である。


流暢なネイティブの英語であっても、
面白くないものは面白くない。

もちろん、絶対的に英語は上手い方が良いし、
そうなるための努力は惜しむべきではないが、
ある程度の英語力とオリジナルの考えがあれば、
それなりの勝負は出来るかもしれない。


しかし、低い英語力でもやれる可能性があるということは、
逆に言うと、「英語ができない」というのは
もはや言い訳にならないということ。


「もっと英語が出来れば、、、のに。」
とは言わず(考えず)に、
進めるだけ前に突き進んでいくしかないのだろう、
きっと。



まあ、それより何よりも、
金額は大きくないけど、
こちらのPeterと研究室へ多少の還元ができて、
少しほっとした。ほっ。



↓ ノウハウって、大事ですよね…。
自分も特に習ったわけではないので、
一度ちゃんと学んでみたい。

2009年2月11日水曜日

失敗の原因

自分は、プレゼンテーションやスピーチで、
たまに(頻繁に?)大失敗をする。

昔は、確実に“練習不足”が原因だったが、
最近は以前にも増して、
事前に練習をするようになった(=大人になりました)。

それでも、とんでもない失敗をすることもある。
薄ら薄らと原因は分かっていたが、
今日、その理由を確信した。


自分は、短時間で要点を整理して喋ることが苦手なので、発表時間が、5分、10分と短い場合は、
完全な原稿を用意して、暗記する。

従って、基本的には、事前練習が十分であれば、
本番も上手くいく。


しかし、プレゼンの前や最中に、
“予期せぬ何か”が発生すると頭が真っ白になり、
一気に記憶していた原稿が吹っ飛んでしまう。


今までの経験では、
 ・プレゼン開始直前のPCトラブル
 ・プレゼン最中に、電話がかかってくる
など、自分の注意不足によって引き起こされた
アクシデントが原因となることが多かった


最近、毎週水曜日の夜は、ハーバード大のトーストマスターズ(スピーチ・クラブ)に参加している。

今日は、Humorist(ユーモリスト)を担当した。
ユーモリストは、ミーティングの冒頭で、
アメリカン・ジョークを軽くかまし、
参加者を笑わせることで、会場の雰囲気を和らげる、
という重要な役割である。

1月に初挑戦した時は、結構うけたので、
調子に乗って、本日、2度目に挑戦した。
(というか、参加者は皆、ポジティブかつ優しいので、
 何をやっても、笑ってくれる)


今回は、1分弱のジョークだったので、
原稿を暗記して、丹念に練習し、
本番に臨んだ。

前半30秒は練習通り、話を運ぶことができた、
その後、オチに向かう後半30秒に差し掛かったところで、
なぜか、遅れてやってきたメンバーが、
ドアを開けて教室に入ってくる姿に、一瞬、気を取られてしまった。
そしてその瞬間、いつもの通り、頭が真っ白になった。


最終的には、その後の大切な一文を言い忘れるとともに、最も大切なオチの単語youを、meと言い間違えてしまった…。
(youとmeで、全く意味が異なってしまう
 =オチでも、何でもなくなってしまう)


こんな些細なことで動揺するのも情けないが、
逆に、今回の経験を通して、
ちょっとした事象に対してでも、敏感に反応する自分の心理を
認識することができてよかった。


これからは、様々な本番の状況をシミュレートしながら、
練習を重ねることで、
想定外の事象にも対応できる柔軟性、および、
それに動じない図太さを身に付けることが課題である。


それにしても、今日のジョークの、オチの直後の会場の静けさは、凍りついたチャールズ・リバーの畔のようだった(写真)。

そして、白人、黒人、アジア人、ラテン系、中東系など
総勢30人の参加者が眉間にしわを寄せ、
「What?」と言わんばかりの顔で、自分を見つめる様子も、
なかなか滑稽であった。
(しかも何故か、今日のミーティングはビデオ撮影されていた。ひゃーー!)


これも貴重な体験であるが、
できれば、もうこれっきりにしたい(笑)。



<写真: 大学のすぐ側のチャールズ・リバー。
凍った川面に雪が積もっており、とてもきれい。
この日は、昼でも-10℃近くであったが、カモは楽しそうだった(?)>



↓ これ、使えます! ただ、下ネタも多いので、
公的な場所ではセレクションが大事です(笑)。

2009年2月7日土曜日

ハーバード大・フェローシップ

<質問1>
日本で研究している知人の外国人研究者が、
米国で研究するための奨学金やフォローシップを探している。
何か情報はあるか?


<回答>
その方が、日本に永住を許可されているか否かで
選択肢は大きく異なると思います。

もし、日本の永住が許可されていれば、
JSPSの特別研究員PDや海外特別研究員に応募するのが、
一番手っ取り早い(?)でしょう。

もしそうでなければ(恐らくこちらでしょうが)、
日本の奨学金やフェローシップで、
日本国籍や永住権を持たない研究者が、
日本以外の国の機関での研究を支援するものは、僕は知りません。
(もちろん、日本の大学院博士課程に"学生"として所属していれば、
特別研究員DCとして、日本以外の国での在外研究は可能です)

従って、米国で研究したい場合、
自分の出身国か、米国、または国際機関のスポンサーを
探すことになるのでしょうね。


<質問2>
特に、発展途上国の出身者向けの制度はあるか?


<回答>
↓例えば、大学院生であれば、
世界銀行の発展途上国向け Scholarships and Fellowships<⇒リンク>などがありますが、

博士の学位取得後の奨学金やフェローシップとなると、
「研究分野」「国籍」「年齢」「学位取得後の年数」
などの大きな制限があり、
自分の条件にマッチするものを探すだけでも、大変だと思います。
また、採択された場合の条件(給与や研究費、期間)も
さまざまです。


例として、ざっと調べただけでも、
ハーバードには以下のフェローシップがあります。

ハーバードは、学部や学科、センター単位で、
それぞれ数人~数十名を採用するフェローシップ制度を持っているようです。
(残念ながら、自分が所属するCGAやSEASにはありませんが、、、)

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■■■ Faculty of Arts and Sciences

Department of Earth and Planetary Sciences
Postdoctoral Research Fellowship
http://www.eps.harvard.edu/daly.php

Harvard Forest
Charles Bullard Fellowship in Forest Research
http://harvardforest.fas.harvard.edu/education/bullard.html#qualifications

Department of East Asian Languages and Civilizations
POSTDOCTORAL FELLOWSHIP IN
THE HISTORY OF MODERN SCIENCE AND TECHNOLOGY IN EAST ASIA
http://ealc.org/position.html

■■■ Harvard School of Public Health
Fellowships at HSPH
http://www.hsph.harvard.edu/academics/fellowships/

■■■ Graduate School of Design
Loeb Fellowship
http://www.gsd.harvard.edu/professional/loeb_fellowship/

■■■ Law School
Fellowships: 2009 Summer Fellowship at the Harvard Immigration and
Refugee Clinic
http://www.law.harvard.edu/students/adup/2009/01/15_ir.php

■■■ Kennedy School of Government
Belfer Center for Science and International Affairs
http://belfercenter.ksg.harvard.edu/fellowships/applying.html

■■■ Radcliffe Institute for Advanced Study
Radcliffe Institute fellowships
http://www.radcliffe.edu/fellowship_program.aspx

■■■ The Harvard University Center for the Environment
ENVIRONMENTAL FELLOWS PROGRAM
http://www.environment.harvard.edu/program/index.htm

■■■ Center for International Development
Fellowships in Sustainability Science
http://www.cid.harvard.edu/sustsci/grants/fellows/09_fellows_RFP.htm

■■■ Weatherhead Center for International Affairs
U.S.-Japan Program Advanced Research Fellowships
http://www.wcfia.harvard.edu/funding/student/us_japan

注:これらはほんの一部であり、実際はこの数倍~数十倍のフェローシップが存在する
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しかし、最終的に自分の条件とマッチするのは、たった一つでした。


自分に関係がありそうなのを探すだけでも、ハーバード一校で、
これだけフェローシップが見つかるので、
全米で探したら、ものすごい数になること必至です。

恐らくこれらの情報は、一括管理されていないので、
その中から、自分にマッチするフェローシップや奨学金を探し出すのは、
至難の業です。


そこで、僕がご友人の立場であれば、以下のようにするでしょう。

1.一緒に働きたい教授を探す

2.教授が所属する学科やセンターにて、利用可能なフェローシップ制度を探す。
場合によっては、学科やセンターの職員へ直接問い合わせる。

3.教授へ、「○○に応募するから、スポンサーになって欲しい」と伝える。
同時に、その教授のもとで働きたいので、その他の応募可能なフェローシップを尋ねる。
そうすれば、他のプロジェクト予算で雇ってもらえる可能性もある。


国籍、年齢などの自分の条件のみならず、
ボスとなる教員が、どこの学科やセンターに所属しているのかも、フェローシップ応募の際の
大きな制約となるので、早い段階でのスポンサー教授への問い合わせが必要だと思います。


ちなみに、僕が先日応募したフェローシップの応募条件には、
国籍による制限の記載は一切ありませんでした。

しかし、そのフェローシップ・コーディネーターに直接話を伺ったところ、
「この制度では、発展途上国の研究者を優先的に採択するので、
先進国の出身者が採択される確率はとても低い」
と言われました。
そんなこたぁ、ひとっ言も書いてないっつーのに…。


これは特殊な例としても、
基本的に「多様性」を重んじるハーバードでは、
"発展途上国を優先する"と記載していなくても、
マイナーな国の出身であれば、
優先的に採択される可能性も高まるのかもしれません。
(もちろん、フェローシップの目的によりますが)


また、各研究分野のNews letterの求人欄を見ると、
ポスドクやリサーチ・フェローの募集が掲載されているので、
そちらも要チェックです。


まとめると、
行きたい研究室を決めてから、それを支援する制度を探す。
そして、それらの制度は特定の目的のために細分化されていることが多いので、
どの制度に応募すべきを、教授などと相談しながら、判断する

のが良いと、僕は考えます。


まぁ、僕は現在、フェローシップを応募しただけで、
実際に採用された人間ではないので、
あまりあてになりませんが(笑)。
ご参考までに。



↓ 英語は上手い方がいいが、それが全てではない。意味のないことをしゃべり続ける○○人や△△人よりも、たとえ無口であっても、じっと静観して、適切な判断のもと行動を起こす日本人の方が、周りからの評価は高いのでは?もちろん、それに値するほどの質の高い仕事をすることが前提になるけど、その面でいえば、日本人の能力はそれなりに高いのであろうし。